ウラリット®の適応とは
クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤であるウラリット®。
ウラリット®の適応は下記のように記載があります。
効能又は効果
痛風並びに高尿酸血症における酸性尿の改善
アシドーシスの改善
このように書いてあるので
痛風
高尿酸血症における酸性尿の改善
アシドーシスの改善
この3つの適応がある、つまり、痛風に適応があると思っている薬剤師・Drがたまにいますが、ウラリット®に痛風の適応はありません!
適応の記載をわかりやすく書き直すと
●下記疾患における酸性尿の改善
痛風
高尿酸血症
●アシドーシスの改善
となります。
繰り返しますが、ウラリット®に痛風の適応はありません。
なお、ウラリット®が酸性尿とアシドーシスを改善する理由は次の通りです。
ウラリット®は主にTCAサイクルで代謝され、代謝産物のHCO3-が塩基として作用する。
尿中HCO3-が上昇 → 酸性尿改善
血中HCO3-が上昇 → アシドーシス改善
でも、ウラリット®で尿酸値を下がったという人が…
ウラリット単独投与で尿酸値が下がったよ、という患者さんはいませんでしたか?
メーカーに確認したところ、『古い文献(1991年)だが、ウラリット®単独でも血清尿酸値を1mg程度は低下させるという報告がある』と教えてくれました。
なぜウラリット®で尿酸値が下がるのでしょうか?
メーカー製品情報には、
「ウラリット®服用による尿アルカリ化の結果、尿中の尿酸溶解度上昇と尿中尿酸クリアランスが改善され、わずかに血清尿酸値を低下させることが報告されています」とあります(一部改変)。
また、酸性尿と尿アルカリ化を比較すると、酸性尿の方が尿酸排泄が低下していること報告されています(参考1,2)
参考:
1:痛風と核酸代謝 第34巻 第1号 尿のアルカリ化は尿酸排泄を促進する
2:痛風と核酸代謝 第36巻 第1号 尿pHの尿酸排泄への影響
このように、尿アルカリ化が尿酸排泄に関わるポイントであることがわかります。
尿酸値が高いと何がいけないのか
尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態を高尿酸血症と言います。
高尿酸血症が長期化すると尿酸が結晶化・蓄積し、症状が出てくることがあります。
よく知られているのは痛風です。
また、痛風・高尿酸血症の約8割の患者では酸性尿(pH6.0未満)と言われています。
尿酸は、アルカリ性側で溶けやすく、酸性側では溶けにくい物質です。
酸性尿だと尿酸が析出しやすく、それが尿路や腎臓にたまると尿路結石や腎結石を起こしやすくなります。
高尿酸血症が尿酸結石を合併しやすい要因
①酸性尿
②尿量低下
③尿中尿酸排泄量の増加
さらに、腎臓に蓄積すると腎機能が悪化します。日本人を対象としたコホート研究では、血清尿酸値と血清クレアチニン(SCr)の上昇は有意に関連していることが報告(日本ケミファ株式会社のサイト情報)されています。
つまり、尿酸値が高いと
①痛風になりやすい
②石ができやすい(尿路結石・腎臓)
③腎機能が悪化する
ということです。
尿酸値を甘く見てはいけません。
痛風に合併する尿路結石の種類
痛風に合併する尿路結石は尿酸結石だけではなく、シュウ酸カルシウム結石等の場合もあります。
<115例の痛風患者に合併した尿路結石の成分>
尿酸>98% | 39(33.6%) |
---|---|
尿酸+シュウ酸カルシウム | 8(6.9%) |
シュウ酸カルシウム>98% | 51(44.0%) |
シュウ酸カルシウム+リン酸カルシウム | 18(15.5%) |
合計 | 116 |
(出典)清水徹ら:痛風と核酸代謝,2007,31(2),143-148
シュウ酸カルシウム結石ができるメカニズムとして考えられているのが、
「尿中の尿酸が一定の濃度を超えるとシュウ酸カルシウムの溶解度が下がり、結晶化した尿酸を核に、周囲にカルシウムとシュウ酸が凝集する」というものです。
ウラリット®処方時の注意
ウラリット®にはカリウムが含まれているため、腎機能が低下していると高カリウム血症のリスクがあるため、定期的な血液検査が必要です。
また、ナトリウムも含まれているため、高血圧患者にも注意したほうが良いでしょう。
ウラリット®U-配合散1g
=ウラリット®配合錠2錠
=クエン酸カリウム463mg/クエン酸ナトリウム水和物390mg
配合散1g=配合錠2錠に含まれるカリウムとナトリウムの量(mg)とmEq
カリウム:178mg。約4.5mEq 。
ナトリウム:104mg。約4.5mEq 。
アシドーシスの改善でウラリット®を処方すると、1日量6g(12錠)。
1日量のカリウムは27mEq!!
1日量のナトリウムを食塩量に換算すると約1.6g!!
これは要注意ですね。
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