抗血小板薬、抗凝固薬を使い分けるポイントは、脳梗塞の種類
基本は次のように薬剤を選択する。
非心原性脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞など)の2次予防
→抗血小板薬
心原性脳梗塞の2次予防
→抗凝固薬
では、非心原性脳梗塞と心原性脳梗塞の何が違うのか。
それは、血栓の形成に「血小板」と「凝固系」のどちらが大きく関与するのか、ということだ。
血流の早い動脈では、血栓の形成に血小板が関与。このときの血栓は、その色調から白色血栓とも呼ばれる。
非心原性脳梗塞は動脈系の血栓が原因なので、抗血小板薬が使用される。
一方、血流の遅い静脈では、血栓の形成にはフィブリン(凝固因子)と赤血球が中心で、赤色血栓とも呼ばれる。
心原性脳梗塞は静脈系の血栓が原因なので、抗凝固薬が使用される。
治療薬の種類
非心原性脳梗塞の再発予防に有効な抗血小板薬
アスピリン(商品名バイアスピリン)
<適応>
下記疾患における血栓・塞栓形成の抑制
①狭心症(慢性安定狭心症,不安定狭心症)
②心筋梗塞
③虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA),脳梗塞)
④冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後における血栓・塞栓形成の抑制
⑤川崎病(川崎病による心血管後遺症を含む)
シロスタゾール(商品名プレタール)
<適応>
①慢性動脈閉塞症に基づく潰瘍、疼痛及び冷感等の虚血性諸症状の改善
②脳梗塞(心原性脳塞栓症を除く)発症後の再発抑制
クロピドグレル(商品名プラビックス)
<適応>
①虚血性脳血管障害(心原性脳塞栓症を除く)後の再発抑制
②経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される下記の虚血性心疾患
ⅰ)急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)
ⅱ)安定狭心症、陳旧性心筋梗塞
③末梢動脈疾患における血栓・塞栓形成の抑制
心原性脳梗塞の再発予防に有効な抗凝固薬
ワルファリン(商品名ワーファリン)
<適応>
血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、緩徐に進行する脳血栓症等)の治療及び予防
ダビガトラン(商品名プラザキサ)
<適応>
非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
リバーロキサバン(商品名イグザレルト)
<適応>
①非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
②深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制
アピキサバン(商品名エリキュース)
<適応>
①非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
②静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制
エドキサバン(商品名リクシアナ)
<適応>
①非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
②静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制
③下記の下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制
膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術
ワーファリン®はV.K拮抗薬。
それ以外はDOAC(直接経口抗凝固薬)と呼ばれるが、プラザキサ®が抗トロンビン薬、それ以外の3つは第Ⅹa因子阻害薬に分類される。
患者さんから、脳梗塞予防に自分はイグザレルト®、知人はプラビックス®を飲んでいるけど、何で薬が違うの?と質問されたら、
「おそらく脳梗塞のタイプが異なるのだと思います。心臓由来の脳梗塞と、それ以外の脳梗塞では使用される薬剤が異なります。
一般に、心臓由来の脳梗塞では抗血小板薬、それ以外では抗凝固薬と呼ばれる薬が使用されます。」
というような説明ができるとよいだろう。
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