エチゾラム(デパス®)は
●神経症における不安・緊張・抑うつ・神経衰弱症状・睡眠障害
●うつ病における不安・緊張・睡眠障害
●心身症(高血圧症,胃・十二指腸潰瘍)における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害
●統合失調症における睡眠障害
●下記疾患における不安・緊張・抑うつおよび筋緊張
頸椎症,腰痛症,筋収縮性頭痛
などに使用される薬剤だ。
先発品のデパス®もジェネリックのエチゾラム錠も(区分上は)全て普通錠で、口腔内崩壊錠(OD錠)はない。
しかし、製剤工夫を施し、OD錠じゃないのにOD錠のようにサッと口の中で溶けるように工夫したジェネリックがある。
それがエチゾラム錠「EMEC」。
エチゾラム錠「EMEC」の 製剤学的特性として、IFに以下の記載がある。
「本剤は、薬効成分を含む湿潤粉体を直接打錠し、乾燥させることにより製した、内部が多孔構造となった錠剤(湿製錠)である。」
湿製錠(molded tablets)とは?
湿製錠は薬品を含む湿潤した練合物を一定の型にはめ込んで成形した後、乾燥して製するもので、口腔内で速やかに崩壊する錠剤などの限られた用途に利用されている。
錠剤内部にたくさんの空隙があり、水分が速やかに浸透し崩壊する。
また、結合剤が湿った粉体の中で架橋することにより、通常の錠剤と同程度の硬度を持つ錠剤であることが特徴である。
注意:「湿性」錠ではない
デパス®錠0.5mgとエチゾラム錠0.5mg「EMEC」では大きさが以下のように大分異なる。
●デパス®錠0.5mg
直径6.5mm
●エチゾラム錠0.5mg「EMEC」
直径9.5mm
しかし、エチゾラム錠「EMEC」は素早く口腔内で溶けるため、見かけ以上に飲みにくいということはない。
先発→ジェネリックに変更して調剤した際には説明をしておくと患者さんも安心するだろう。
また、嚥下困難を抱えている人には有用かもしれない。
さらに、薬剤師目線だが、デパス®細粒の処方がエチゾラム錠「EMEC」に変更できるなら調剤時間が短縮できて非常に嬉しい…。
湿製錠はエチゾラム錠0.5mg「EMEC」以外にもある。
例えば
トリアゾラム錠「EMEC」
エチゾラム錠「EMEC」
ドンペリドン錠「EMEC」
ブロチゾラム錠「EMEC」
エナラプリルマレイン酸塩錠「EMEC」
ドキサゾシン錠 1㎎/2㎎/4㎎「EMEC」
シンバスタチン錠5㎎「EMEC」
などである。
参考:湿製錠の開発経緯
この中でとりあげたいのがドンペリドン錠「EMEC」。
先発品にはすでにOD錠のナウゼリン®OD錠がある。先発品とジェネリックの直径・厚さを比較すると…
●ナウゼリン®OD錠5
直径:6.0mm
厚さ:2.3mm
●ナウゼリン®OD錠10
直径:7.0mm
厚さ:2.6mm
●ドンペリドン錠5mg「EMEC」
直径:8.0mm
厚さ:3.2mm
●ドンペリドン錠10mg「EMEC」
直径:9.5mm
厚さ:4.1mm
ジェネリックの方が圧倒的に大きい…。が、問題はない。
湿製錠は口の中ですぐに溶け、そして先発品のOD錠で感じる若干の苦味も少なく、飲みやすいのだ。
この湿製錠をうまく使えば、ナウゼリン®DSを使用しなくてすむかもしれない。
というのも、ナウゼリンDSは粉であるため測り取らないといけず、錠剤をそろえるよりも調剤に時間がかかる。また、粉の量が多くなりやすく、小児の服薬コンプライアンスに多少の影響があると考えられる。
しかし、湿製錠ならまるでお菓子のラムネのように口に含むだけであっという間に口の中で溶けていく。
吐き気の強い患者に「粉を水で溶かして服用させる」のと、「錠剤を唾液であっという間に溶かして服用させる」ならどちらの方が患者負担が少ないかは一目瞭然(だよね?)。
口腔内崩壊錠/OD錠と記載がなくても、まるでOD錠のようにさっと口の中の唾液により崩壊する錠剤もある!
●デパス®にはOD錠がないがエチゾラム錠「EMEC」に変更すればOD錠のように服用できる。
●ドンペリドン錠「EMEC」をうまく使えばナウゼリン®DSを使用しなくてもすむかもしれない?
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