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感染症・抗生剤・抗ウイルス薬

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の増殖過程は?治療薬の作用点、作用機序は?

SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)の増殖過程とは

吸着→侵入→脱殻→素材の合成→放出を経てSARS-CoV-2は増殖していく。

吸着:
ウイルスがヒト体内に入ると、ウイルス表面にあるスパイク蛋白質を介して、肺胞上皮などの細胞表面の受容体に結合する。

侵入:
受容体に結合後、ウイルスのエンベロープと細胞膜との融合がはじまり、細胞内へ侵入する。

脱殻:
細胞質内にウイルスRNAが放出される。

素材の合成:
ウイルスRNAから翻訳された前駆体タンパク質がプロテアーゼにより分解されてRNA依存性RNAポリメラーゼが合成される。

RNA依存性RNAポリメラーゼをもとにタンパク質やRNAが合成され、新たなウイルスができる。

放出:
新しくできたウイルスは、ヒトの細胞表面から放出される。

この過程を繰り返すことでウイルスが増殖していく。

 

SARS-CoV-2の治療薬:作用点は?

ウイルスの増殖経路で分けてみると…

細胞内への侵入を防ぐ治療薬~中和抗体薬~

●ソトロビマブ(ゼビュディ®静注液)
作用機序:
SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン上のACE2受容体結合部位とは異なる部位に結合し、SARS-CoV-2に対する中和作用を示す。

適応:
SARS-CoV-2による感染症

 

●カシリビマブ・イムデビマブ(ロナプリーブ®注射液)
SARS-CoV-2に対する2種類のウイルス中和抗体(カシリビマブとイムデビマブ)を組み合わせたもの。
COVID-19に対する治療および予防を目的とした薬剤。
抗体カクテル療法と呼ばれる治療法になる。

作用機序:
SARS-CoV-2ウイルスのスパイクタンパク質を認識し、SARS-CoV-2の宿主細胞への侵入を阻害することにより、ウイルスの増殖を抑制すると考えられている。

適応:
SARS-CoV-2による感染症及びその発症抑制

 

ウイルスの素材の合成を防ぐ薬~RNAポリメラーゼ阻害薬~

●レムデシビル(ベクルリー®点滴静注用)
元来はエボラウイルス感染症の治療薬として開発された。

作用機序:
レムデシビルはアデノシンヌクレオシド類似体のプロドラッグで、その活性代謝物はアデノシン三リン酸(ATP)の類似体である。
SARS-CoV-2 RNA依存性RNAポリメラーゼによって、このATP類似体がウイルスRNAに取り込まれることで、正常な複製を阻害しウイルス増殖を阻害する。

適応:
SARS-CoV-2による感染症

 

●モルヌピラビル(ラゲブリオ®)
作用機序:
モルヌピラビルはプロドラッグであり、NHCに代謝され細胞内に取り込まれた後、活性型であるNHC-TP**にリン酸化される。
NHC-TPがウイルス由来RNA依存性RNAポリメラーゼによりウイルスRNAに取り込まれた結果、ウイルスゲノムのエラー頻度が増加し、ウイルスの増殖が阻害される。
*NHC:モルヌピラビルの主要代謝物。N-ヒドロキシシチジンの略
**NHC-TP:リボヌクレオシド三リン酸化体

適応:
SARS-CoV-2による感染症

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他には…

バリシチニブ(オルミエント®)
もともとは「
関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」、「アトピー性皮膚炎」の薬だったが、SARS-CoV-2の適応も追加された。

作用機序:
ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害を有する薬剤。
SARS-CoV-2の一部の患者は、肺病変を伴う過炎症状態(発熱持続、炎症マーカーの上昇、多臓器不全)を呈する、サイトカインストームを発症する。
JAK1 及び JAK2 の阻害剤である本剤は、抗炎症作用を有し、SARS-CoV-2に関連した炎症亢進状態及びサイトカインストームの軽減作用が期待される。

適応:
SARS-CoV-2による肺炎。
ただし、酸素吸入、人工呼吸管理又は体外式膜型人工肺(ECMO)導入を要する患者を対象に入院下で投与を行うこと。レムデシビルとの併用する。

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トシリズマブ(アクテムラ®)
もともとは「関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」、「多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎」、「全身型若年性特発性関節炎」、「成人スチル病」などの薬だったが、SARS-CoV-2の適応も追加された(2022年1月)。

作用機序:
 IL-6レセプターに結合、それらを介したIL-6の生物活性の発現を抑制することで効果を発揮する。

適応:
SARS-CoV-2による肺炎。
ただし、酸素投与、人工呼吸器管理又は体外式膜型人工肺(ECMO)導入を要する患者を対象に入院下で投与を行うこと。


デキサメタゾン(デカドロン®)
作用機序:
重症SARS-CoV-2患者は、肺障害および多臓器不全をもたらす全身性炎症反応を発現する。コルチコステロイドの抗炎症作用によって、これらの有害な炎症反応を予防または抑制する可能性が示唆されている。
参考:COVID-19 に対する薬物治療の考え方 第 8 版(2021年7月31日)

 

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