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脳神経・睡眠・精神系

片頭痛の期待の新薬か?エムガルティ皮下注の特徴。トリプタン系との違いとは。

片頭痛とは

典型的には、片側性で拍動性の中等度から重度の頭痛発作が繰り返し生じ、4~72時間にわたり発作が持続する。
頭痛に加えて悪心、光過敏、音過敏等を伴うことが多く、日常動作で頭痛が増悪することが特徴である。

日本の片頭痛有病率は8.4%(男:女=1:約3.6)。
男女とも20~50歳代の勤労世代に多くみられる(特に20~40代の女性に多い)ことから、患者の日常生活だけでなく社会生活にも影響を及ぼす疾患である。

なお、高校生の有病率は9.8%、中学生の有病率は4.8%である。

参考:慢性頭痛の診療ガイドライン2013

エムガルティ®皮下注(ガルカネズマブ(遺伝子組換え)注射液)

<特徴>
ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体であるエムガルティ®は、新規作用機序をもつ「片頭痛発作の発症を抑制」する薬剤である。
既存の予防薬で十分コントロールできない重症片頭痛患者に適していると考えられる。
使用中に発作が生じたとしても、その頭痛自体が軽くなることが知られている。

他の「片頭痛発作の発症を抑制」の適応をもつ薬剤にはデパケン®、インデラル®がある。
トピラマート、メトプロロール、アミトリプチリンも発作予防薬として使用されるが、適応はない。
ただし、アミトリプチンは社会保険診療報酬支払基金によると、「片頭痛」なら審査上認める、となっている。

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<作用機序>
片頭痛患者では片頭痛発作の誘発に関連するとされるCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)の血中濃度が上昇している。
エムガルティ®はこのCGRP活性を阻害することで、片頭痛発作の発症を抑制すると考えられている。

<適応症>
片頭痛発作の発症抑制
トリプタン系の適応は「片頭痛」。

<用法・用量>
通常、成人には初回に240mgを皮下投与し、以降は1ヵ月間隔で120mgを皮下投与する。
2回目以降は1カ月間隔に注意。

<有効性>
国内第II相試験(CGAN試験)、国際共同第III相試験(CGAW試験)ではプラセボ群と比べ、1ヵ月あたりの片頭痛日数日を3日程度減らすことが示されている。

●国内第II相試験(CGAN試験)
ベースラインの片頭痛日数が月4日以上の日本人反復性片頭痛患者

●国際共同第III相試験(CGAW試験)
ベースラインの片頭痛日数が月4日以上かつ他剤(バルプロ酸、プロプラノロール等)で効果不十分の反復性片頭痛患者及び慢性片頭痛患者

☆上記各表は添付文書より。

<副作用>
注射部位疼痛(10.1%)
注射部位反応(紅斑、そう痒感、内出血、腫脹等)(14.9%)
注射ですから、ね。

回転性めまい(1%未満)
眠気:記載なし
トリプタン系では傾眠・眠気が出ることがあるため、「トリプタン系投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に従事させないよう十分注意すること。」となっているが、エムガルティ®に添付文書にはこのような記載はない。

<使用方法など>
✅冷所保存2~8℃で保存。
✅投与30分前に冷蔵庫から取り出し、直射日光を避け、室温に戻しておくこと。
✅注射部位は、腹部、大腿部、上腕部、臀部のいずれか。
✅投与予定日に投与できなかった場合は、可能な限り速やかに投与し、以降はその投与日を起点として1ヵ月間隔で120mgを投与すること。
✅240mgを投与する場合は120mgオートインジェクター又は120mgシリンジを2本皮下投与する。
☆エムガルティ®には、120mgオートインジェクターと、120mgシリンジとがある。

 

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参考:各薬剤の添付文書、IF

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