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呼吸器

誤嚥性肺炎の原因と予防薬。ACE阻害薬以外に有効な薬は?

誤嚥性肺炎とは

誤嚥とは口腔・咽頭内容物(唾液、食べ物)、胃液、胃内容物を気道内に吸引することであり、これによって生じる肺炎を誤嚥性肺炎という。

誤嚥性肺炎のうち、無意識のうちに細菌を含む口腔・咽頭内容物を微量に誤嚥することを「不顕性誤嚥」という。

これを予防することで肺炎発症率を下げることができ、また、抗菌薬使用量の減量・入院日数低下につながるので非常に重要である。

<不顕性誤嚥の発生機序 >
脳梗塞、特に大脳基底核領域の脳梗塞を起こした人や、高齢になるほど嚥下反射が遅延し、誤嚥性肺炎になりやすい。これには脳内のドパミンの産生量が大きく関わる。

まず、大脳基底核に障害が起こると、この部位にある黒質線条体からのドパミン産生量が減少する。
ドパミンはサブスタンスP(SP) の合成に関わるため、ドパミンが減少すると舌咽神経や迷走神経知覚枝でのSPの産生量が減少し、SPにより調節されている嚥下反射と咳反射が低下する

結果、不顕性誤嚥を起こしやすくなる。

また、口腔ケアも重要な要素である。ケアにより口腔内雑菌を減らすだけではなく、口腔内を歯ブラシで刺激するとSPの放出を促すという報告もある(JAMA. 2001 Nov 14;286(18):2235-6.)。

 

誤嚥性肺炎の予防薬(ただし適応外)

ハイリスク高齢患者において誤嚥性肺炎の予防効果を有するもの
●ACE阻害薬
●シロスタゾール
●アマンタジン
●半夏厚朴湯
●葉酸
●モサプリド

予防効果が期待されるもの
●カプサイシン

 

ACE阻害薬
ACEはアンジオテンシンⅠからⅡへの変換、ブラジキニンとSPの不活化にかかわる酵素。

SPの働きは上記で述べたが、ブラジキニンは気道を刺激し空咳を引き起こすことがある。ACE阻害薬によりSPとブラジキニンが増えると、嚥下反射と咳反射が改善される。

ACE阻害薬により肺炎のリスクが減るという報告がある(BMJ. 2012 Jul 11;345:e4260. doi: 10.1136/bmj.e4260.)。

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シロスタゾール
シロスタゾールは脳梗塞再発のリスクを40.3%軽減させる(プレタール®IFより)。
また、サブスタンスPの合成低下を抑制し、嚥下機能を改善する効果がある。これらの作用から、誤嚥性肺肺炎を予防すると考えられる。

 

アマンタジン
大脳基底核でのドパミン遊離促進薬である本剤の服用で、誤嚥性肺炎の発症を減らし、予防につながるのという報告がある(Amantadine and pneumonia. Lancet, 353:1157,1999.)。

 

半夏厚朴湯
半夏厚朴湯を脳変性疾患患者に投与すると嚥下反射時間が短縮する。
長期療養型病院に入院中の患者に半夏厚朴湯を投与すると、非投与群に比べて肺炎の発症率が有意に抑制された(J Am Geriatr Soc 55 : 2035―2040, 2007.)

 

葉酸
葉酸はドパミンをはじめとする脳内の神経伝達物質の合成に重要な役割を果たす。
葉酸欠乏は高齢者において嚥下機能を低下させ、誤嚥性肺炎の危険因子である。
また、葉酸の補充が肺炎の発症を抑止し得ることが明らかにされている(1)。

 

クエン酸モサプリド
胃瘻造設患者における誤嚥性肺炎の原因に、胃内容物の胃食道逆流からの誤嚥がある。
このような場合、クエン酸モサプリドを投与すると、非投与群に比べ肺炎の発症が有意に抑えられた(1)。

 

カプサイシン
赤唐辛子に多く含まれるカプサイシンは、咽頭および食道粘膜において知覚神経末端からのSPを放出させる作用を有している。
カプサイシン含有トローチを作成した試験では、食前のカプサイシントローチの投与は,高齢者の誤嚥性肺炎の予防に寄与する可能性があった(1)。

 

参考:
1:日本内科学会雑誌 2010 年 99 巻 11 号 p. 2746-2751

 

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