腰痛診療ガイドライン2019によると、腰痛・坐骨神経痛への薬物療法は推奨度1,エビデンスの強さBで、疼痛軽減・機能改善に有用であると評価されている。
腰痛には大きく分けて、急性腰痛、慢性腰痛の2つがあり、薬物治療の選択には少し差がでる。
急性腰痛に対する推奨薬剤
ボルタレン®、ロキソニン®、セレコックス®などのNSAIDs(1.A)
ミオナール®などの筋弛緩薬(2.C)
カロナール®(2.D)
トラマール®などの弱オピオイド(2.C)
ノイロトロピン®(2.C)
慢性腰痛に対する推奨薬剤
サインバルタ®などのセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(2.A)
トラマール®などの弱オピオイド(2.A)
ノイロトロピン®(2.C)
ボルタレン®、ロキソニン®、セレコックス®などのNSAIDs(2.B)
カロナール®(2.D)
坐骨神経痛に対する推奨薬剤
ボルタレン®、ロキソニン®、セレコックス®などのNSAIDs(1.B)
リリカ®、タリージェ®(2.D)
サインバルタ®などのセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(2.C)
( )内は腰痛診療ガイドライン2019による推奨度(数字)とエビデンスの強さ(アルファベット。
NSAIDsが急性腰痛と慢性疼痛で推奨度・エビデンスの強さが異なる点に注目だ。
急性期の痛みは炎症が大きく関与しており、まずはNSAIDsの投与を考慮する。
ただし、NSAIDsは上部消化管障害や腎機能障害といった副作用に注意が必要のため、長期間の使用は避けるべきである。特に腎機能が低下している高齢者や、バイアスピリン®などを服用している患者への使用は要注意。
上部消化管障害のことを考えると、ロキソニン®、ボルタレン®よりもセレコックス®の方が無難である。
カロナール®は抗炎症作用は弱いが、鎮痛作用があるので腰痛に使用される。NSAIDsと比較すると副作用も少なく、比較的安心して使える。
炎症が強い場合はNSAIDsが適しているが、高齢者、上部消化管障害、腎機能障害がある患者にはカロナール®のほうがよいだろう。
慢性腰痛ではサインバルタ®が使用されることがある。
もともとは抗うつ薬だが、痛みにも有効なことから疼痛の適応も取得した。
坐骨神経痛にはCaチャネルα2δリガンドのリリカ®、タリージェ®が使用可能。これらは神経系において興奮性神経伝達物質の遊離を抑制することで鎮痛効果をもたらす。
リリカ®、タリージェ®の特徴的な副作用にふらつき、めまい、眠気などがある。
服用開始1~2週間でこのような症状は軽減することが多い。こういった副作用を避けるために、少量からスタートするのが望ましいと思われる。
なお、リリカ®は「神経障害性疼痛薬物療法ガイドライン」では神経障害性疼痛に対する第一選択薬である。
実は、坐骨神経痛は病名ではなく、頭痛や腹痛と同じように「症状」を表す言葉。
坐骨神経痛の原因となる主な病気には、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離すべり症、腰部脊柱管狭窄症など。どれも神経を圧迫している。
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