インスリン分泌経路
インスリンの分泌経路を簡略して説明すると以下のようになる。
膵臓のβ細胞にグルコースが入り、代謝され、ATPが増える…①
↓
ATPによりカリウム(K+)チャネルが閉じて、K+の細胞内から外への放出が抑制…②、③
↓
細胞内K+濃度の上昇により脱分極が起こる…④
↓
脱分極により、電位依存性Ca2+チャネルが開き、細胞外から内へCa2+が入る…⑤
↓
結果、インスリンが分泌される…⑥、⑦
つまり、β細胞内のK+やCa2+の濃度が上昇すると、インスリン分泌が促進する。
インスリン分泌に影響する薬剤
●血糖値を低下させる薬剤
以下の薬剤は、ATP依存性K+チャネルを閉じることで、インスリン分泌を促進し、血糖値を低下させる。
糖尿病治療薬のSU剤(アマリール®など)
速効型インスリン分泌促進薬(グルファスト®など)
また、レボフロキサシン(クラビット®)、ジソピラミド(リスモダン®)、シベンゾリン(シベノール®)も同じ作用機序でインスリン分泌を促進し、低血糖をおこすことがあると考えられている。
●血糖値が上昇する可能性のある薬剤
以下の薬剤は、低K血症を起こすことがある。低K血症では膵細胞内のK+濃度が低く、脱分極が起きにくい。そのため、インスリン分泌が低下し、場合によっては血糖値が上昇する。
フロセミド(ラシックス®)などのループ利尿薬
トリクロルメチアジド(フルイトラン®)などのサイアザイド系利尿薬
グリチルリチン製剤(甘草を含む漢方、グリチロン®配合錠など)
また、フェニトイン(アレビアチン®、ヒダントール®)は低Ca血症を起こすことがある。低Ca血症により細胞内Ca2+濃度が低下するとインスリン分泌が低下し、血糖値が上昇することがある。
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