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輸液

γ(ガンマ)計算 のやり方、考え方。単位変換はどうすれば?

γ(ガンマ)計算とは


γ=μg/kg/minという単位ですが、臨床ではこの単位をml/hr (1時間あたりに流す薬液量)に変換して使用します。

まず基本的なことですが、
1γ=1μg/kg/minなので
1γ=1分間に体重1kg当たり、ある薬剤を1μg入れる
ということを覚えましょう。

 

ここからは、ヘルベッサー®注射用製剤を例に説明していきます。

高血圧性緊急症に使用する場合、添付文書には以下の記載があります。

高血圧性緊急症:
通常、成人には1分間に体重1kg当たりジルチアゼム塩酸塩として5~15μgを点滴静注する。 

臨床では
μg/kg/minを、1時間あたりに流す薬液量 (ml/hr)に変換する
と最初に書きましたがどのようにすればよいでしょうか。

ここで大切なのは、患者の体重」と「薬が溶けている溶液の濃度(薬液濃度)」がわからないと計算できないということです。

 

ここから、以下の値を利用して単位を「μg/kg/min → ml/hr」へと少しずつ変形していきます。

体重W[kg]
1時間=60分
1mg=1000μg

W[kg]の患者に1[μg/kg/min] で投与する場合。
体重[kg]という単位をなくし、時間の単位を分[min]から時間[hr]にしようとすると…

W[kg]× 1[μg/kg/min] × 60[min]/ 1[hr] × 1[mg]/1000[μg]

=0.06・W [mg/hr]

μg/kg/minという単位が → mg/hr」になりました。

これが意味するのは、
W[kg]の患者に1[μg/kg/min] で投与する
=1時間当たりに、薬剤を0.06・W[mg]投与する
ということです。

ここで、イメージしやすいように50kgの患者を想定しましょう。

0.06・W [mg/hr]に代入すると
0.06×50=3[mg/hr]となり、1時間に3mgの薬剤量を投与するということがわかりました。

さて、目標とする単位は[mg/hr]ではなく[ml/hr]です。さらに変形していきます。

mgは薬剤の量。
この部分を流し込む薬液量にすれば、1時間あたり何ml投与すればよいかがわかります。

 

例)ヘルベッサー®注射用50mg(粉末製剤)を生食10mlに溶解するとき
50mg/10ml=5[mg/ml] という濃度になります。

この薬液濃度がわかることで、ようやく単位を[mg/hr]から目標とする[ml/hr]へと変換できます。

先ほどの3[mg/hr]を薬液濃度で割ると

3[mg/hr] ÷ [5mg/ml] =0.6[ml/hr]

やっと目標とする単位になりました。
1時間当たり0.6ml投与すればよいわけですね。

ですが、これはあくまでも、
1分間に体重50kg当たり、ある薬品を1μg点滴静注するとしたときなので、
1分間に体重50kg当たり、ある薬品をD μg点滴静注するときは、
各上記の値に「D」をかける必要があります。

長々と説明したためかえってわかりにくかったかもしれませんが、計算式をまとめると以下のようになります。結論だけ覚えてもよいでしょう。

 

ガンマ計算の公式

体重がw[kg]の患者に、
1分間に体重1kg当たり、ある薬品をD μg点滴静注するとは

0.06×W×D / 薬液濃度の数字 [ml/hr]

ただし、薬液濃度の数字は、単位がmg/mlのとき!

ということで

「ヘルベッサー®注射用50 1バイアル50mgを生食10mlに溶解し(濃度5mg/ml)、体重50kgの患者に、1分間に体重1kg当たりジルチアゼム塩酸塩として5μgを点滴静注するとき」は

0.06×50×5/5=3[ml/hr]

となります。

 

練習問題1
患者の体重60kg。
ハンプ®注射用1000を5バイアル、注射用水(1バイアルに対し5ml)で溶解後、生食25mlを加え全量50mlにした。
1分間あたり0.1μg/kgを持続静脈内投与したいとき、1時間あたり何mlの投与となるか?

参考:
ハンプ®注射用1000(1バイアル1000μg)
効能又は効果:急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)
用法及び用量:
本剤は日本薬局方注射用水5mLに溶解し、必要に応じて日本薬局方生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で希釈し、カルペリチドとして1分間あたり0.1μg/kgを持続静脈内投与する。なお、投与量は血行動態をモニターしながら適宜調節するが、患者の病態に応じて1分間あたり0.2μg/kgまで増量できる

解答
W=60
D=0.1
薬液濃度=5000μg/50ml=5mg/50ml=0.1[mg/ml]
公式を使うときは、mg/mlの単位にする。

0.06×W×D/ 薬液濃度の数字  に挿入して

0.06×60×0.1 / 0.1=3.6[ml/hr]  となります。

練習問題2
患者の体重50kg。
ドブトレックス®注射液2Aを5%ブドウ糖で200mlに希釈し、1分間あたり5μg/kgで点滴静注したいとき、1時間あたり何mlの投与となるか?

参考:
ドブトレックス®注射液100mg(注射液1A=100mg/5ml)
効能又は効果:急性循環不全における心収縮力増強
用法及び用量:
本剤は5%ブドウ糖注射液又は「日局」生理食塩液で希釈し、ドブタミンとして通常1分間あたり1~5μg/kgを点滴静注する。
投与量は患者の病態に応じて適宜増減し、必要ある場合には1分間あたり20μg/kgまで増量できる。

解答
W=50
D=5
薬液濃度=200mg/200ml=1[mg/ml]

0.06×W×D / 薬液濃度の数字  に挿入して

0.06×50×5 / 1=15 [ml/hr]  となります。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

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