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腎臓・腎機能低下・尿酸

ユリスとユリノームの違い、特徴。処方時の注意点。

高尿酸血症により起こりうる症状として痛風が有名だが、高尿酸血症は腎障害や心血管イベントの発症と関連する可能性も示唆されつつある。そのため、血清尿酸値を適切な値にまで低下させることはとても重要である。

なお、高尿酸血症は血清尿酸値が7.0mg/dLを超えるものと定義されている。

 

高尿酸血症の病型分類:簡便法

尿酸産生量の指標である「尿中尿酸排泄量」と、尿酸排泄脳の指標である「尿酸クリアランス」から、病型は「尿酸排泄低下型」と「尿酸産生過剰型」に分類される。
しかし一般の日常診療ではこれらの測定は容易ではないことから、簡便法が用いられることがある。

簡便法(感度54%、特異度68%)
尿中尿酸濃度/尿中クレアチニン濃度の比が
0.5以下→尿酸排泄低下型
0.5超 →尿酸産生過剰型
と判定する。

ただし、精度に課題があるため、0.5前後の解釈は慎重に行うこと。
なお、簡便法を実施するときは、尿酸値を下げる薬の服用は最低1週間は中止する。

 

ベンズブロマロン(ユリノーム®)

<作用機序>
近位尿細管における尿酸の再吸収を担うURAT1を阻害し、尿酸の尿中排泄を促進する。

 

<適応>
下記の場合における高尿酸血症の改善
①痛風
②高尿酸血症を伴う高血圧症

 

<用法用量>
①痛風:1日1回25mgもしくは50mg。維持量として1回50mgを1日1~3回。
②高尿酸血症を伴う高血圧症:通常1回50mgを1日1~3回。

*経験的にだが、1日1回の処方が多い。1日3回はまれだと思われる。

 

<注意点>
劇症肝炎等の重篤な肝障害が主に投与開始6ヶ月以内に発現し、死亡等の重篤な転帰に至る例も報告されているので、投与開始後少なくとも6ヶ月間は必ず、定期的に肝機能検査を行うこと。

ベンズブロマロンは主として肝代謝酵素CYP2C9によって代謝され、また、CYP2C9の阻害作用をもつ。
そのため、CYP2C9によって代謝される薬剤(例:ワーファリン)との併用には注意が必要。 

 

 

ドチヌラド(ユリス®)

ユリス®は、フェブリク®などに次ぐ新規の高尿酸血症治療薬で、2020年5月に発売された。

<作用機序>
尿酸分泌に関するABCG2、OAT1、OAT3を介した経路はほとんど阻害せず、近位尿細管における尿酸の再吸収を担うURAT1を選択的に阻害し()、尿酸の尿中排泄を促進する。

メーカーは「選択的に」というところを強調してプロモーションしている。

尿酸の排泄機構

腎臓の近位尿細管 において、
尿酸の再吸収には URAT1
分泌には ABCG2、OAT1、OAT3等が働いている。

また、尿酸は腎臓だけでなく腸管からもABCG2を介して分泌される。

URAT1:Urate transporter 1
ABCG2:ATP-binding cassette sub-family G member 2
OAT1:Organic anion transporter 1
OAT3:Organic anion transporter 3


上記写真はメーカー配布資料より。

<適応>
痛風、高尿酸血症

 

<用法用量>
尿酸降下薬による治療初期には、血中尿酸値の急激な低下により痛風関節炎(痛風発作)が誘発されることがある。

そのため、1日1回0.5mgから開始し、投与開始から2週間以降に1日1回1mg、投与開始から6週間以降に1日1回2mgとすることなど、徐々に増量する。
最大投与量は1日1回4mgまで。

 

<特徴>
フェブキソスタット(フェブリク®)あるいはベンズブロマロン(ユリノーム®)との第Ⅲ相非劣性試験において、投与終了時の血清尿酸値低下率にて両薬との非劣性が示された。

ベンズブロマロン対照:
本剤2mg/日群のベンズブロマロン50mg/日群に対する非劣性が示された。

フェブキソスタット対照:
本剤2mg/日群のフェブキソスタット40mg/日群に対する非劣性が示された。

 

また、ベンズブロマロンの肝障害の原因と考えられているミトコンドリア毒性や、肝薬物代謝酵素CYP2C9阻害による薬物相互作用が少ないという特徴がある

 

<処方時の注意点>
新規で尿酸値を下げる薬を処方する場合は、ユリス®は1日0.5mgから開始。
なお、ベンズブロマロン50mgから切り替えるときはユリス®1日2mgの処方が可能(メーカー回答)。

 

ユリノーム®、ユリス®の共通点    

①作用機序が同じ
②構造が似ている


③尿路結石に注意
尿酸排泄を促すことから、尿が酸性の場合には、尿路結石などを起こす可能性がある。
これを防止するため、水分の摂取による尿量の増加及び尿のアルカリ化をはかる必要がある。

 

感想

確かに、ユリノーム®の肝障害や薬物相互作用は注意が必要だが、ユリノーム®50mg≒ユリス®2mgということと、薬価のことを考えると、ユリノーム®の価値はまだあるように思える。
しかし、ザイロリック®の処方頻度が減り、フェブリク®の処方頻度が増えたことを踏まえると、今後ユリス®の処方頻度は増えるのかもしれない。

患者さんによっては、薬だけではなく生活習慣の見直しが必要な場合もあると思われる。
例えば、高プリン食のレバー、干物(マイワシ)、白子、カツオ、大正エビなどの過度の摂取を控えること、アルコールはそれ自体が血清尿酸値を上げるのでアルコールの摂取を適度な量にすることなど、必要に応じて説明することが大切である。

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