アムロジピンとシルニジピン、浮腫が出にくいのは?
アムロジピンをはじめ、Ca拮抗薬の多くはL型Caチャネル遮断を主作用として末梢の「細動脈」を強く拡張するが、「細静脈」の拡張作用は強くない。
このとき、静脈と動脈との間にアンバランスが生じ、毛細血管圧が上昇することで血漿が血管外の間質に移動し、浮腫を生じる場合がある。
つまり、Ca拮抗薬による浮腫は副次的な薬理作用によるもので、全身の循環血漿量の増加が原因ではないため、フロセミドなどのループ利尿薬を使用しても改善しにくい。
逆を言うと、利尿薬を服用しても浮腫が改善されにくいときは、Ca拮抗薬の副作用の可能性を考える必要がある。
Ca拮抗薬の中でも、N型カルシウムチャネルも遮断するシルニジピンは「細動脈」だけでなく「細静脈」も拡張させる効果を持ち、浮腫が生じにくい。
アムロジピンで浮腫が生じた場合、シルニジピンに変更することも選択肢の1つだが、シルニジピンでも浮腫を起こす可能性は0ではない。
その場合はARBなど他の降圧薬も検討するべきだろう。
<添付文書上の浮腫の頻度>
ノルバスク®:
国内第Ⅲ相試験によると、「高用量(10mg)投与時に浮腫が高い頻度で認められ、5mg 群で0.6%、10mg群で3.3%」と記載あり。
アテレック®:
浮腫(顔、下肢等)(0.1~5%未満)

同じCa拮抗薬でも、微妙に特徴が異なる
アムロジピン
●L型のカルシウムチャネルを抑制。
●降圧力が強い。
●急激な血中濃度上昇・血管拡張作用がないので、頭痛や心拍数の上昇をきたしにくい。
●授乳中にも使用が可能と考えられている薬剤の1つ。
●狭心症に適応があり、労作性狭心症にも有効。

シルニジピン
●L型だけではなく、N型のカルシウムチャネルも抑制。
●降圧力はマイルド。
●交感神経亢進による早朝高血圧や、ストレス性高血圧(寒冷ストレス、精神ストレス)に対して有効とする報告がある。
●カルシウム拮抗薬の中でも、頻脈、むくみを起こしにくい。
●タンパク尿を減らす効果が期待できるので、腎機能が低下している人に向いている。

アムロジピン→シルニジピンへの変更を考慮する例
〇浮腫が出た場合
〇腎機能が悪化した場合
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