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腎臓・腎機能低下・尿酸

腎機能の指標と計算方法-クレアチニンクリアランスとeGFR。Cr値が使えないときはシスタチンC値を使う!

eGFRの計算(クレアチニンを用いた式、シスタチンCを用いた式)、クレアチニンクリアランス(CCr)の計算は日本腎臓病薬物療法学会のサイトからできますので、ぜひ活用しましょう。

腎機能の指標:GFR、CCr、eGFR

□糸球体ろ過量(GFR)
1分間に糸球体でろ過される血漿量を示します。
GFRは簡単には測定できないので、実際の現場ではクレアチニンクリアランス(CCr)、推算糸球体ろ過量(eGFR)などで代用します

□CCrの算出方法
Cockcroft-Gault(コッククロフト・ゴールト)の式

CCr[ml/分]=(140-年齢)×体重/72×血清Cr値

*女性はこの値に0.85を掛ける。
*血清Cr値が0.6未満(寝たきりで筋肉量が少ないと0.2~0.3のことがある)や肥満患者では、腎機能を実際より良いと過大評価しやすい。肥満患者では理想体重で計算。

□eGFRの算出方法
1)日本人のeGFR推算式(Cr値使用)

eGFR[ml/分/1.73m2]=194×年齢-0.287×血清Cr値-1.094

*女性はこの値に0.739を掛ける。
*この推算式は体表面積が1.73m2(身長170㎝、体重63㎏)の標準体格に合わせて補正された値。通常90[ml/分/1.73m2]以上だと正常と見なされる。

*血清Cr値が0.6未満(痩せた患者など)では過大評価しやすいため、0.6を用いて計算することがある。
*薬物投与設計に使えるのは、標準体格の人の場合のみ。

2)体表面積補正を外したeGFR(Cr値使用)[mL/分]

eGFR×体表面積/1.73で求められる。

*血清Cr値が0.6未満(痩せた患者など)では過大評価しやすいため、0.6を用いて計算することがある。

3)シスタチンCを用いたeGFRcys[ml/分/1.73m2

eGFRcys[ml/分/1.73m2]=

男:(104×血清Cys-1.019×0.996年齢)-8
女:(104×血清Cys-1.019×0.996年齢×0.929)-8

*シスタチンCは血清蛋白質の1つで、年齢、筋肉量に依存しないマーカー。実測の腎機能と非常に良い予測性を保つ。


*血清Cr値はGFRが30~40mL/min前後まで低下しないと上昇しない。

*一方、シスタチンC はGFRが60~70mL/minくらいで上昇するので、血清Cr値よりも早期の腎障害に気づくことができる

*重度の腎機能障害は正確に評価できないため、血清Cr値が2mg/dL以上のときは使用せず、血清Cr値を使用して腎機能を評価するべき。

*ステロイド、シクロスポリン、甲状腺機能低下症でシスタチンCが高値になるので注意。

*H30の診療報酬では、「シスタチンC」は尿素窒素(BUN)又はクレアチニンにより腎機能低下が疑われた場合に、3か月に1回に限り算定できる。

 

4)体表面積補正をはずしたeGFRcys[ml/分]

eGFRcys×体表面積/1.73 で求められる。

eGFR[ml/分/1.73m2]の値をそのまま使用するのはダメ!?

腎機能低下患者への薬剤の用量調節を行うときは、
CCr[ml/分]、もしくは
体表面積補正を外したeGFR[ml/分]を参考にします

eGFR[ml/分/1.73m2]は、体表面積が1.73m2(身長170㎝、体重63㎏)の標準体格に合わせて補正されているので、標準体格の人だけに使える式です。それ以外の人はこの体表面積補正を外す必要があります。

理論上は、「CCr」と「体表面積補正を外したeGFR」は同等とされますが、計算式上では多少の誤差はあります。

実際に計算してみましょう。
例)身長150cm、体重45㎏、体表面積1.37m2、年齢70歳、血清Cr値1.1mg/dLの女性

計算すると
CCr=33.81[mL/min]

□eGFR=38.16[mL/分/1.73m2]

□実際の体表面積は1.37m2なので
体表面積補正を外したeGFR

=38.16×1.37/1.73
=30.22[mL/分]

今回のケースでは、「CCr」や「体表面積補正を外したeGFR」よりも、eGFR[mL/分/1.73m2]の方が数値が高いため、腎機能を高く見積っていることがわかると思います。

血清クレアチニン(Cr)値を使いにくいとき

血性Cr値の基準値は、
男性:0.6~1.2mg/dL
女性:0.4~1.0mg/dLで、
腎機能が低下するにつれて値が大きくなっていきます。

Crは筋肉内で作られるため、筋肉量が少ない高齢者では、腎機能が低下しても血清Cr値が低いことがあり、血清Cr値を使用して計算すると、腎機能を過大評価してしまうことがあります。

また、ネフローゼ症候群などによる低アルブミン血症や糖尿病患者では、Crの尿細管分泌が増加し、腎機能を過大評価してしまうことがあります。

早期の腎障害を発見するには、Cr値よりもシスタチンC値を用いて計算するほうがよいでしょう。

血清クレアチニン(Cr)値が高いからといって腎機能が低下しているとは限らない場合

ST合剤、シメチジン、コビシスタット(HIV治療薬)は尿細管におけるCrの尿細管分泌を阻害するため、腎機能の悪化がなくても(=GFRは変化しない)、血清Cr値がわずかに上昇することがあります。

このような時は、血清Cr値を使用するGFR推算式やCockcroft-Gault(コッククロフト・ゴールド)の式を用いることはできませんが、シスタチンCを用いると腎機能を正しく評価できます

また、ACE阻害薬/ARB投与により糸球体内圧が下がると糸球体ろ過量が減り、血清Cr値が上昇することがあります。投与前と後で、30%未満の上昇なら(例1.34→1.74までの上昇)、そのまま継続投与してよいとされています(CKD診療ガイド)。

クレアチニンクリアランス(CCr)がGFRを正しく反映しない理由とは?

ヒトの体では1日に約150Lの原尿が産生され、そのうち99%の水分と、必要な栄養素を再吸収しています。最終的には1日に約1.5Lの尿を排泄します。

糸球体ろ過量(GFR:glomerular filtration rate)とは、単位時間当たりの原尿の産生速度(=1分間に糸球体でろ過される血漿量)のことで、腎機能を表します。

GFR=150L/日
      ≒100mL/分

となるので、GFRの正常値は100mL/分です。

GFRを測定するには、イヌリンを注射で投与します。
イヌリンは生体内で代謝されず、タンパクと結合せず、糸球体で100%ろ過され、尿細管で全く再吸収も分泌もされないので、イヌリンクリアランス=GFRとなります。

一方、クレアチニンも生体内で代謝されず、タンパクと結合せず、糸球体で100%ろ過され、尿細管での再吸収はされませんが、尿細管でわずかに分泌されます。

このわずかに分泌されるクレアチンのため、クレアチニンクリアランス(CCr)はイヌリンクリアランス(=GFR)よりも10~20%ほど高めの数値になります。

正常時のイヌリンクリアランス=GFR=100mL/分ですが、
正常時のCCr=110~120mL/分となることに注意が必要です。

本来ならイヌリンクリアランスを用いて腎機能を評価すればよいのですが、イヌリンクリアランスの測定は煩雑ですぐに実施できるものではありません。

一方、CCrは生体内のクレアチニンを測定しており、注射をする必要がないため測定が簡便です。腎機能の指標でCCrが代用されることが多いのはこのためです。

まとめ

腎機能の評価はCCrかeGFRで代用。
eGFRは、Cr値もしくはシスタチンC値を用いる。
eGFRは患者の体表面積に直して使うこと。
シスタチンC値は軽度腎機能障害のときや、Cr値の使用が適さないときに有用。
イヌリンクリアランス=GFR
CCrはイヌリンクリアランス(=GFR)よりも数値が10~20%高い。  

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