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脳神経・睡眠・精神系

注意欠陥/多動性障害(AD/HD)とは。コンサータ、ビバンセ、ストラテラ、インチュニブの特徴、注意点。流通管理システムの登録が必要なものは?

注意欠陥/多動性障害(AD/HD)とは

AD/HD (Attention Deficit Hyperactivity Disorder)は
多動性(じっと座っていられない、しゃべりすぎる)
衝動性(順番を待つことが難しい、他人の会話に干渉する)
不注意(注意力を持続できない、必要なものなくす)
を主な症状とし、発達障害に分類される。

自閉症スペクトラム症との鑑別が重要であるが、困難である。

AD/HDの有病率は学齢期で3~5%だが、成人期では2~2.5%と大幅に低下する。

 

AD/HDの治療薬

治療薬には以下のものがある。

中枢神経刺激薬 コンサータ®
ビバンセ®
選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 ストラテラ®
選択的α2Aアドレナリン受容体作動薬 インチュニブ®

 

メチルフェニデート(コンサータ®)
<特徴>
2007年発売。第一種向精神薬。
浸透圧を利用した放出制御システム(OROS)を応用した、メチルフェニデート塩酸塩の放出制御型のフィルムコート錠(徐放錠)

本剤の外皮は内部の不溶性の成分と一緒に糞便中に排泄されるが、正常なことであり心配する必要はない。

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服用開始数日程度で効果が表われ、1日1回の服用で約12時間効果が持続する。


<作用機序>
メチルフェニデートは、ドパミン/ノルアドレナリントランスポーターに結合し再取り込みを抑制することにより、シナプス間隙に存在するドパミン及びノルアドレナリンを増加させて神経系の機能を亢進するものと考えられているが、AD/HDの治療効果における詳細な作用機序は十分に解明されていない。

適応症>
注意欠陥/多動性障害(AD/HD)

<用法用量>
18歳未満の患者通常、18mgを初回用量、18~45mgを維持用量として、1日1回朝経口投与する。増量が必要な場合は、1週間以上の間隔をあけて1日用量として9mg又は18mgの増量を行う。1日用量は54mgを超えないこと。

18歳以上の患者通常、18mgを初回用量として、1日1回朝経口投与する。増量が必要な場合は、1週間以上の間隔をあけて1日用量として9mg又は18mgの増量を行う。1日用量は72mgを超えないこと。

<注意点>
中枢神経刺激作用があるため、「就寝時間等を考慮して午後の服用は避けること」となっている。
吸湿により薬物放出挙動が影響を受ける可能性があるため、一包化調剤は避ける必要がある。

<併用禁忌>
MAO阻害剤:セレギリン(エフピー®)、ラサギリン(アジレクト®)、サフィナミド(エクフィナ®)
理由:脳内モノアミン総量が増加するおそれがある。高血圧クリーゼ等の重篤な副作用発現のおそれがあるため、MAO阻害剤を投与中又は投与中止後14日以内の患者にはコンサータ®を投与しないこと。

<副作用>
頻度が高いものに、食欲減退(40.8%)、不眠症(18.2%)、体重減少(16.4%)、動悸(12.1%)、悪心(11.7%)などがある。

<その他>
コンサータ®は乱用・依存リスクがあるため、また不適切な処方があったため、2019年12月から流通管理がより厳しくなった。後述するビバンセ®も同様の流通管理となる。

 

リスデキサンフェタミン(ビバンセ®)
<特徴>
2019年12月発売された、コンサータ®に続く2番目の中枢神経刺激薬。
覚せい剤原料に指定されている。
服用後速やかに吸収され、主に血中で活性体である d-アンフェタミンに加水分解されることで薬理活性を発揮するプロドラッグ。
投与1.5~13時間後まで、AD/HD 症状を改善する(外国人児童 AD/HD 患者の第3相試験)。

<作用機序>
d-アンフェタミンの AD/HD に対する治療効果の作用機序は完全には解明されていない。ドパミン/ノルアドレナリントランスポーター阻害作用、並びに脳内におけるドパミンとノルアドレナリンの遊離促進作用の結果、シナプス間隙のドパミン及びノルアドレナリン濃度が増加することに起因すると考えられている。

<適応症>
小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
☞コンサータ®は成人もOK。

<用法用量>
30mgを1日1回朝経口投与する。症状により、1日70mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として20mgを超えない範囲で行うこと。

<注意点>
本剤の使用実態下における乱用・依存性に関する評価が行われるまでの間は、他のAD/HD治療薬が効果不十分な場合にのみ使用すること。
☞2021年1月時点では、第一選択薬ではない。

6歳未満及び18歳以上の患者における有効性及び安全性は確立していない。
☞18歳以降も継続する場合は慎重に投与。

高度の腎機能障害のある患者(GFR30mL/min/1.73m2未満)には、1日用量として50mgを超えて投与しないこと。
透析患者又はGFR15mL/min/1.73m2未満の患者では、更に低用量の投与を考慮し、増量に際しては患者の状態を十分に観察すること。
☞腎機能に注意

不眠があらわれるおそれがあるため、就寝時間等を考慮し、午後の服用は避けること

吸湿により品質に影響を及ぼすことが認められたため、分包しないこと

<併用禁忌>
MAO阻害剤:セレギリン(エフピー®)、ラサギリン(アジレクト®)、サフィナミド(エクフィナ®)
理由:脳内モノアミン総量が増加するおそれがある。高血圧クリーゼ等の重篤な副作用発現のおそれがあるため、MAO阻害剤を投与中又は投与中止後14日以内の患者にはビバンセ®を投与しないこと。

<副作用>
頻度の高いものに、食欲減退(79.1%)、不眠(45.3%)、体重減少(25.6%)、頭痛(18.0%)、悪心(11.0%)などがある。
☞食欲減退、不眠、体重減少の頻度はコンサータ®より高い!!

 

アトモキセチン(ストラテラ®)
<特徴>
AD/HD治療薬の2剤目として2009年6月に発売された。
ノルアドレナリンの再取り込み阻害を主作用とする、世界初の非中枢刺激性の AD/HD 治療薬で、依存や乱用のリスクが低いと考えられる
服用開始後2週間程度で効果が発現し始め、6~8週間で十分な効果が発揮される。
カプセルと内用液があり、内用液はカプセルをうまく飲めない小児などに適している。

<作用機序>
ノルアドレナリンの再取り込みを選択的に阻害することで効果があると考えられているが、明確な機序は不明である。

<適応症>
注意欠陥/多動性障害(AD/HD)

<用法用量>
18歳未満の患者
通常、以下のように増量するが、増量は1週間以上の間隔をあけて行う。
 1日0.5mg/kg(内用液0.125mL/kg)
→1日0.8mg/kg(0.2mL/kg)
→1日1.2mg/kg(0.3mL/kg)まで増量
→1日1.2~1.8mg/kg(0.3~0.45mL/kg)で維持。
いずれの投与量においても1日2回に分けて服用。

1日量は1.8mg/kg(0.45mL/kg)又は120mg(30mL)のいずれか少ない量を超えないこと。

18歳以上の患者
 1日40mg(10mL)より開始。1週間以上あけて
→1日80mg(20mL)まで増量。2週間以上あけて
→1日80~120mg(20~30mL)で維持する。
いずれの投与量においても1日1回又は1日2回に分けて服用。

1日量は120mg(30mL)を超えないこと。
☞18歳未満と以上では、増量の間隔と用法が異なることも。

<注意点>
パロキセチンなどのCYP2D6阻害作用を有する薬剤により本剤の血中濃度が上昇し、副作用が発現しやすくなる可能性がある。

<併用禁忌>
MAO阻害剤:セレギリン(エフピー®)、ラサギリン(アジレクト®)、サフィナミド(エクフィナ®)
理由:脳内モノアミン総量が増加し、両薬剤の作用が増強されることがある。
MAO阻害剤の投与中止後に本剤を投与する場合には、2週間以上の間隔をあけること。
また、本剤の投与中止後にMAO阻害剤を投与する場合は、2週間以上の間隔をあけること。

<副作用>
悪心(31.5%)、食欲減退(19.9%)、頭痛(15.4%)、傾眠(15.8%)、嘔吐、口喝などが頻度が高い。
☞食欲減退と嘔吐については、統計学的に有意な用量反応性が認められている。

 

グアンファシン(インチュニブ®)
<特徴>
2017年5月に発売された、選択的α2Aアドレナリン受容体作動薬。
非中枢刺激性の AD/HD 治療薬で、1日1回の服用でよい徐放性製剤となっている。
チック症併存例で症状改善の可能性が高い。

もともとは、グアンファシン即放性製剤は本態性高血圧症治療薬として臨床使用されていたが、商業上の理由から2005年に販売中止となっていた。
その後、海外でAD/HD症状の改善効果を示唆する報告がされたことで開発が進み、AD/HD治療薬として発売されることになった。
☞全く異なる薬効で発売されたことに注目!

<作用機序>
α2アドレナリン受容体を介した直接的なノルアドレナリンのシナプス伝達調整により、前頭前皮質及び大脳基底核におけるシグナルを調整している可能性が示唆されているが、AD/HDの治療効果における詳細な作用機序は不明である。

<適応症>
注意欠陥/多動性障害(AD/HD)

<用法用量>
18歳未満の患者
通常、体重50kg未満の場合は1日1mg、体重50kg以上の場合は1日2mgより投与を開始し、1週間以上の間隔をあけて1mgずつ、下表の維持用量まで増量。
症状により適宜増減するが、下表の最高用量を超えないこととし、いずれも1日1回の服用である。

18歳以上の患者
通常、1日2mgより投与を開始し、1週間以上の間隔をあけて1mgずつ、1日4~6mgの維持用量まで増量する。
1日用量は6mgを超えないこととし、いずれも1日1回服用する。

<注意点>
もともと高血圧の薬のため、血圧低下作用が見られやすい。また、徐脈作用もあるため、降圧薬や脈を抑える薬との併用には要注意。
CYP3A4/5阻害剤のイトラコナゾール、リトナビル、クラリスロマイシン等により、本剤の血中濃度が上昇する可能性があるため併用には注意。

<併用禁忌>
なし
☞併用禁忌はないが、併用注意薬剤には気を付けること。

<副作用>
低血圧(20.5%)、徐脈(14.9%)、傾眠(49.8%)などが頻度が高い。重要な基本的注意、「体重増加を来すことがあるので、定期的に体重を測定し、肥満の徴候があらわれた場合は、食事療法、運動療法等の適切な処置を行うこと」と記載あり。

グアンファシンと同じ作用機序を有するクロニジン塩酸塩(カタプレス®)は現在も高血圧治療薬として臨床使用されている(頻度は多くないと思われる)。

AD/HDの薬は体重に注意!

体重減少
コンサータ®、ビバンセ®、ストラテラ®

体重増加
インチュニブ®

 

 

コンサータ®、ビバンセ®の流通管理

まず、処方医、処方を受ける薬局の薬剤師はADHD適正流通管理システムにアクセスし、必要なEラーニングを受けた後、ADHD適正流通管理システムに登録する必要がある。

薬剤師の場合、Eラーニングの受講は以下の3つ。
●ADHDの診断・治療,薬物乱用と薬物依存、適正流通管理体制について
●コンサータ(R)錠 薬剤師のためのEラーニング
●ビバンセ(R)カプセル 薬剤師のためのEラーニング

登録を行う医師の要件が厳しくなった。
①日本小児科学会または日本精神神経学会の専門医
かつ
②日本児童青年精神医学会、日本小児神経学会、日本神経精神薬理学会、日本小児精神神経学会、日本小児心身医学会、日本臨床精神神経薬理学会および日本ADHD学会のいずれかの学会員
であることが必須。

流通管理システムに登録が終わったあとは以下の手順で処方・調剤を行う。

<処方の手順>
1)患者登録
登録医師は、患者及び代諾者の同意を取得し、患者のイニシャル・性別・生年月日、第三者から得た患者の症状に関する情報源等を管理システムに登録する。

当該登録については、登録医師が管理システムにより、患者の重複登録がないことを確認してから行う。

患者情報の登録後、ID 番号を記載した患者カードを登録事務局が発行し、患者に交付する。

2)処方時
登録医師が、患者 ID 及び管理システムを用いて過去の処方内容を確認した上で、新たに処方する内容を管理システムに入力し、処方箋を発行する。

3) 調剤時
登録薬局及び薬剤師は、患者カード、処方箋発行医師及び医療機関を確認し、管理システム上の情報と突合した上で薬剤を交付する。

具体的には、以下の6点を確認して、調剤内容を「ADHD適正流通管理システム」に登録した後に、やっと調剤ができる。……とても面倒だが、必要なことなので必ず行うこと。

(1)処方箋が真正のものであること
(2)その処方箋による調剤がなされていないこと
(3)処方箋、患者カード、身分証明書(*)の3点を患者が持参していること
(4)処方医師および処方箋発行医療機関が登録システムに登録されていること
(5)患者カードに記載されているID番号より得られた登録システム上の患者情報と身分証明書の患者情報を照合した結果、処方箋を交付された人物と患者カードの情報に矛盾がないこと
(6)患者カードに記載されているID番号より得られた登録システム上の患者情報および処方内容を確認した結果、患者が重複投与ではないこと、かつ不適正使用の可能性がないこと

(*)身分証明書は本人の保険証、運転免許証、マイナンバーカードなど。

 

参考:
●各薬剤の添付文書、IF
注意欠如・多動症(ADHD)特性の理解 Jpn J Psychosom Med 57:27-38, 2017
メチルフェニデート塩酸塩製剤(コンサータ錠 18mg、同錠 27mg 及び同錠 36mg)の使用にあたっての留意事項について 令和元年9月4日
コンサータ流通管理の概要
ビバンセカプセル適正流通管理の概要

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