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感染症・抗生剤・抗ウイルス薬

アモキシシリン(サワシリン®)1回2000mg、歯科から処方~感染性心内膜炎の予防について覚えよう~

歯科からの処方で

アモキシシリン(サワシリン®)の1日1回2000mg、1日分

という高用量の処方を見たことがあるだろうか?

この時に、何も疑いもせずに(考えもせずに)処方通りに薬を用意されては困るのだが、疑義照会するとしても一度待ってほしい。

これって適応外かも?

 

感染性心内膜炎(infective endocarditis:IE)予防における抗生剤の使用方法

感染性心内膜炎(IE)は、抜歯などの歯科処置による菌血症によって惹起されることが知られている。
驚くべきことに、歯科処置に伴う菌血症の発症率は、抜歯などではほぼ 100% 。

ただし、血液中に進入した細菌は肝臓など細網内皮系組織によりすみやかに血液中から除去され、多くは数分後に血液中から消失するため、「一過性の菌血症」とよばれる。

抜歯後による菌血症の発症率は抗菌薬の投与によって減少するので、必要があれば抗菌薬が予防投与として処方される。

感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017 年改訂版)では、抜歯などの歯科処置におけるIEの予防に下記の抗菌薬を使用することが推奨されている。

経口可能の場合(成人量を記載)
βラクタム系抗菌薬にアレルギーがない
●アモキシシリン、1回2000mg、単回服用。

βラクタム系抗菌薬にアレルギーがある
●クリンダマイシン、1回600mg、単回服用。
●アジスロマイシン、1回500mg、単回服用。
●クラリスロマイシン、1回400mg、単回服用。

いずれの場合も「処置前1時間」に内服する。

 

経口不可の場合は注射(成人量を記載)
βラクタム系抗菌薬にアレルギーがない
●アンピシリン、1回1~2g、単回。
●セファゾリン、1回1g、単回。
●セフトリアキソン、1回1g、単回。

βラクタム系抗菌薬にアレルギーがある
●クリンダマイシン、1回600mg、単回。

いずれの場合も「手術開始30分以内に静注、または手術開始時から30分以上かけて点滴静注」して使用。

小児量は、同ガイドラインp66、表31をご覧ください。

 

では、どのような人に「抜歯などの菌血症を誘発する歯科治療の術前」に予防的抗菌薬が投与されるのか?

上記ガイドラインによると

成人の高度リスク患者*1
〇予防的抗菌薬投与を推奨
〇推奨の強さ 1:強く推奨する
〇エビデンス総体の強さ B(中)

*1
1)人工弁術後
2)IEの既往
3)姑息的吻合術や人工血管使用例を含む未修復チアノーゼ型先天性心疾患
4)手術、カテーテルを問わず人工材料を用いて修復した先天性心疾患で修復
後 6ヵ月以内
5)パッチ、人工材料を用いて修復したが、修復部分に遺残病変を伴う場合
6)大動脈縮窄を含む

成人の中等度リスク患者*2
〇予防的抗菌薬投与を提案
〇推奨の強さ 2:弱く推奨する(提案する)

*2
中等度リスク群(必ずしも重篤とならないが、心内膜炎発症の可能性が高い患者)には、高度、低リスク群を除く先天性心疾患、閉塞性肥大型心筋症、弁逆流を伴う僧帽弁逸脱を含む。

となっている。
というわけで、リスクがある人には抗菌薬が予防投与されることがあるが、基礎疾患が何もない人には通常予防投与はされない。

なお、アモキシシリン1回2000mg、1日分の処方は予防投与だな!とわかりやすいが、アジスロマイシン、1回500mg、1日分で処方がきたら注意かも?もしかしたら入力ミスかもしれないので…。

どちらの場合でも疑義照会は必要だが、疑義する前に患者さんに話を聞いておくとよいだろう。

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