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血圧の薬

ラシックス、フルイトラン、アルダクトン、セララ、ミネブロの違い、特徴。利尿薬の基本情報と特徴。

利尿薬の基本情報

腎臓は血液をろ過して、体にたまった老廃物や塩分、水分などを尿として体の外に出す働きをしています。これにより体の水分量や血圧、電解質のバランスなどを調節しています。
利尿薬は腎臓にある「尿細管」に作用し、ナトリウムと水の再吸収を抑えて、尿中にナトリウムと水を排泄することで循環血液量を減らし、血圧を下げます。
●体内にあるナトリウム、カリウム、カルシウムなどの電解質のバランスに影響を与えることがあるので、定期的に採血をして電解質の状態を見ていく必要があります。

●高血圧の治療に使われる利尿薬は大きく分けると以下の3種類があります。
1)ループ利尿薬
2)サイアザイド系利尿薬
3)抗アルドステロン性利尿薬(カリウム保持性利尿薬と呼ばれたりもします)


ループ利尿薬
●腎尿細管のヘンレループ上行脚にあるNa-K-2CL共輸送体を阻害し、尿中にナトリウムと水を出します(注:Na:ナトリウム、K:カリウム、CL:クロル)。

●類薬のサイアザイド系利尿薬とは異なり、腎血流量、糸球体ろ過値を減少させないため、腎機能が落ちている人に使用しても効果を発揮します。
●尿中にカリウムを排泄し、低カリウム血症を起こすことがあるので注意が必要です。
●まれに血糖値が上昇することがあるため、糖尿病の人には注意して使用します。


サイアザイド系利尿薬
●腎尿細管の遠位尿細管にあるNa-CL共輸送体を阻害し、尿中にナトリウムと水を出します

●尿を出す効果は弱いのですが、血圧を下げる効果はループ利尿薬よりやや強いです。
●高血圧の治療に使用される薬の中でも、薬価が安いことも特徴の1つです。
少量でも効果があり、高血圧の治療には1錠ではなく半分の0.5錠で使用されることもあります。

尿細管でのカルシウムの再吸収を高め、尿中へのカルシウムの排出を低下させます。
尿中へのカルシウム排泄が減るので、尿路結石の予防効果が期待できます。
●また、カルシウムの再吸収を高めるので、骨粗しょう症を合併した高血圧の人に推奨されている薬剤です。
●尿中にカリウムを排泄し、低カリウム血症を起こすことがあるので注意が必要です。

●以下の場合に使用するときは注意が必要です。
□糖尿病:まれに血糖値が上昇することがあるため。
□腎機能低下時:ループ利尿薬と異なり、腎血流量を低下させ腎機能を悪化させることがあるため。
腎機能的にはeGFR 30mL/分/1.73m2以上でサイアザイド系利尿薬を使用します(参考:高血圧ガイドライン2014)。
□高尿酸血症、痛風:尿酸値が上昇し症状が悪化する可能性があるため。尿酸値が高い時はサイアザイド系利尿薬を服用していないかチェックしましょう!

参考:ループ利尿薬とサイアザイド系利尿薬で血糖値が上昇する理由
インスリン分泌はATP依存性Kチャネルにより調節されています。
血清カリウム低値によりインスリン初期分泌量が低下し、血糖値が上昇すると考えられます。


抗アルドステロン性利尿薬

カリウム保持性利尿薬と呼ばれたりもします。
●尿を出す効果はほとんどないのですが、血圧を下げる効果はループ利尿薬よりやや強く、マイルドに血圧を下げます
●高血圧症の中でも、特にアルドステロン過剰分泌による高血圧症に有効です。

●アルドステロンとは、血圧を上昇させるホルモンです。また、心肥大や心不全を悪化させてしまう作用があることも知られています。抗アルドステロン性利尿薬は心不全の治療にも使用されることがあります

アルドステロンが腎臓の遠位尿細管にあるナトリウム-カリウム交換部位に作用すると、カリウムを尿中に排出し、ナトリウムを体の中に貯めます

ナトリウムが体の中に貯まるときに、水も一緒に体の中に引き込まれるので、結果、循環血液量が増加し、心拍出量と末梢血管抵抗が増加することで血圧が上昇します。

●抗アルドステロン性利尿薬は、腎臓でのアルドステロンの働きを阻害し、尿中にナトリウムと水を出しやすくし、カリウムが体から出て行くのを抑制します

●カリウムが体から出ていくのを抑制するので、抗アルドステロン性利尿薬はカリウム保持性利尿薬と呼ばれたりもします。

蛋白尿を減少させる効果が確認されています(参考:高血圧ガイドライン2014)。

●ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬はカリウムを排泄し低カリウム血症を引き起こすことがありますが、抗アルドステロン性利尿薬では逆に高カリウム血症を引き起すことがあります

●以下の時は、ループ利尿薬やサイアザイド系利尿薬と一緒に使用することもあります。
1)治療抵抗例
2)ループ利尿薬、サイアザイド系利尿薬による低カリウム血症の予防を目的

高血圧の治療に使用される利尿薬の種類と特徴

代表的なループ利尿薬の種類

フロセミド(薬剤名ラシックス)
●利尿作用は強いですが、血圧を下げる効果は弱いです。
●そのため、高血圧の治療よりも、体の浮腫に対して使用されることが多いです。
利尿作用は用量依存で、カリウムの排泄はチアジド系利尿剤より少ないです(IFより)。

利尿効果は服用後1時間以内に発現し、効果の持続時間は約6時間です。
●夕方~夜にかけて飲むと、利尿作用により夜間にトイレに行きたくなることがあるので、飲むタイミングには注意が必要です。
腎機能が低下していても効果が出るので、透析をしている人でも尿がわずかでも出る場合には処方されることがあります。

参考:その他のループ利尿薬(浮腫に適応はありますが、高血圧症には適応はありません)

アゼソミド(薬剤名ダイアート)
●浮腫に使用されます。
●利尿効果は服用後1時間以内に発現し、効果の持続時間は約12時間です。
●ラシックスと似た感じですが、こちらの方が持続時間が長いです。
●ラシックスは短時間作用型、ダイアートは長時間作用型に分類され、慢性心不全の死亡率の低下はラシックスよりもダイアートの方が優れていたという報告があります( 2017 Oct 1;244:242-244.)。

トラセミド(薬剤名ルプラック)
●浮腫に使用されます。
●利尿効果は服用後1時間以内に発現し、効果の持続時間は約6~8時間です。
●他のループ利尿薬よりも、副作用の低カリウム血症が起こりにくいとされています。カリウム値が低い人は、ラシックスやダイアートよりもルプラックの方が良いと考えられます。

代表的なサイアザイド系利尿薬の種類

トリクロルメチアジド(薬剤名フルイトラン)
●日本で一番使用されているサイアザイド系利尿薬です。
●高血圧症、浮腫の治療に適応がありますが、マイルドに血圧を下げる効果があり高血圧症に使われることが多いです。
●尿を出す効果は弱く、浮腫の治療にはあまり使用されません。

インダパミド(薬剤名ナトリックス、テナキシル)
●高血圧の治療に使用されます。
●日本ではトリクロルメチアジドよりも使用頻度は低いですが、海外の臨床試験では多く使用されています。作用持続時間は約24時間です。
●トリクロルメチアジドと比較すると、インダパミドの方が血圧を下げる効果が高く、尿酸値が上昇する副作用が少ないとされています。
●80歳以上の超高齢者を対象とした試験では、脳卒中を30%、脳卒中死亡を39%、総死亡を21%減少させたという報告があります(N Engl J Med. 2008;358:1887-98.)。

ヒドロクロロチアジド(薬剤名ヒドロクロロチアジド)
●高血圧症、浮腫の治療に使用されますが、トリクロルメチアジド同様に、高血圧症に使われることが多いです。
●単独でも使用できますが、ARBという種類の血圧を下げる薬と一緒に配合され、配合錠として販売・使用されることの方が多いです

 

抗アルドステロン性利尿薬の種類

スピロノラクトン(薬剤名アルダクトンA)
高血圧症、浮腫、腹水などの治療に使用します。
●高血圧症の中でも、特にアルドステロン過剰分泌による高血圧症に有効です。
●肝硬変の腹水貯留に良く使用されます。

●保険適応はありません(2018年9月時点)が、心不全の治療にも使用され、重症心不全に対して死亡率を30%減少させたという報告があります(N Eng J Med 1999; 341: 709-717.)。

蛋白尿を減少させる効果が確認されています。

抗男性ホルモン作用も合わせ持ち、保険適応外でニキビ治療に使用されることもあります。
●ただし、抗男性ホルモン作用により、女性型乳房(男性の乳房がふくらむ)、月経不順などの副作用が出ることがあり注意が必要です。この副作用は、類似薬のエプレレノン(薬剤名セララ)より起こりやすいです。

併用禁忌
①類似薬のエプレレノン(薬剤名セララ)
免疫抑制剤のタクロリムス(薬剤名グラセプター、プログラフなど)
⇒高カリウム血症になることがあるため禁忌

②副腎癌、クッシング症候群治療薬のミトタン(薬剤名オペプリム)
⇒併用薬の効果が落ちる可能性があるため禁忌

エプレレノン(薬剤名セララ)
高血圧症、慢性心不全の治療に使用されます。
●類似薬のスピロノラクトン(薬剤名アルダクトンA)と異なり、浮腫・腹水の適応はありません(2018年9月時点)。

●急性心筋梗塞後に左心機能不全および心不全を合併した患者の死亡率を減少させるという報告があります(N Engl J Med 2003; 348:1309-1321)。

蛋白尿を減少させる効果が確認されています。

●抗男性ホルモン作用はスピロノラクトンよりもずっと弱く、女性型乳房(男性の乳房がふくらむ)、月経不順などの副作用は起こりにくいです。
腎機能や肝機能が落ちているときは、このお薬が使用できない場合があるので注意が必要です(詳細は添付文書をご覧ください)。

●「血清カリウム値を原則として投与開始前、投与開始後(又は用量調節後)の1週間以内及び1ヵ月後に観察し、その後も定期的に観察すること」となっています。

併用禁忌
血清カリウム値が上昇するおそれがあるため以下の薬剤との併用は禁忌です。
カリウム保持性利尿薬
スピロノラクトン(薬剤名アルダクトンA)
トリアムテレン(薬剤名トリテレン)
カンレノ酸カリウム(薬剤名ソルダクトン:注射薬です)

カリウム製剤
塩化カリウム(薬剤名スローケー)
グルコン酸カリウム(薬剤名グルコンサンK)
アスパラギン散カリウム(薬剤名アスパラカリウム)など

抗真菌薬
イトラコナゾール(薬剤名イトリゾール、イトラートなど)

抗HIV治療薬
リトナビル、リトナビル含有製剤(薬剤名ノービア、カレトラ)
ネルフィナビル(薬剤名ビラセプト)

*上記の抗真菌薬と抗HIV治療薬は、エプレレノンの血中濃度が上昇し、血清カリウム値の上昇を誘発するおそれがある。

●「CYP3A4阻害薬と併用する場合には、エプレレノンの血中濃度が上昇し、血清カリウム値の上昇を誘発する可能性があるため、エプレレノンの投与量は1日1回25mgを超えないこと」となっています。

CYP3A4阻害薬の例
 クラリスロマイシン
 エリスロマイシン
 ベラパミル塩酸塩等
 フルコナゾール
 サキナビル

エサキセレノン(商品名ミネブロ)
高血圧症治療薬。
●2019年5月に発売された新しい抗アルドステロン性利尿薬。
●臨床開発では、本態性高血圧症患者を対象とした比較試験で、エプレレノンに対し降圧効果の非劣性が確認されています。
●エプレレノンを高血圧に使用する場合は、「微量アルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病患者」・「中等度以上の腎機能障害」・「イトラコナゾールとの併用」には禁忌ですが、エサキセレノンの禁忌は「重度の腎脳障害」です。
●つまり、エプレレノンより処方のハードルが下がったといえます。

併用禁忌
血清カリウム値が上昇するおそれがあるため以下の薬剤との併用は禁忌です。
カリウム保持性利尿薬
スピロノラクトン(薬剤名アルダクトンA)
トリアムテレン(薬剤名トリテレン)
カンレノ酸カリウム(薬剤名ソルダクトン:注射薬です)

カリウム製剤
塩化カリウム(薬剤名スローケー)
グルコン酸カリウム(薬剤名グルコンサンK)
アスパラギン散カリウム(薬剤名アスパラカリウム)など

3つの抗アルドステロン薬で必ずチェックすることは?
●併用禁忌薬剤
●腎機能
●カリウム値

 

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