精神系の薬に多いが、適応外処方のことを知らないと処方意図をくみ取れず、患者さんと上手なコミュニケーションが取れない可能性もある。
ここでは一部だが、そういった適応外処方の例を紹介する。
ただし、当サイトが適応外を推奨するわけではない。適応外処方だと判断したら疑義照会を行うこと。ただし、まずは患者さんに聞き取りをし、その後医師に確認を。その際は、「念のための確認ですが」、「保険請求上必要なことなので」、「レセプトが戻るかもしれないので」、など一言を添えると話がスムーズになるかもしれない。
リスペリドン(リスパダール®)内服
<適応>
〇統合失調症
〇小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性
<適応外の症状・疾患>
不安、イライラ、うつ、せん妄、不眠
☞ただし、「器質的疾患に伴うせん妄・精神運動興奮状態・易怒性」、「パーキンソン病に伴う幻覚」は保険審査上認めるという通知がある。
クエチアピン(セロクエル®)
<適応>
統合失調症
<適応外の症状・疾患>
うつ、不眠
☞注意!同じ成分でも「ビプレッソ®徐放錠」は「双極性障害におけるうつ症状の改善」の適応がある。
オランザピン(ジプレキサ®)内服
<適応>
○統合失調症
○双極性障害における躁症状及びうつ症状の改善
○抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)
<適応外の症状・疾患>
うつ
アリピプラゾール(エビリファイ®)
<適応>
〇統合失調症
〇双極性障害における躁症状の改善
〇うつ病・うつ状態(既存治療で十分な効果が認められない場合に限る)
〇小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性
<適応外の症状・疾患>
注意欠陥や多動
1.アリピプラゾールは、日本で唯一抗うつ効果増強療法の適用を有する非定型抗精神病薬。
2.規格に注意
エビリファイ®錠は1,3,6,12mg錠の4つ
エビリファイ®OD錠は3,6,12,24mg錠の4つ
1mg錠はエビリファイ®錠のみ
24mg錠はエビリファイ®OD錠のみ
ミルタザピン(リフレックス®、レメロン®)
<適応>
うつ病・うつ状態
<適応外の症状・疾患>
不眠
炭酸リチウム(リーマス®)
<適応>
躁病および躁うつ病の躁状態
<適応外の症状・疾患>
うつ(*)
レボチロキシン(チラーヂンS®錠)
<適応>
粘液水腫、クレチン病、甲状腺機能低下症(原発性及び下垂体性)、甲状腺腫
<適応外の症状・疾患>
うつ(*)
(*)第一選択薬の効果が十分でない場合、抗うつ効果増強療法として炭酸リチウム、レボチロキシンの記載が日本うつ病学会治療ガイドライン(2016)に記載あり。
バルプロ酸ナトリウム(デパケン®)
<適応>
〇各種てんかん(小発作・焦点発作・精神運動発作ならびに混合発作)およびてんかんに伴う性格行動障害(不機嫌・易怒性等)の治療
〇躁病および躁うつ病の躁状態の治療
〇片頭痛発作の発症抑制
<適応外の症状・疾患>
不眠、不安、うつ、イライラ
トピナ(トピラマート®)
<適応>
他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法
<適応外の症状・疾患>
摂食障害
ラモトリギン(ラミクタール®)
<適応>
〇てんかん患者の下記発作に対する単剤療法
・部分発作(二次性全般化発作を含む)
・強直間代発作
・定型欠神発作
〇他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の下記発作に対する抗てんかん薬との併用療法
・部分発作(二次性全般化発作を含む)
・強直間代発作
・Lennox-Gastaut症候群における全般発作
〇双極性障害における気分エピソードの再発・再燃抑制
<適応外の症状・疾患>
うつ
ゾルピデム(マイスリー®)
<適応>
不眠症(統合失調症及び躁うつ病に伴う不眠症は除く)
☞全ての不眠症に使えるわけではない。個別指導で指摘されやすいのでよく覚えておくこと。
<適応外の症状・疾患>
統合失調症及び躁うつ病に伴う不眠症
クロナゼパム(リボトリール®、ランドセン®)
<適応>
〇小型(運動)発作[ミオクロニー発作、失立(無動)発作、点頭てんかん(幼児けい縮発作、BNSけいれん等)]
〇精神運動発作
〇自律神経発作
<適応外の症状・疾患>
不眠、不安
ロラゼパム(ワイパックス®)
<適応>
○神経症における不安・緊張・抑うつ
○心身症(自律神経失調症、心臓神経症)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ
<適応外の症状・疾患>
不眠、抗がん剤による吐き気・嘔吐
☞抗がん剤による吐き気・嘔吐に対しては、聞き取りがとても大切である。
クロニジン(カタプレス®)
<適応>
各種高血圧症(本態性高血圧症、腎性高血圧症)
<適応外の症状・疾患>
注意欠陥や多動、不安。
☞海外では注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の適応あり。
☞クロニジンはα2Aアドレナリン受容体作動薬。日本では、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の適応を持つ薬剤として選択的α2Aアドレナリン受容体作動薬のグアンファシン(インチュニブ®)が発売されたので、あえてクロニジンを注意欠陥や多動で処方する必要性はなくなったと思われる。
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