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腸疾患、排便

モビコールが水分制限・塩分制限のある患者さんにも使用できる理由とは?

モビコールの心不全・透析患者への使用は可能か?

モビコール®はマクロゴール4000、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウム を含む下剤で、日本では2018年11月から発売されている。

マクロゴール4000は高い浸透圧効果を有し、消化管内に水分を保持することで、用量依存的に便の排出を促進する。なお、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウムが添加されている理由は、便中の浸透圧を適正なレベルに保持するためである。

塩化ナトリウム(=つまり食塩)が含まれていることと、モビコール®は水に溶かして服用するモビコール®配合内用剤LDでは1包あたり水60mlに溶かす)ことから、塩分・水分制限のある心不全患者さんや、水分制限のある透析患者さんにも使用してよいのか調べてみた。


結論からいくと、
モビコール®は心不全・透析患者さんにも大きな問題もなく使用できそうだ。

製薬会社も「透析患者さん、心不全患者さんを対象にした有効性・安全性を検討したデータはありません。しかしながら、モビコールの溶解水・電解質はほとんど体内に吸収されないと考えられ、添付文書には、透析患者・心不全患者の禁忌・慎重投与の記載はなく、投与についての制限はありません。」としている。

では、どうして問題とならないのか。

まず、水分制限に関してだが、マクロゴールに保持された水分は吸収されにくく、腸管内および便中水分量を増加させる。
そのため、モビコール®を溶かした水は、体の中で吸収されずにそのまま腸に届くため、溶かす水の量を勝手に多くしない限りは大きな問題にならない

次に塩分に関して。
モビコール®配合内用剤LD1包中に塩化ナトリウムは0.1754g含まれている。
LDは1日最大6包まで服用可能で、その場合、塩化ナトリウムは1.0524g含まれている。最大量だと塩分が約1g含まれているので、結構な量である。

しかし、モビコールに含まれている塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウムなどの電解質は、便中の浸透圧を適正なレベルに保持するために利用され、体内へは吸収されないと推察されている。そのため、製薬会社は塩分制限をされている患者さんへの注意喚起は行っていない。

以上のことより、水分制限・塩分制限のある患者さんへの使用は大きな問題とはならない。

 

おまけ…モビコールは0.5包の分割処方は可能ですか?

マクロゴール4000、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウムの粉末を均一に配合しているが、粒子径が異なるため、輸送中の振動によって均一配合とならないことが予想される。
分包品であるモビコール®の0.5包の分割処方は避けたほうが無難である。

参考:モビコールの製品Q&A

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