はじめに…
ランタス®XR注ソロスター(以下ランタスXR)は、ランタス®注ソロスター(以下ランタス)と同一の有効成分(インスリン グラルギン)を持ち、その有効成分の濃度を3倍にした製剤である。
濃度を高くして注射液量を少なくすることで、皮下の無晶性沈殿物の単位量あたりの表面積が小さくなり、投与部位からの成分の吸収がより緩やかになるため、ランタスよりも平坦で持続的血糖降下作用を示す。

上記図はランタスXRの基本パンフレットより。
ランタスとランタスXRの比較
<成分>
ランタス、ランタスXR:インスリン グラルギン(遺伝子組換え)
☞「成分」に違いはない。
<1キット>
ランタス:3ml中に300単位(=100単位/ml、0.01ml/単位)
ランタスXR:1.5ml中に450単位(=300単位/ml、0.0033ml/単位)
☞XRの濃度は3倍!
☞1単位当たりの液量はXRの方が少ない!
<空うち単位>
ランタス:2単位
ランタスXR:3単位
☞XRの方が多いことに注目。
<用法用量>
ランタス:1日1回、朝食前又は就寝前。初期は1日1回4~20単位、維持量は、通常1日4~80単位。
ランタスXR:1日1回、初期は1日1回4~20単位、維持量は、通常1日4~80単位。
☞XRは朝食前、寝る前などの時間指定はない。
<ランタス→ランタスXRへの切り替え>
通常、ランタスの1日投与量と同単位を目安として、ランタスXRを開始する。
<他の1日1回投与の基礎インスリン製剤→ランタスXRへの切り替え>
通常、前治療の1日投与量と同単位を目安として、ランタスXRを開始する。
<低血糖頻度>
ランタスよりランタスXRの方が夜間(0:00~5:59)の低血糖頻度が少ない。
<使用開始後の使用期間>
ランタス:4週間を超えたものは使用しないこと。
ランタスXR:6週間を超えたものは使用しないこと。
<注入抵抗>
ランタスよりもランタスXRの方が注入抵抗が少なく、押しやすい。
1単位中の液量は、ランタスXRの方が少ないためである。
ランタスXRの最大の特徴は?
インスリン療法時の低血糖症はよく見られる副作用である。
低血糖症を恐れるあまり、良好な血糖コントロールの達成ができない場合があり、問題となる場合がある。
ランタスもランタスXRも基礎インスリン製剤であるが、ランタスよりも、さらにより平坦で持続的な薬物動態及び薬力学プロファイルを示すのがランタスXRで、夜間(0:00~5:59)の低血糖頻度がより少ないのが特徴である。
感想
製剤技術の向上で低血糖リスクが減るのはよいと思う。
ランタスからランタスXRへの切り替え時は、基本的に単位は同じであること、空うちの単位が2→3単位に増えることを抑えておかないといけない。
以前、「薬局の薬剤師が患者さんにインスリンの手技の説明をしてもいいんですか?」という薬剤師に出会ったことがある。もちろんしてよいのである。ただし、初回の説明は基本的には処方した病院でするべきであるが。
ちなみに、調剤薬局でインスリンの手技や、不具合の時の説明をできる薬剤師が少ないように感じるので、是非できるようにしましょう。
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