心不全の急性増悪時は、浮腫・呼吸困難の原因になるうっ血をすぐに取り除く必要がある。
この時は短時間作用型で作用が強力なフロセミドが適している。
ただし、漫然と投与すると電解質異常などのリスクになるため注意が必要だ。
浮腫・息切れなどがなく、症状が安定している場合は、
フロセミド
→心不全の死亡率が低いアゾセミド
に切り替えが行われるケースがある。
同じループ利尿薬に属するフロセミド、アゾセミドだが、特徴に差がある。
フロセミド(ラシックス®)
利尿効果が強い。
効果は服用後1時間以内に発現し、持続時間は約6時間。
短時間作用型に分類される。
ちなみに、ラシックス®の名称の由来を、「効果が6時間持続→続く(last)+6(six)でラシックス®だ」という人がいるが、これは違う。
インタビューフォームの名称由来には「特になし」となっている。
ただし、効果が6時間続く、という覚え方は悪くはないと思う。
アゼソミド(ダイアート®)
利尿効果は服用後1時間以内に発現し、持続時間は約12時間。
長時間作用型に分類される。
フロセミドより持続時間が長く、作用が緩徐。
慢性心不全の死亡率の低下は、フロセミドよりもアゾセミドの方が優れていたという報告がある(Int J Cardiol. 2017 Oct 1;244:242-244.)。
心不全治療薬には何がある?
うっ血症状(労作時呼吸困難、浮腫)を改善する薬
●ループ利尿薬:フロセミド(ラシックス®)、アゾセミド(ダイアート®)など
●V2受容体拮抗薬:トルバプタン(サムスカ®)
心不全の進行を防ぐ薬
●ACE阻害薬:エナラプリル(レニベース®)など
●ARB:カンデサルタン(ブロプレス®)
●β遮断薬:ビソプロロール(メインテート®)、カルベジロール(アーチスト®)など
●ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬:スピロノラクトン(アルダクトン®)、エプレレノン(セララ®)
その他の、新しい薬
●イバブラジン(コララン®)
●サクビトリルバルサルタンナトリウム(エンレスト®)
●ダパグリフロジン(フォシーガ®)
今後はこれらの新しい薬の処方頻度も増えてくるはずなので、日々勉強が必要だ。
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