慢性的な咳、長引く咳、治らない咳…
咳と言ってもその原因は1つではなく様々なケースがあります。
今回はその咳の種類と治療方法を簡単にご説明します!
咳の持続期間と咳の原因
咳の持続期間で呼び方が変わります。
3週間未満:急性咳嗽
3週間以上、8週未満:遷延性咳嗽
8週以上:慢性咳嗽
3週間未満の咳は、急性上気道感染症が多いです。
他には急性肺炎や、頻度は多くはないですが肺血栓塞栓症(突然はじまる息切れ、胸の痛み、咳など)などがあります。
3週間以上持続する咳で頻度が高いのが、咳喘息・喘息、アトピー咳嗽、COPDなどです。
頻度は落ちますが、後鼻漏、胃食道逆流症(GERD)が原因のこともあります。
悪性腫瘍、肺結核は見逃してはいけない病気です。
この時代に結核?と思うかもしれませんが、結核は過去の病気とは言えません。
日本においては平成28年(2016年)の新規罹患数が1万7625人、結核による死亡数は1889人、死因順位は28位です。
参考:厚生労働省『平成28年 結核登録者情報調査年報集計結果について』
また、咳は肺・気管支以外の原因も考慮することが大事です。
慢性心不全で肺に水がたまると、喘息に似た、ヒューヒューという喘鳴と咳が出ることがあります。
咳が続く期間が長いほど、感染症以外の原因により咳が出ている可能性が高まります。
咳の特徴/簡易診断方法
喘息、咳喘息
咳喘息は喘息と異なり、喘鳴や呼吸困難は出ず、慢性の咳を症状とします。夜間や早朝に咳が出やすく、また布団に入り体が温まると咳が出やすいです。咳喘息の3割程度は喘息へ進展することもあるので、しっかりと治療することが必要です。
喘息、咳喘息ともに気管支拡張薬、吸入ステロイドが有効です。吸入ステロイドの早期導入で、咳喘息の喘息移行率を減らせるといわれています。
咳喘息と疑わしいときは、気管支拡張薬単剤ではなく、吸入ステロイドとの配合剤をはじめから使用するのが良いでしょう。
アトピー咳嗽
アトピー素因があり、喉のイガイガや痒みを伴い、乾いた咳が出るのが特徴。喀痰の好酸球が増加します。
吸入ステロイド・抗ヒスタミン薬が有効(吸入ステロイドの方が効果は高い)、気管支拡張薬は無効です。
咳喘息とアトピー咳嗽の鑑別に迷ったら、どちらの疾患にも効果のある吸入ステロイドを含んだ「吸入ステロイド薬と長時間作用型β2刺激薬の合剤」を最初から使用することも治療の選択肢の1つです。
COPD
喫煙歴を確認!階段や坂道を上ったりするとすぐ息苦しくなります。
吸入抗コリン薬、気管支拡張薬が有効です。
後鼻漏
鼻づまり、寝ているときに鼻汁が喉へ垂れる、喉にたまった痰をよく吐き出す、などがあると後鼻漏の可能性が高いです。慢性副鼻腔炎による後鼻漏は多いです。
抗アレルギー薬が有効、気管支拡張薬は無効です。
GERD
乾いた咳、胸焼けや、酸っぱい液体が口まで上がってきてないかチェック!
胃酸分泌抑制薬(PPIなど)が有効、気管支拡張薬は無効です。
感染症
マイコプラズマ
迅速診断キットがあり、15~20分ほどで診断が可能です。
マクロライド系やレスピラトリーキノロン系の抗生剤で治療しますが、マクロライド系は耐性が増えています。
百日咳
一度始まると収まらない咳、夜も寝られないなど、とにかくひどい咳が出ます。
マクロライド系の抗生剤で治療します。ひどい咳には、通常の咳止め以外にコデインリン酸塩など強力なものを使用するとよいでしょう。
マイコプラズマも百日咳もどちらも咳が3週間以上続くことがあります。
感染力があるのは発症2~3週くらいで、8週を過ぎると感染力はありません。
咳が長引いていても、感染力がない時期には抗生剤は不要です。
肺結核
肺結核を疑う症状としては、慢性咳、喀痰、血痰、食欲低下、体重減少、発熱などがあります。喀痰を採取し、細菌検査で確定します。
結核の標準治療は、リファンピシン(RFP)、イソニアジド(INH)、エタンブトール(EB)、ピラジナミド(PZA)の4剤を2か月間併用し、その後RFPとINHの併用を4カ月行うこととされています。
なお、2014年9月には、約40年ぶりの新規結核治療薬となるデラマニド(商品名デルティバ錠)が、「多剤耐性肺結核」の適応で薬価収載されました。
ACE阻害薬による咳
乾いた咳が特徴です。服用中止後、1か月以内に改善することが多いです。
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