キサラタン®点眼液とそのジェネリックの保存について
先発品であるキサラタン®点眼液の保存方法
開封前:2~8℃の冷所で、遮光して保存
開封後:専用の袋(遮光袋)に入れていれば室温(1〜30℃)で保存可能。
<保存方法の根拠>
外出・旅行等の携行時の保存方法に関するお問い合わせを多くいただく状況が続いたことから、当局とも相談の上、苛酷試験のデータをもとに「開封後は、専用の袋に入れておけば、室温(1~30℃)で保存することもできます(冷蔵庫での保存も可能です)。」という文言を患者様用パンフレット等に記載することといたしました。
このような経緯から、未開封の製品は使用期限(3 年)まで品質を保持するために冷所(2~8℃)保存としておりますが、開封後の製品は開封後の期限(4週間)までの保存を前提に室温(1~30℃)保存も可能としております。
参考:ヴィアトリス製薬のDI情報より
なので、先発品のキサラタン®は「使う前は冷蔵庫、使い始めたら室温保存OK」ということ。
さて、ジェネリックのラタノプロスト点眼液の中には、開封前から室温保存可能なものもあるので紹介する。
ジェネリック・ラタノプロスト点眼液の保存方法
以下、添付文書を参考に保存方法をまとめてみた(2022年9月時点)。
遮光保存
●ラタノプロスト点眼液0.005%「三和」
室温保存
●ラタノプロスト点眼液0.005%「TOA」
●ラタノプロスト点眼液0.005%「ニットー」
●ラタノプロスト点眼液0.005%「NP」(ベンザルコニウムを含まない)
遮光・室温保存
●ラタノプロスト点眼液0.005%「TS」
●ラタノプロスト点眼液0.005%「日医工」
●ラタノプロスト点眼液0.005%「NIG」
●ラタノプロスト点眼液0.005%「サワイ」
●ラタノプロスト点眼液0.005%「サンド」
●ラタノプロスト点眼液0.005%「トーワ」
●ラタノプロスト点眼液0.005%「科研」
●ラタノプロスト点眼液0.005%「CH」
●ラタノプロスト点眼液0.005%「NS」
●ラタノプロスト点眼液0.005%「ケミファ」
●ラタノプロスト点眼液0.005%「ニッテン」(ベンザルコニウムを含まない)
●ラタノプロストPF点眼液0.005%「日点」(ベンザルコニウムを含まない)
2~8℃で保存
●ラタノプロスト点眼液0.005%「SEC」
●ラタノプロスト点眼液0.005%「センジュ」
●ラタノプロスト点眼液0.005%「杏林」
遮光、2~8℃で保存
●ラタノプロスト点眼液0.005%「わかもと」
●ラタノプロスト点眼液0.005%「キッセイ」
なんと、ジェネリックでは「2~8℃保存」よりも「室温保存」できる方が多いのだ。
なお、参考までにベンザルコニウムを含まない製剤は次の3つ(2022年9月時点)。
●ラタノプロスト点眼液0.005%「ニッテン」
●ラタノプロストPF点眼液0.005%「日点」
●ラタノプロスト点眼液0.005%「NP」
ソフトコンタクトレンズ使用者には上記3つを提案するのもよいかも。
あれ?
ラタノプロスト点眼液0.005%「ニッテン」
ラタノプロストPF点眼液0.005%「日点」
同じニッテン?
なにが違うのか比較してみよう。
★ラタノプロスト点眼液0.005%「ニッテン」
製造販売元:ロートニッテンファーマ株式会社
添加物:ホウ酸、トロメタモール、ポリオキシエチレンヒマシ油、エデト酸ナトリウム水和物、安息香酸ナトリウム、pH調節剤
★ラタノプロストPF点眼液0.005%「日点」
製造販売元:ロートニッテン株式会社
添加物:添加物ホウ酸、トロメタモール、ポリオキシエチレンヒマシ油、エデト酸ナトリウム水和物、pH調節剤
製造販売元が異なるな。あと添加物がちょっと違うだけ?いやそれだけではない。
ラタノプロストPF点眼液0.005%「日点」の最大の特徴は、マルチドーズ型点眼容器である PFデラミ容器®を使用していること!
PFデラミ容器Ⓡは、キャップ、ノズル、メンブランフィルター*、プラグホルダー、インナープラグそして二層ボトルから構成されている。
*メンブランフィルター:孔径0.22μmのフィルターにより、外部からの細菌、真菌などの侵入を防ぐ。
「一般的な点眼瓶と同じ使用感で、防腐剤を含まない点眼液を提供できる点眼容器」というコンセプトのもと、「PFデラミ容器Ⓡ」が開発されたそうだ。
既存の目薬の容器とはまったく異なることに驚きだ。
ラタノプロスト点眼液0.005%「ニッテン」とラタノプロストPF点眼液0.005%「日点」は、名前が紛らわしいから、処方・調剤時・発注時は気を付けないと間違えそう…
なお、PFの由来は次の通り。
Preservative Free:防腐剤無添加
PF点眼液(後発品)から通常の点眼液(後発品)への変更(その逆も)、薬剤料が同額以下であれば変更できるとのこと。
ただし、PF点眼液から通常の点眼液へ変更する際には要注意!
患者がソフトコンタクトレンズ使用者で、DrがあえてPF点眼液を処方した可能性があるかもしれないからだ。
ちなみに、一般名処方で「ラタノプロスト点眼液」が来た場合は、「通常の点眼液」と「PF点眼液」のどちらでも調剤することが可能。
●キサラタン®とそのジェネリックでは保存方法が異なる場合がある。
未開封でも室温保存可能なものも!
●ジェネリックではベンザルコニウムを含まないものがある。
●名称にPFがついているものは、容器が特殊なもの。
参考:各薬剤の添付文書、IF
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