こむら返りとは
ふくらはぎ、足の裏、ふとももの筋肉などが急に強く痙攣を起こし、痛みが出ることを「こむら返り」と言う。
原因としては、
体内の電解質異常(低マグネシウム、低カリウム、低カルシウムなど)や、一部の病気(甲状腺機能亢進症、バセドウ病、糖尿病、肝硬変、末梢神経障害など)などがある。
対策としてはマッサージやストレッチ、運動中はこまめに水分補給(ミネラルや塩分が入ったもの)をする、などである。
これでもダメな場合、多くの場合は芍薬甘草湯が処方される。
こむら返りに対する芍薬甘草湯の評判は非常に良い(経験談)。
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カルニチン欠乏症によるこむら返りとは
実は、カルニチンという物質が体内で欠乏することでもこむら返りが起こることが知られている。
カルニチンは脂肪酸をエネルギーとして利用するための必須栄養素。
主に、肝臓と腎臓で合成されるが、動物性食品(鶏肉、魚肉、乳製品など)からも摂取できる。
このカルニチンが欠乏すると、意識障害、低血糖発作、痙攣、筋力低下、重度のこむら返り、重度の倦怠感、横紋筋融解症などの症状が出ることがある。
カルニチンが欠乏する理由は
1:先天代謝異常
2:血液透析・腹膜透析
3:カルニチンを含まない経管栄養、完全静脈栄養
4:薬剤
など。
<カルニチン欠乏症を起こす薬剤の例>
●抗てんかん薬:
デパケン®、フェノバール®、アレビアチン®、テグレトール®
●ピボキシル基を有するプロドラッグ:
フロモックス®、メイアクト®、トミロン®など
●プラチナ製剤:
シスプラチンなど
抗てんかん薬としてメジャーなデパケン®。
デパケン®服用中のこむら返りは、もしかしたらカルニチン欠乏症が原因かもしれない。
カルニチン欠乏症治療薬~レボカルニチン(エルカルチン®FF)
カルニチン欠乏症治療薬にはレボカルニチン(エルカルチン®FF)が使用される。
<適応>
同薬剤には内用液、錠剤、注射剤とがあるが、全て適応は「カルニチン欠乏症」である。
<作用機序>
レボカルニチンを投与することにより慢性的なレボカルニチンの欠乏状態は是正され、プロピオニルCoA からプロピオニルカルニチンへの変換が促進される。
すなわち、レボカルニチンは、生体に対して有害な影響を及ぼすプロピオニル基を、毒性の弱いプロピオニルカルニチンとして、体外(尿中)へ排泄させるとともに遊離 CoA を増加させ、ミトコンドリア機能を保護し、その代謝を賦活してエネルギー代謝を改善させるメカニズムにより治療効果を発現する。(IFより)
☞作用機序を1回読んで理解できた方はすごいなあ。
<用法用量>
エルカルチン®の内用液、錠剤の成人用量は1日1500~3000mg、1日3回。
小児量は、各自で添付文書を確認。
なお、予防投与は1日250~750mgとなっている(参考:カルニチン欠乏症の診断・治療指針 2018)。
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