m3.comで3000円ゲットする方法!
心臓

エンレストの作用機序、特徴、注意点。新しい心不全治療薬について解説。

サクビトリルバルサルタン(商品名エンレスト)はどんな薬?

ガイドラインで推奨される治療を行っても、心不全の死亡率や入院率は高く、新しい治療法の開発が期待されていた。

エンレスト®は
慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)
を効能又は効果として、2020年6月に製造販売承認を取得した新しい心不全治療薬

海外では 2015年7月に最初に米国で承認されて以降、既に100ヵ国以上で承認されている。

エンレスト®は、有効成分としてネプリライシン阻害作用をもつサクビトリルと、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)であるバルサルタンを1:1のモル比で含有する単一の結晶複合体である。

規格は50mg、100mg、200mgとあり、例えば100mg錠ではバルサルタンを51.4mg含有している。

特徴

エンレスト®は、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者を対象にした海外第III相PARADIGM-HF試験において、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬であるエナラプリルと比較し、心血管死および心不全による入院からなる複合エンドポイントのリスクを有意に20%減少させた。

欧米ガイドラインでは、標準治療でなお症状を有するHFrEF患者において、ACE阻害薬[忍容性のない場合はARB]からエンレストへの変更が推奨されている(推奨クラスⅠ、エビデンスレベル B)

作用機序

エンレスト®は、サクビトリル及びバルサルタンに解離することで、1 剤でネプリライシン(NEP)阻害作用アンジオテンシンⅡタイプ 1(AT1)受容体拮抗作用の2つの薬理作用を発揮する。

ネプリライシン(NEP)とは?
様々なペプチドを分解する酵素で、その基質として心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)や脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)などのナトリウム利尿ペプチド(NP)がある。
後述するが、アンジオテンシンIIも分解する。


サクビトリル
は、エステラーゼによりNEP阻害の活性体であるsacubitrilatに速やかに変換される。
NEP阻害により、ナトリウム利尿ペプチドの循環血中濃度が上昇
ナトリウム利尿ペプチドは、アルドステロン分泌抑制作用、利尿作用、心肥大抑制作用、抗線維化作用、血管拡張作用などの多面的な作用を示す

バルサルタンのAT1受容体拮抗作用は、心肥大、心血管リモデリング異常に対する抑制作用をもたらす。

NEP とレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系 (RAAS)を同時に阻害することで慢性心不全患者の神経体液性因子のバランス破綻を是正し、慢性心不全患者における「心血管死」及び「心不全による初回入院のイベントリスク」の減少の有効性が示されている

ネプリライシン阻害薬のサクビトリルだけでダメなのか?

結論からいくと、ネプリライシン阻害薬の単独服用では効果は得られないため、ARBの併用が必要。

ネプリライシンはアンジオテンシンIIも分解する。ネプリライシンだけを阻害すると、アンジオテンシンIIの分解が抑制され、レニン・アンジオテンシン(RA)系が亢進し、血圧上昇や血管収縮などを引き起こしてしまう。

ARBを併用することでRA系を抑制し、ネプリライシン阻害薬による効果が得られるようになる。

 

併用禁忌

●アンジオテンシン変換酵素阻害薬
併用により相加的にブラジキニンの分解を抑制し、血管浮腫のリスクを増加させる可能性がある。

ACE阻害薬からエンレスト®への切り替え時には、少なくともエンレスト®の開始36時間前にはACE阻害薬の投与を中止する

●アリスキレン(商品名ラジレス)(糖尿病患者に投与する場合
非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加がバルサルタンで報告されている。

 

併用注意

●アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、これらの薬剤と併用すべきでない。

エンレスト®はバルサルタン(ARB)へと解離するのだから、当たり前である。

●アリスキレン(商品名ラジレス)
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。
なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンの併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。

●カリウム保持性利尿薬(スピロノラクトン、エプレレノン等)
血清カリウム値及び血清クレアチニン値が上昇するおそれがある。

副作用

バルサルタンの影響と思われるが、低血圧の報告が10%程度あるため、血圧モニタリングは必須である。

参考:エンレスト®添付文書、インタビューフォーム

あわせて読みたい
ニューロタン、ブロプレス、ミカルディスの違い。ARBの基本情報と特徴。ARBの基本情報 ●体内には、血圧上昇に関わるアンジオテンシンⅡという物質があります。 このアンジオテンシンⅡがアンジオテンシンⅡ受...

最後までお読みいただき、ありがとうございます

m3.comに登録で3000円ゲット!

必見!転職で成功する方法

●突然ですが、当サイト維持のため、広告主・当サイトの支援者を募集しております
 少しでもためになると思っていただけましたら、どうぞご支援よろしくお願いいたします
●「お仕事の依頼」・「当サイトに記事を載せたい方」・「当サイトの記事を使いたい方」・「ご支援方法のご相談」はTwitterのDMにてお願いします。
●Twitterはこちらです【くすりカンパニー】。

<読むべき書籍>
●今日の治療薬2021 解説と便覧
●実践妊娠と薬第2版 10,000例の相談事例とその情報
●透析患者への投薬ガイドブック 改訂3版
●腎機能別薬剤投与量POCKETBOOK 第3版
●抗菌薬の考え方、使い方Ver.4
●絶対わかる抗菌薬はじめの一歩 一目でわかる重要ポイントと演習問題で使い方の基本を
●プライマリケア医のための抗菌薬マスター講座
●ここが知りたい!糖尿病診療ハンドブックVer.4
●呼吸器の薬の考え方、使い方ver.2
●誰も教えてくれなかった実践薬歴
●薬局で使える実践薬学