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腎臓・腎機能低下・尿酸

レグパラ、オルケディア、パーサビブの違い、特徴、作用機序。二次性副甲状腺機能亢進症とは。

二次性副甲状腺機能亢進症
Secondary Hyperparathyroidism:SHPT(2HPT)

慢性腎臓病が進行している患者 or 透析患者では、
・リンの排泄低下(血中P↑)
・ビタミンD活性化障害に伴う血中カルシウム濃度低下(血中Ca↓)
により、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌が過剰となっていることがある。

PTHの過剰分泌により必要以上に血中Ca濃度が上昇した状態を、二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)と言う。

 

PTHの作用 ~骨と腎臓に働き、血中Ca濃度、P濃度を調節する~

PTHの作用
腎尿細管でのPの再吸収を抑制し、尿中へのP排泄を促す
腎臓でのビタミンDの1α位の水酸化を高めることで、活性型ビタミンD3の産生を刺激。
 活性型VD3により、
ⅰ)腎尿細管でのCaとPの再吸収を促進
ⅱ)腸管からのCa吸収を促進
血液中のCa濃度を一定に保つために、骨吸収作用により骨からCaとPを溶かし出す

などがある。

腎機能が正常であれば、PTHの作用により血中Ca、血中P(Pは尿中排泄の寄与が大きく、全体としては減少方向)。

PTHが「過剰」分泌され続けると、骨吸収が亢進され骨痛や骨折を生じやすくなるだけではなく、骨から溶かし出したカルシウムとリンが骨以外のところに沈着する「異所性石灰化」が引き起こされ、生命予後にも影響を与える。

異所性石灰化
血管:心血管障害が起こりやすくなる
関節:関節が動かしにくくなり痛みが出ることがある
皮下:皮膚がかゆくなる

また、持続的なPTHの過剰分泌は副甲状腺過形成を生じ、SHPTの病態をさらに進行させる。これらのことから、SHPT患者の血中PTH濃度の適切な管理が必要である。

 

SHPTの治療薬

活性型ビタミンD3製剤カルシウム受容体(Calcium-Sensing Receptor:CaSR)作動薬があるが、どちらも適応症は透析時の二次性副甲状腺機能亢進症である。

活性型ビタミンD3製剤は、PTHの合成・分泌を遺伝子レベルで抑制し、PTH濃度を下げる。

適応がある製剤は以下の通り。
カルシトリオール(ロカルトロール®注)
マキサカルシトール(オキサロール®注)
ファレカルシトリオール(フルスタン®錠、ホーネル®錠)

なお、全てのVD3製剤にSHPTの適応があるわけではない。
例えば、エディロール®の適応は骨粗鬆症のみとなっている(2020/10月時点)。

VD3の投与量が多くなると高Ca血症を引き起こす危険があり、PTHを抑制するために十分な量を投与できない場合があった。
このようなことから、カルシウム受容体(CaSR)作動薬が開発された。

カルシウム受容体(CaSR)作動薬

〔種類と適応〕
シナカルセト塩酸塩(レグパラ®)
2008年に発売。
<適応>
〇維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症
〇下記疾患における高カルシウム血症
・副甲状腺癌
・副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症

 

エテルカルセチド塩酸塩(パーサビブ®静注)
2017年に発売。
<適応>
血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症

 

エボカルセト(オルケディア®)
2018年に発売。
<適応>
 〇維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症
 〇下記疾患における高カルシウム血症
・副甲状腺癌
・副甲状腺摘出術不能又は術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症

 

〔作用機序〕
CaSR作動薬は、副甲状腺細胞表面のカルシウム受容体を介してPTH分泌とPTH生合成を制御している。
主としてPTH分泌を抑制することで血中PTH濃度を低下させ、これに伴い血中Ca濃度も低下させる。また、透析患者では血中P濃度の低下も確認されている。

なお、レグパラ®、パーサビブ®の添付文書には次の内容も記載あり。
「本剤は、副甲状腺細胞増殖を制御している。反復投与では本剤の副甲状腺細胞増殖抑制作用も血清PTH濃度低下に寄与すると考えられる。」

さて、『腎機能が正常であれば、PTHの作用により血中Ca、血中P(Pは尿中排泄の寄与が大きく、全体としては減少方向)。』と前述したので、
CaSR作動薬により血中Caはよいとして、血中Pかと思いきや、実際には血中Pとなる。

当初この理由がわからなかったが、この結果に対する答えとなる資料を見つけたので紹介する。

透析患者へのシナカルセト塩酸塩(シナカルセト)投与により、PTH 低下に付随して骨からのP動員が低下するため、血中Pは低下する。

一方、保存期慢性腎臓病患者へのシナカルセト投与は、PTHの尿中P排泄促進作用を解除するため、血中Pを上昇させるとともに、著明な低カルシウム(Ca)血症をもたらす。

二次性副甲状腺機能亢進症発症機序の新たな考え方 透析会誌 46 (6):519〜533,2013

 

PTH、VD3、CaSR作動薬のまとめ

 

〔各薬剤の特徴〕
レグパラ®とオルケディア®はともに内服薬で、製造販売元も協和キリン株式会社で同じである。
オルケディア®はレグパラ®錠と同等の有効性を有すること、レグパラ®錠と比較して上部消化管に関する副作用の発現頻度が減少することが認められている。
また、薬物相互作用試験の結果から他の薬剤との併用に対するリスクが軽減されていることも確認された。
参考:カルシウム受容体作動薬「オルケディア®錠」国内製造販売承認取得のお知らせ

なお、オルケディア®は妊婦又は妊娠している可能性のある女性には禁忌

パーサビブ®静注は、血液透析終了時の返血時に透析回路静脈側ルートより投与する。
内服ではないので、服用する負担がないというメリットがある。


〔併用注意〕
レグパラ®の代謝には主にCYP3A4が関与し、また、CYP2D6阻害作用がある。
そのため、CYP3A4阻害剤、CYP2D6基質薬物との併用には注意がいる。

CYP3A4阻害剤
●アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール等)
●マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン、クラリスロマイシン等)
●アミオダロン塩酸塩
●グレープフルーツジュース
→レグパラ®の作用増強のおそれ

CYP2D6基質薬物
●三環系抗うつ薬(アミトリプチリン、イミプラミン等)
●ブチロフェノン系抗精神病薬(ハロペリドール等)
●フレカイニド酢酸塩
●ビンブラスチン硫酸塩
●デキストロメトルファン(メジコン®)
→上記薬剤の作用増強のおそれ

レグパラ®との併用で、デキストロメトルファンのAUCが約11倍増加したという報告あり。禁忌に相当するレベルである。

オルケディア®、パーサビブ®静注の添付文書にCYP3A4阻害剤、CYP2D6基質薬物との併用注意の記載はない。

 

〔副作用〕
レグパラ®
消化器
5%以上:悪心・嘔吐 (25.1%)、胃不快感(17.1%)、食欲不振、腹部膨満

オルケディア®
腹部・消化器
1%以上:悪心、嘔吐、腹部不快感、下痢、食欲減退

パーサビブ®静注
胃腸障害
1~3%未満:嘔吐、下痢

レグパラ®ではなく、オルケディア®、パーサビブ®静注を選択する理由としては
①消化管に対する副作用が少ない
②相互作用が少ない
③パーサビブ®に関しては、内服薬の量が多い場合や、服用困難な患者
などが考えられる。

 

Ca、P、PTHの目標数値は?

「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン」が推奨する目標値は以下の通り。

①血清P濃度:3.5~6.0mg/dL
②血清cCa(補正カルシウム)濃度:8.4~10.0mg/dL
③血清iPTH濃度:60~240pg/mL

①、②、③の順番に目標範囲内のコントロールを目指す。

●補正カルシウム値 (mg/dL)=血清カルシウム値 (mg/dL)-血清アルブミン値 (g/dL)+4.0
●iPTH=intact-PTH。PTHの測定はintact-PTHとwhole-PTHがある。

 

参考:各薬剤の添付文書、IF

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