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心臓

川崎病とは?アスピリンが使用できないときはフロベン? ほかの治療薬には何がある?

川崎病と標準治療薬について

川崎病は主に4歳以下の乳幼児に好発する原因不明の血管炎で、冠動脈瘤などの心合併症をきたすことがある。

治療目標は、急性期有熱期間は炎症を抑え、冠動脈瘤の発生を予防することである。

川崎病の診断は、2019年に改訂された「川崎病診断の手引き改訂6版」に基づいて行う。
下記の6つの主要症状のうち経過中に5症状以上を呈する場合は川崎病と診断する。

【主要症状】
1. 発熱
2. 両側眼球結膜の充血
3. 口唇、口腔所見:口唇の紅潮、いちご舌、口腔咽頭粘膜のびまん性発赤
4. 発疹(BCG 接種痕の発赤を含む)
5. 四肢末端の変化:
 (急性期)手足の硬性浮腫、手掌足底または指趾先端の紅斑
 (回復期)指先からの膜様落屑
6. 急性期における非化膿性頸部リンパ節腫脹

この場合、発熱があれば免疫グロブリン静注(IVIG)とアスピリンの併用治療が推奨されれ、通常1〜2週間入院する。
冠動脈瘤ができてしまった場合は、血栓をできにくくしたり、溶かしたりする治療などを続けて様子を見ていく。

 

初期治療の1st line
発熱がある場合:
急性期では、IVIG 2 g/kgの点滴静注中等量のアスピリン30~50 mg/kg/日、分3が推奨される(クラス分類I,エビデンスレベルA)

解熱し、再発熱しない場合アスピリンを3~5 mg/kg/日、分1に減量する。
減量後は、通常2~3か月間服用する.

 

発熱がない場合:
アスピリン3~5 mg/kg/日、経口投与のみでもよいが、その場合は注意深く経過観察をすること

以下の表は「日本小児循環器学会川崎病急性期治療のガイドライン(2020年改訂版)」より。

アスピリン中等量→低用量の理由は?

急性期では抗炎症作用を目的としてアスピリン中等量を解熱後数日まで用いる。

回復期〜慢性期では、抗血小板作用を期待して低用量に減量し、川崎病発症後2~3か月間使用する。

 

参考までに、バイスピリン®錠の添付文書には以下の記載がある。

・川崎病では発症後数ヵ月間、血小板凝集能が亢進しているので、川崎病の回復期において、本剤を発症後2~3ヵ月間投与し、その後断層心エコー図等の冠動脈検査で冠動脈障害が認められない場合には、本剤の投与を中止すること。

・冠動脈瘤を形成した症例では、冠動脈瘤の退縮が確認される時期まで投与を継続することが望ましい。

・川崎病の治療において、低用量では十分な血小板機能の抑制が認められない場合もあるため、適宜、血小板凝集能の測定等を考慮すること。

 

 

アスピリンは美味しくない

アスピリンは水に溶かすと加水分解されて酢酸(CH3COOH)ができる。

アスピリン(末・結晶)を溶かすと「酢」ができるので、小さいお子さんの場合、酸味を嫌がって服薬拒否が起こる場合がある。

その場合はアイスクリームやプリンなどに挟んで服用するのがよいと思われる。
これが難しければ、体重などにもよるがバファリン®配合錠A81、バイアスピリン®錠の使用を検討する場合もあるそうだ。

 

アスピリンが使用できない場合は?

アスピリン肝機能障害、水痘・インフルエンザ感染時にはアスピリンではなく、フルルビプロフェン(フロベン®)を使用する場合がある。ただし、その有用性に関するエビデンスはない。

ガイドラインでは
フルルビプロフェン3〜5mg/kg/日、分3
となっている。

 

*アスピリンの重要な基本的注意に、
『サリチル酸系製剤の使用実態は我が国と異なるものの、米国においてサリチル酸系製剤とライ症候群との関連性を示す疫学調査報告があるので、本剤を15歳未満の水痘、インフルエンザの患者に投与しないことを原則とするが、やむを得ず投与する場合には、慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察すること』
と記載がある。

水ぼうそう、インフルエンザの時はアスピリンは原則ダメ、なのである。

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免疫グロブリン、アスピリン以外の治療薬もあるよ

①免疫グロブリン
現時点で最も信頼できる抗炎症療法。川崎病と診断された典型的な有熱例はほぼ全例が適応となる。

②抗血小板薬 
アスピリン:
川崎病の標準的治療薬、川崎病に適応あり。

フルルビプロフェン:
アスピリンが使用できないときに使用されることもあるが、有用性に関するエビデンスはない。

ジピリダモール:
川崎病のエビデンスは少なく保険適応外(保険償還は受けることができるそうだ)。


③ステロイド 
プレドニゾロン:
強力な抗炎症作用を持ち、早期に血管炎を鎮静化させ、冠動脈のリモデリングを抑制することを目的に投与する場合がある。
川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の危険がある場合)に対し保険適応がある。

メチルプレドニゾロンのパルス療法:
川崎病の保険適応はないが、免疫グロブリン静注(IVIG)不応予測例に対する初期IVIGとの併用治療、またはIVIG不応例に対する追加治療として用いる。
メチルプレドニゾロンは強力な抗炎症作用を持ち、ステロイド薬の中でも電解質作用が少ない。

 

④免疫抑制剤
シクロスポリン:
血管炎や血管壁破壊を阻止することを目的に投与される。
川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の危険がある場合)に、IVIG不応予測例に対する初期IVIGとの併用治療、またはIVIG不応例に対する追加治療として用いられる。
2020年2月に、川崎病に対する経口液剤の保険適用が通った。

 

⑤生物学的製剤
インフリキシマブ:
TNF-αと特異的に結合することによって炎症経路を抑制し血管炎を鎮静化させる。
保険適用は、既存治療で効果不十分な川崎病の急性期であり、IVIG不応例に対する追加治療として用いる。

 

⑥蛋白分解酵素阻害剤
ウリナスタチン:
好中球から放出される蛋白分解酵素や炎症性サイトカインを抑制し、血管内皮細胞の傷害を軽減する目的で使用される。
保険適用はないが、初期治療としてIVIGとの併用を考慮するほか、IVIG不応例の追加治療として投与されることがある.

 

注意!詳細は各自添付文書やガイドラインで確認してください。

参考:
日本小児循環器学会川崎病急性期治療のガイドライン
(2020年改訂版)
バイアスピリン®添付文書

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