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ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害薬の種類とは?PDE3、PDE4、PDE5阻害薬を覚えよう

ホスホジエステラーゼ(PDE)をターゲットとする薬剤にはいくつか種類があることを知っているだろうか?
今回は簡単にPDE3、PDE4、PDE5を阻害する薬剤を紹介する。

PDE3阻害薬

シロスタゾール(プレタール®)
<作用機序>
血小板と血管平滑筋のPDE3活性を選択的に阻害しcAMP濃度を上昇させることで、抗血小板作用血管拡張作用を発揮する。

抗血小板作用により抗血栓作用を示すとともに、
血管拡張作用により脳梗塞慢性期患者の血流量を増加させること、下肢血流量を増加させ末梢の血行動態を改善することが確認されている。

 

<適応>
①慢性動脈閉塞症に基づく潰瘍、疼痛及び冷感等の虚血性諸症状の改善
②脳梗塞(心原性脳塞栓症を除く)発症後の再発抑制

 

<特徴、その他>
脳梗塞再発のリスクを40.3%軽減させた報告がある(IFより)。

サブスタンスPの合成低下を抑制することで嚥下機能を改善する効果があるので、誤嚥性肺炎の予防に適応外で使用されることがある。

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参考までに、血栓には大きくわけて白色血栓、赤色血栓がある。
血栓治療薬には抗血小板薬や抗凝固薬などがあるが、血栓の種類によって使い分けることを覚えておこう。

白色血栓:動脈にできやすく、血小板が関与 → 抗血小板薬で治療

赤色血栓:静脈にできやすく、凝固系が関与 → 抗凝固薬で治療

代表的な抗血小板薬にはアスピリン、シロスタゾール(プレタール®)、クロピドグレル(プラビックス®)など。

抗凝固薬にはワーファリン®、プラザキサ®、イグザレルト®、エリキュース®、リクシアナ®がある。抗凝固薬の作用点は以下の表を参考に。

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PDE4阻害薬

アプレミラスト(オテズラ®)
<特徴>
2017年3月に発売された、比較的新しいお薬。
尋常性乾癬、関節症性乾癬、ベーチェット病に対する世界初の低分子の経口PDE4阻害剤。

投与開始時には、悪心、下痢、嘔吐等の発現を軽減するため、スターターパック(10mg 4錠、20mg 4錠、30mg 19錠が入っている)を用いて漸増投与を行う。
6日間かけて徐々に増やしていく。

<作用機序>
PDE4を阻害することで細胞内のcAMPレベルを上昇させ、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、インターロイキン(IL)-17、IL-23 等種々の炎症性サイトカインの産生を抑制し、炎症反応を抑制すると考えられている。

 

<適応>
局所療法で効果不十分な尋常性乾癬
関節症性乾癬
局所療法で効果不十分なベーチェット病による口腔潰瘍

 

ジファミラストモイゼルト軟膏®)
<特徴>
2021年9月27日に製造承認された、日本初の外用PDE4阻害剤(油脂性軟膏剤)。
適応はアトピー性皮膚炎(AD)で、軽症から中等症のアトピー性皮膚炎の症状を改善する。
既存のADの外用薬と作用機序が異なり、PDE4の酵素活性を選択的に阻害して抗炎症作用を示す。

成人には1%製剤、小児には0.3%製剤を1日2回使用する。
ただし小児でも症状に応じて1%製剤を1日2回使用可能。

<適応>
アトピー性皮膚炎

<作用機序>
PDE4は多くの免疫細胞に存在し、cAMPを特異的に分解する働きを持つ。
ジファミラストはPDE4を阻害することで、炎症細胞の細胞内cAMP濃度を高め種々のサイトカイン及びケモカインの産生を制御することにより皮膚の炎症を抑制する。

アトピー性皮膚炎患者の末梢血白血球では PDE4 様活性が亢進し、細胞内 cAMP濃度が低下していることが報告されており、ジファミラスト(モイゼルト軟膏®)のアトピー性皮膚炎に対する治療効果が期待される。

 

 

PDE5阻害薬

PDE5阻害薬にはシルデナフィル、バルデナフィルタダラフィルがある。
どれも保険適応外で
勃起不全(ED)に使用されるが、中には肺動脈性肺高血圧症・前立腺肥大症に伴う排尿障害に使用されるものもある。

PDE5阻害薬一覧と適応症

シルデナフィル
バイアグラ®→勃起不全
レバチオ®→肺動脈性肺高血圧症

 

バルデナフィル
レビトラ®→勃起不全

 

タダラフィル
シアリス®→勃起不全
アドシルカ®→肺動脈性肺高血圧症
ザルティア®→前立腺肥大症に伴う排尿障害

注意点は、成分が同じでも複数の適応があり、適応が違えば薬剤名も異なることだ。
タダラフィルにはなんと3つの薬剤名がある。

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なお、ザルティア®(前立腺肥大の薬)とザイティガ®(前立腺がんの薬)の処方/調剤間違えの報告があるため、注意すること。

 

<PDE5阻害薬の作用機序>
PDE5を阻害することでcGMP量が増加し、効果を発揮する。

●勃起不全:海綿体平滑筋の弛緩による血流量の増加
●肺動脈性肺高血圧症:肺血管平滑筋の弛緩
●前立腺肥大症に伴う排尿障害:前立腺、膀胱平滑筋の血管拡張作用を介した血流増加

 

最後に…

ホスホジエステラーゼ(PDE)の中にはいくつか種類があること、そのうちPDE3、PDE4、PDE5のどれをターゲットにするかで効果がまるっきり違うことが今回わかったと思う。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

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