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脳神経・睡眠・精神系

エビリファイとレキサルティの比較、違い、特徴。

アリピプラゾール(エビリファイ®)とブレクスピプラゾール(レキサルティ®)の超・簡単比較

大塚製薬が製薬したエビリファイ®とレキサルティ®について要点をまとめてみた。


アリピプラゾール
エビリファイ®

●世界初の「ドパミンD受容体の部分アゴニスト(DPA)作用」を有する抗精神病薬として発売。

その特徴は
ドパミン作動性神経伝達が過剰活動状態の場合には、ドパミンD2 受容体のアンタゴニスト作用し、
ドパミン作動性神経伝達が低下している場合には、ドパミンD2 受容体のアゴニスト作用を有することだ。

●このような薬理学的特性を有するアリピプラゾールはドパミン・システムスタビライザー(Dopamine System Stabilizer:DSS)と呼ばれる。
●さらに、セロトニン5-HT1A受容体部分アゴニスト作用及びセロトニン5-HT2A受容体ア
ンタゴニスト作用を併せ持っている。

「ドパミン受容体」と「セロトニン受容体」に作用する!

●鎮静効果は弱い。
●投与早期の不眠・不安・焦燥・アカシジア・胃腸症状に注意。
●その一方、錐体外路症状やプロラクチン値上昇はほとんど見られない。


●抗躁効果、抗うつ薬を増強する効果がある。
☞炭酸リチウム or バルプロ酸ナトリウムとの併用により、抗躁作用を増強させることが示されている。
うつに使用する場合は、抗うつ薬(SSRI、SNRIなど)と併用することとなっている。


●適応が多数。内服薬のアリピプラゾールは次の4つの適応あり(2022年1月時点)。
1)統合失調症
2)双極性障害における躁症状の改善
3)うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)
4)小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性

統合失調症は1日1~2回で服用、その他は1日1回の服用となっている。
小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性には、原則として6歳以上18歳未満の患者に使用する。

●食事の影響はない。

●禁忌にはなっていないが…次の薬剤との併用は要注意!
パロキセチン、イトラコナゾール、カルバマゼピン

パロキセチン:
健康成人において、CYP2D6の阻害作用を有するパロキセチン20mgとアリピプラゾール3mgの併用により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ39%及び140%増加した。

 

イトラコナゾール:
健康成人において、CYP3A4の阻害作用を有するイトラコナゾール100mgとアリピプラゾール3mgの併用により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ19%及び48%増加した。

 

カルバマゼピン:
統合失調症又は統合失調感情障害患者において、CYP3A4の誘導作用を有するカルバマゼピン400mgとアリピプラゾール30mgの併用投与により、アリピプラゾールのCmax及びAUCはそれぞれ68%及び73%低下した。

 


ブレクスピプラゾールレキサルティ®
●アリピプラゾールの改良型で、2018年4月から発売されている。
●アリピプラゾールと構造式を比較すると、アリピプラゾールのCl部分がSを含む五員環へ変わっている。


「セロトニン5-HT1A受容体」と「ドパミンD2受容体」の部分アゴニスト作用
 「セロトニン5-HT2A受容体」のアンタゴニスト作用を併せ持つ薬剤。
Serotonin‐Dopamine Activity Modulator(SDAM)と呼ばれる新しい作用機序を有している。

以下の図はレキサルティ®のIFより。

アリピプラゾールよりセロトニン5-HT2A受容体遮断作用が強く、不安・焦燥、アカシジアやパーキンソン症状が出にくく使いやすいとされる。

●過鎮静、体重増加への影響が少ない。



従来の統合失調症治療薬よりもアカシジアを含む錐体外路症状、体重増加などの副作用を軽減し、統合失調症の陽性症状・陰性症状を改善することが期待される

●適応は統合失調症のみ(2021年1月時点)。
急性期再発の統合失調症患者における精神病症状を改善。
統合失調症患者における精神病症状の改善は52週にわたり維持。

用量の幅が狭い。開始用量1日1回1mg、維持用量1日1回2mgと用量設定がシンプル。
内服のアリピプラゾールを統合失調症に使用する場合、「維持用量1日6~24mg、分1~2。1日量は30mgを超えないこと。」となっており、ブレクスピプラゾールの方が用量の幅が狭いことがよくわかる。

●アリピプラゾールと同じく、食事の影響はない。

併用薬には要注意!
①CYP2D6阻害剤(キニジン、パロキセチン等)、強いCYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)を併用する場合
②CYP2D6の活性が欠損していることが判明している患者(Poor Metabolizer)では、「以下の表を参考に用法及び用量の調節を行うこと」となっている。


なお、アリピプラゾールと上記薬剤を併用する場合は、
「アリピプラゾールの作用が増強するおそれがあるので、アリピプラゾールを減量するなど考慮すること」にとどまっている。
☞相互作用の多いイトラコナゾール・クラリスロマイシンが処方されたら併用禁忌がないか、併用薬の用量調節が必要ないか、ということを意識することが大切だ。

 

参考:各薬剤の添付文書、IF

 

おまけ:アカシジア・ジスキネジアとは?

アカシジア:
正座不能症とも訳され、
●体や足がソワソワしたりイライラして、じっと座っていたり、横になっていたりできず、動きたくなる
●じっとしていられず、歩きたくなる
●体や足を動かしたくなる
●足がむずむずする感じ
●じっと立っていられず、足踏みしたくなる
などの症状が出る。

アカシジアを引き起こす薬としては、抗精神病薬によるものが多いが、抗うつ薬や制吐薬などによっても引き起こされることがある。

ジスキネジア:
自分では止めらない・または止めてもすぐに出現するおかしな動きをまとめた呼び名で
●繰り返し唇をすぼめる
●舌を左右に動かす
●口をもぐもぐさせる
●口を突き出す
●歯を食いしばる
●目を閉じるとなかなか開かずしわを寄せている
●勝手に手が動いてしまう
●足が動いてしまって歩きにくい
●手に力が入って抜けない
●足が突っ張って歩きにくい
などの症状がでる。

抗精神病薬や、一部のパーキンソン病治療薬(ドパミン作動薬)により引き起こされることがある。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

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