同じ去痰薬でも作用機序や特徴が違いますので、まとめてみました。
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去痰薬の作用機序と特徴
カルボシステイン(商品名ムコダイン)
カルボシステインは気道粘液修復薬に分類されます。
胚細胞からの粘液分泌を抑制する作用と、喀痰中のシアル酸とフコースの構成比を正常化する作用1)により、ネバネバした痰の粘度を下げ、出しやすくします。
また、副鼻腔や中耳の「粘液線毛輸送能の改善作用」と「粘膜正常化作用」2)により、副鼻腔炎患者のネバネバした鼻水を出しやすくする効果と、滲出性中耳炎の膿や浸出液の排液にも効果があります。
つまり、カルボシステインは気道・副鼻腔・中耳に作用し、効果があるお薬です。
ただし、滲出性中耳炎の排液の適応はシロップ、ドライシロップのみで、錠剤には適応はありません。
さらに、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪の頻度を減少させたという報告3)があります。
これはカルボシステインの抗炎症作用および抗酸化作用によるものと考えられています。
アンブロキソール(商品名ムコソルバン)
アンブロキソールは気道潤滑薬に分類されます。
肺サーファクタントと気道液の分泌を促す4)ことで気道の滑りをよくし、ネバネバした痰を出しやすくします。
また、副鼻腔の分泌を正常化する作用と線毛運動亢進作用4)により、副鼻腔炎患者のネバネバした鼻水を出しやすくする効果もあります。
アンブロキソールには、1日3回服用するタイプと1日1回の服用でよい徐放製剤があります。1日3回飲むのが面倒な人には1日1回でよい徐放製剤がおすすめです。
徐放製剤は夕食後や寝る前に飲むことで早朝の痰の絡みに有効とされています。
なお、徐放製剤には慢性副鼻腔炎の排膿の適応はありません。
ブロムヘキシン(商品名ビソルボン)
ブロムヘキシンは気道分泌促進薬かつ気道粘液溶解薬です。
粘性の低い液体を増やすことで痰が薄まり、また痰を構成するタンパクを分解し5)痰を柔らかくすることで痰を出しやすくします。
切れの悪い痰に有効ですが、粘性の低い液体が増えることで喀痰量が一時的に増加することがあるので、サラサラの痰に処方してはいけません。
痰の構成蛋白を分解する作用はブロムヘキシンに特徴的で、カルボシステインやアンブロキソールにはありません。
保険適応外ですが、唾液分泌量の増加の報告もあり、ドライマウスにブロムヘキシンが処方されることがあります。
去痰薬の併用はありか?
作用機序が異なるので併用は合理的です。
実際に、カルボシステインとアンブロキソールが併用されるケースはよく見られます。
なお、去痰薬はあくまでも対症療法です。原因があるときはその治療が最優先です。
去痰薬の特におすすめの使い方
カルボシステイン:COPDに伴う痰
アンブロキソール(1日1回タイプ):寝起きに痰が絡む場合
ビソルボン:切れの悪い痰
☆カルボシステインとアンブロキソールの併用はよく見られる。
参考:
1)2) ムコダイン添付文書
3) Lancet. 2008 Jun 14;371(9629):2013-8.
Effect of carbocisteine on acute exacerbation of chronic obstructive pulmonary disease (PEACE Study): a randomised placebo-controlled study.
4)ムコソルバン添付文書
5)ビソルボン添付文書
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