喫煙によりCYP1A1、CYP1A2が誘導されることがある。
CYP1A1、CYP1A2で代謝される薬剤は、喫煙により薬剤のクリアランスが上昇し、血中濃度が低下し、作用が減弱する可能性がある。
逆を言えば、禁煙することで血中濃度が上昇する可能性がある。
ー 注意するケース ー
喘息でテオフィリンを服用していた人が、服用量を減量することなく突然禁煙をすると、血中濃度が上昇することがある。
中毒域まで血中濃度が上昇すると、吐き気・頭痛・頻脈・痙攣などが生じるため、テオフィリン服用患者に禁煙をすすめる場合はDrとの連携が必要となる。
また、薬剤への影響ではないが、女性ホルモン剤を飲んでいると喫煙は心筋梗塞等のリスクになるため注意が必要である。
喫煙によりCYP1A1が誘導される薬剤
CYP1A1が誘導されて減弱する薬剤
リオシグアト(アデムパス®)
適応
●外科的治療不適応又は外科的治療後に残存・再発した慢性血栓塞栓性肺高血圧症
●肺動脈性肺高血圧症
喫煙者(外国人での成績)では本剤の血漿中濃度が50〜60%低下する。
CYP1A2が誘導が誘導されて減弱する薬剤
ラサギリン(アジレクト®)
適応
●パーキンソン病
オランザピン(ジプレキサ®)
適応(剤形で適応が異なる。次はジプレキサ®錠の適応)
●統合失調症
●双極性障害における躁症状及びうつ症状の改善
●抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)
テオフィリン(テオドール®)
適応(剤形で適応が異なる。次はテオドール®錠の適応)
●気管支喘息
●喘息性(様)気管支炎
●慢性気管支炎
●肺気腫
チザニジン(テルネリン®)
適応
●下記疾患による筋緊張状態の改善
頸肩腕症候群、腰痛症
● 下記疾患による痙性麻
痺脳血管障害、痙性脊髄麻痺、頸部脊椎症、脳性(小児)麻痺、外傷後遺症(脊髄損傷、頭部外傷)、脊髄小脳変性症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症
男性喫煙者(>10本/日)に本剤を投与したことにより、本剤のAUCが約30%減少したとの報告がある。
エルロチニブ(タルセバ®)
適応
●切除不能な再発・進行性で、がん化学療法施行後に増悪した非小細胞肺癌
● EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な再発・進行性で、がん化学療法未治療の非小細胞肺癌
喫煙によりエルロチニブのAUC(平均値)が64%低下した。
メラトニン(メラトベル®)
適応
●小児期の神経発達症に伴う入眠困難の改善
ピルフェニドン(ピレスパ®)
適応
●特発性肺線維症
タバコにより本剤のAUCが約50%に減少したとの報告がある。
CYP1A1とCYP1A2が誘導されて減弱する薬剤
イストラデフィリン(ノウリアスト®)
適応
●レボドパ含有製剤で治療中のパーキンソン病におけるウェアリングオフ現象の改善
機序不明だが作用が減弱
リトナビル(ノービア®)
適応
●HIV感染症
喫煙により本剤のAUCが減少するおそれがある。
喫煙が禁忌の薬剤
35歳以上で1日15本以上の喫煙者では、心筋梗塞等の心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告があるため、以下の薬剤は禁忌となる。
デソゲストレル・エチニルエストラジオール(マーベロン®)
レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール(アンジュ、トリキュラー®)
ノルエチステロン・エチニルエストラジオール(シンフェーズ®)
適応
●避妊
ノルエチステロン・エチニルエストラジオール(ルナベル®)
適応
●月経困難症
ドロスピレノン・エチニルエストラジオール(ヤーズフレックス®)
適応
●子宮内膜症に伴う疼痛の改善
●月経困難症
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