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皮膚疾患

皮膚科からガスター/キプレスが処方。処方意図は?

皮膚科からガスター®/キプレス®が処方された場合は注意!?

ガスター®(ファモチジン)は胃酸分泌抑制剤なので、胃酸が関係する病気かな?
キプレス®(モンテルカスト)はロイコトリエン受容体拮抗薬だから、気管支喘息・アレルギー性鼻炎なのかな?

普通はそう考えるのだが、「皮膚科から」というのがポイントである。
何か裏がありそう。

 

そう、適応外処方の可能性はないのだろうか?

 

結論から行くと、抗ヒスタミン薬(H1ブロッカー)で効果不十分な慢性蕁麻疹に対して、上記薬剤が使用されることがある(ただし、適応外)。

 

蕁麻疹診療ガイドライン 2018によると、慢性蕁麻疹の治療はまずは抗ヒスタミン薬の内服からスタートし、症状を完全に抑えることを目標にする。

しかし、抗ヒスタミン薬の効果には個人差があること、治療効果に数日かかる場合がある。通常用量で効果がイマイチの場合、内服量の増加・他の非鎮静性抗ヒスタミン薬を併用することで高い効果が得られることもある。
なお、国際ガイドラインでは他剤の追加よりも単剤の増量が推奨されている。

これらの対処でも効果不十分な時、
ヒスタミンH2ブロッカー(推奨度 2,エビデンスレベル B)
または/および
抗ロイ
コトリエン薬(推奨度 2,エビデンスレベル B)
を使用することがある。

処方例)
アレグラ®60mg、2錠、分2

効果不十分なら

アレグラ®60mg、4錠、分2
☞この処方は適応外になるかもしれないので疑義はしたほうが無難。

効果不十分なら
アレグラ®60mg、4錠、分2

ガスター®、1日1回
±
キプレス®(シングレア®)、1日1回
など。

Q. H2ブロッカーが効く理由は?
A. ヒト皮膚に存在するヒスタミン受容体のうち、実は約15%はH2受容体である。
H1ブロッカーにH2ブロッカー追加することで、抑制できていなかったH2受容体を抑制することで、上乗せ効果があると考えられている。

Q. 抗ロイコトリエン薬が効く理由は?
A. アレルギー反応はヒスタミンだけでなく、ロイコトリエンも関与する。
ロイコトリエンはヒスタミンよりも強力な膨疹や紅斑反応を誘導するので、抗ロイコトリエン薬の使用は理にかなっているかもしれない。

なお、これらの治療法を試しても慢性蕁麻疹が良くならない場合は、ゾレア®(オマリズマブ)という注射薬が治療候補にあがる。
ゾレア®はもともとは難治性の喘息治療薬だが、2017年3月に「特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)」という適応が追加された。

ゾレア®の添付文書には
「食物、物理的刺激等の蕁麻疹の症状を誘発する原因が特定されず、ヒスタミンH1受容体拮抗薬の増量等の適切な治療を行っても、日常生活に支障をきたすほどの痒みを伴う膨疹が繰り返して継続的に認められる場合に本剤を追加して投与すること。」と記載がある。

 

Hブロッカーの多彩な作用

Hブロッカーは慢性蕁麻疹以外でも使用されることがある(適応外)。

シメチジン(タガメット®)
●大腸がん、その他のがんの転移抑制
●肩関節石灰沈着性腱板炎
●PFAPA症候群
●尋常性疣贅

ファモチジン(ガスター®)
●肩関節石灰沈着性腱板炎

ラフチジン(プロテカジン®)
●抗癌剤による口内炎、舌痛症、末梢神経障害の緩和

ニザチジン(アシノン®)
●唾液分泌が減少している人

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