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血液、抗血小板・抗凝固薬

アスピリンのよくある誤解と、意外と知られていないこと。

今回はアスピリンの誤解と、あまり知られていない(?)ことを紹介します。

誤解①
よく、アスピリンはピリン系だ!という人がいるがこれは間違い。
構造式が全く別物です。詳しくは以下をお読みください。

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誤解②
バイアスピリン®錠は腸溶錠だから噛んではいけない。

はい、アスピリンによる胃粘膜の刺激を避けるために、通常は噛んで服用してはいけません。しかし、例外があります。

それは、「急性心筋梗塞ならびに脳梗塞急性期の初期治療において、抗血小板作用の発現を急ぐ場合」です。この場合は、初回投与時には本剤をすりつぶしたり、かみ砕いて服用すること、と添付文書に記載されています。

 

誤解③
低用量81~100mgだと抗血小板作用があるけど、300mg~だと抗血小板作用はないんでしょ?

これはバファリン®配合錠A330の適応が頭痛、歯痛、月経痛、感冒の解熱などのため、1回300mg程度だと抗血小板作用がないと思われているのだと思うが、実はそうでもありません。

バイアスピリン®錠の添付文書をよく読んでみると…

狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)、冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後における血栓・塞栓形成の抑制に使用する場合

通常、成人にはアスピリンとして100mgを1日1回経口投与する。
なお、症状により1回300mgまで増量できる。

またインタビューフォームには以下の記載があります。

海外における大規模臨床試験などから、低用量アスピリンとして血小板凝集抑制効果が認められる用量は、75~350mg/日であること、アスピリン・ジレンマや高用量アスピリンで
の出血性合併症の増加を踏まえて、上記効能又は効果の用法及び用量を低用量アスピリンと
して100~300mg、1日1回と設定した。

このように、1日1回300mgでも抗血小板作用はあることがわかります。

そういえば、バファリン配合錠A330は製造販売中止の案内があり、経過措置期間(予定)は2022年3月末日までだそうです。

 

誤解④
アスピリンは小児のインフルエンザに禁忌ですよね?

バイアスピリン®の添付文書には以下の記載があります。

米国においてサリチル酸系製剤とライ症候群との関連性を示す疫学調査報告があるので、本剤投与中の15歳未満の川崎病の患者が水痘、インフルエンザを発症した場合には、投与を中断することを原則とするが、やむを得ず投与を継続する場合には、慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察すること。

ということで禁忌ではなく、原則中断。ただし慎重投与が可能。
なお、これは投与を推奨するという意味ではありませんのでご注意を。

 

意外と知られていないこと①
川崎病に適応があり、急性期有熱期間は、30~50mg/kg/日、分3。
解熱後の回復期から慢性期は、3~5mg/kg/日、分1。

なぜ時期によって量が違うのかは以下をお読みください。
それと、急性期有熱期間は分3、解熱後の回復期から慢性期は分1ですのでご注意を。

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意外と知られていないこと②
大腸がんを予防する薬としてアスピリンが期待されていること。
ただし、アスピリンを長期に服用すると胃腸障害や出血リスクがあるため、全ての人が大腸がん予防のためにアスピリンを飲むことはお勧めできません。
このことは、日本消化器病学会の健康情報誌「消化器のひろば」No.10にも記載があります。

 

意外と知られていないこと③
1回600mg飲めば、かなり強い鎮痛効果があります。

アスピリン600mg
≒ 経口トラマドール50mg
≒ 経口モルヒネ10mg
≒ コデインリン酸塩60mg
トラムセット®1T

と言われています。

 

意外と知られていないこと④
経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される心疾患に使用する場合、アスピリンは、プラビックス®もしくはエフィエント®とずっと併用するんですよね?

血小板薬2剤併用療法はDAPT(dual antiplatelet therapy)と呼ぶことがあります。

2020 年 JCS ガイドライン フォーカスアップデート版(冠動脈疾患患者における抗血栓療法ガイドラインでは、リスクに応じて1~3カ月または3~12カ月のDAPTを続けたのち、アスピリン or P2Y12阻害薬(=プラビックス®、エフィエント®)単剤の投与を推奨しています。
つまり、ある程度の期間は併用しますが、時期がくれば単剤でもOkというこです。

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意外と知られていないこと⑤
イブプロフェン(ブルフェン®)と低用量アスピリン(バイアスピリン®100mg、バファリン®配合錠A81)を併用すると、アスピリンの抗血小板作用が低下する可能性があるため注意が必要である。

詳しくは以下をお読みください。

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