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腸疾患、排便

潰瘍性大腸炎とはどんな病気?治療薬の特徴は?

潰瘍性大腸炎とは?

安倍晋三・元首相が患っていたことで世間でも広く知られるようになった病気。

大腸粘膜にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患で、難病に指定されている。
患者数は今や20万人以上、毎年約1万人の新規患者が発生していると言われている。

グラフは難病情報センターより。

発症年齢のピークは男性で20~24歳、女性では25~29歳。
20代を中心に好発するが、小児や50歳以上で発症するケースもある。
男女比は1:1で性差はない。

不思議なことに、喫煙者は非喫煙者よりも発症しにくい。
喫煙の唯一といってもいいメリット。炎症性サイトカインの産生を抑制している可能性があるとのこと。

特徴的な症状は「下痢・腹痛」で、血便・発熱・食欲不振・体重減少・貧血などが出ることもある。

再燃と寛解を繰り返すため、長期にわたる管理が求められる。
日常生活に支障が出るだけではなく、潰瘍性大腸炎は大腸がんのリスクファクターであるため、非常に厄介な病気である。
放っておいてよい病気ではない。

鑑別する際は便培養などで感染性腸炎を除外し、大腸内視鏡検査や病理生検などによって診断を確定する。

なお、従来は活動性の評価も大腸内視鏡検査によって行われていたが、「炎症性腸疾患の活動期の判定の補助」に使用できる体外診断用医薬品「ナノピアLRG」が2020年6月に保険収載された。これを使用すれば、患者の血液から約10分間で検査結果を得られるそうだ。
内視鏡をしなくて済むので、身体的負担を軽減できる。

 

潰瘍性大腸炎の分類

1)病変の拡がりによる分類:
全大腸炎:肛門から大腸全体に及ぶ
左側大腸炎:肛門から脾彎曲部にわたる
直腸炎:炎症部位が直腸に限局

2)病期の分類:
活動期、 寛解期

3)重症度による分類:
軽症、中等症、重症、激症

4)臨床経過による分類: 
再燃 寛解型、慢性持続型、急性激症型、初回発作型

 

治療薬には何がある?

潰瘍性大腸炎の薬には以下のものがある。
●メサラジン製剤
●免疫抑制剤
 ステロイド
 カルシニューリン阻害薬
 ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬
●生物学的製剤
 抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤(抗TNFα抗体薬)
 ヒト化抗ヒトα4β7インテグリンモノクローナル抗体製剤
 ヒト型抗ヒトインターロイキン(IL)-12/23p40モノクローナル抗体薬

「寛解導入期」、「寛解導入に至らない場合」、「寛解維持期」などで使用する薬剤が異なる場合がある。

 

<寛解導入期>
寛解導入期にまず使用するのが、メサラジン(5-アミノサリチル酸:5-ASA)製剤。

メサラジン製剤
メサラジンは大腸の炎症を抑える効果があり、複数のメサラジン製剤がある。
メサラジン製剤は軽症~中等症の潰瘍性大腸炎に有効で、再燃予防にも効果がある。

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メサラジン製剤の種類には以下のものがある。

●サラゾスルファピリジン製剤
サラゾピリン®(内服、坐剤)
厳密には、サラゾスルファピリジンが大腸で分解されると5-ASAができる。

●放出調整製剤
ペンタサ®(内服):時間依存性徐放剤
アサコール®: pH依存性徐放剤
リアルダ®:ペンタサ・アサコールとは異なる放出調整製剤
それぞれ独自の工夫がなされている

なお、ペンタサ®には坐剤もある。

5-ASA製剤のみでコントロールできなければ、ステロイドを用いる。その際、最初は局所製剤、効果不十分なら内服を検討する。

 

ステロイド・局所製剤 
ステロネマ®注腸(ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム)
プレドネマ®注腸(プレドニゾロンリン酸エステルナトリウム注腸剤)
レクタブル®注腸(ブデソニド注腸フォーム剤)

ステロイド・内服
プレドニン®(プレドニゾロン)
メドロール®(メチルプレドニゾロン)

 

<寛解導入に至らない場合>
寛解導入に至らず、症状が「中等症~重症」の場合は以下の薬剤などを使用する。

カルシニューリン阻害薬
ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬
抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤(抗TNFα抗体薬)
ヒト化抗ヒトα4β7インテグリンモノクローナル抗体製剤
ヒト型抗ヒトインターロイキン(IL)-12/23p40モノクローナル抗体薬

 

カルシニューリン阻害薬
タクロリムス(プログラフ®)
カルシニューリンを阻害することで、IL-2やIFNγなどのサイトカインの産生を選択的に阻害することで、強力な免疫抑制作用を発揮する。
難治性(ステロイド抵抗性、ステロイド依存性)の活動期潰瘍性大腸炎に使用する。

内服製剤で、最初の2週間は目標血中トラフ濃度を10~15ng/mLとし、投与開始後2週以降は目標血中トラフ濃度を5~10ng/mLとし、投与量を調節する。
ステロイドが効かないときに使用を考慮する。ただし、TDM対象なので面倒かも?

 

ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬 
ヤヌスキナーゼ(JAK)と呼ばれる酵素を強力に阻害することで、リンパ球の活動などの免疫反応に関わるサイトカインの働きを抑え、潰瘍性大腸炎に係わる炎症を抑制する。

トファシチニブ(ゼルヤンツ®)
潰瘍性大腸炎治療薬として世界初のヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤。
1日2回内服する。

細胞内シグナル伝達に着目した低分子の分子標的治療薬で、IL-2、IL-4などリンパ球の活性化、増殖、機能発現にかかわるサイトカインや、IL-6などの炎症性サイトカインを介したシグナル伝達を抑えることで、自己免疫を抑制する。

中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入及び維持効果を示す。
維持効果あり

ヘルペスウイルス等の再活性化(帯状疱疹等)が報告されており、帯状疱疹の頻度は3.6%とやや高いので注意。

他の薬物療法(ステロイド、免疫抑制剤又は生物製剤)による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与する。
服用開始後16週時点で治療反応が得られない場合は、他の治療法への切り替えを考慮する。

感染症のリスクを考慮し、「本剤とTNF阻害剤等の生物製剤や、タクロリムス、アザチオプリン等の強力な免疫抑制剤(局所製剤以外)との併用はしないこと」となっている。
併用薬に注意!

 

抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤(抗TNFα抗体薬)(全て注射薬)
TNF(腫瘍壊死因子)αはIL-1、6、8 等の炎症性サイトカインの産生、あるいは IL-1、6 受容体の発現を誘導する。
潰瘍性大腸炎患者では血清中TNFαとIL-6 が上昇していて、病態が改善すると共にそれらが低下することが報告されている。

抗TNFα抗体薬は、TNFαを抑制することで潰瘍性大腸炎による炎症を抑制する。
なお、既存治療で効果不十分な場合で、中等症~重症の潰瘍性大腸炎に使用する。

抗TNFα抗体薬には3種類あるが全て注射薬である。

インフリキシマブ(レミケード®点滴静注用)
初回投与後、2週、6週に投与し、以後8週間の間隔で投与を行う。
8週時点で治療効果を評価する。効果が認められない場合には、他の治療法を考慮すること。
寛解維持効果は確認されていないため、寛解導入後には本剤の継続投与の必要性を検討し、他の治療法への切替えを考慮すること。

アダリムマブ(ヒュミラ皮下注®)
自己注射可能な製剤。2週に1回、皮下注射する。
通常、治療反応は投与開始から8週以内に得られる。
8週時点で明らかな改善効果が得られない場合は、本剤の投与を中止すること。
寛解維持効果は確認されていないため、漫然と投与しないこと。

ゴリムマブ(シンポニー®)
自己注射可能な製剤。
初回投与の後は2週後、以後は4週に1回皮下注射する。
14週目の投与までに治療反応が得られない場合、本剤の継続の可否も含め、治療法を再考すること。

各製剤の治療効果の判定期間に注目

 

 

ヒト化抗ヒトα4β7インテグリンモノクローナル抗体製剤
新規作用機序の薬剤。
メモリーTリンパ球の表面に発現するα4β7インテグリンをブロックし、リンパ球の遊走を阻害するで腸管の炎症を抑制する。
キーワード:α4β7インテグリン

α4β7インテグリンは腸管内膜の血管内皮細胞に接着し、消化管粘膜と腸管関連リンパ系組織へのリンパ球浸潤を媒介する働きを持つ物質である。

ベドリズマブ(エンタイビオ®点滴静注用):
ベドリズマブの投与により腸管選択的にリンパ球の浸潤を防ぐことができる。

中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)に使用する。
維持効果あり

初回投与後、2週、6週に投与し、以降8週間隔で点滴静注する。
3回投与しても治療反応が得られない場合、治療法を再考する。

過去の治療において、他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン等)等の適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残り、本剤の投与が適切と判断した場合に投与すること、となっている。

 

 

ヒト型抗ヒトインターロイキン(IL)-12/23p40モノクローナル抗体薬

IL-12/23の作用を選択的に抑制する、新規作用機序の薬剤。

ウステキヌマブ(ステラーラ®点滴静注、ステラーラ®皮下注)
中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)に使用。

過去の治療において、他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン等)等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与する。

導入療法の初回では、体重に応じた量(添付文書参照)を単回点滴静注する。
点滴静注製剤を投与8週後に、皮下注製剤を投与し、以降は12週間隔で皮下投与する。
なお、効果が減弱した場合には、投与間隔を8週間に短縮できる。

投与間隔を短縮しても16週以内に治療効果が得られない場合、投与を継続しても効果が得られない可能性があることから、本剤の投与継続の必要性を検討すること。

 

<寛解維持期>
主に5-ASA製剤やチオプリン製剤(アザニン®・イムラン®:アザチオプリン)が使われる。
アザニン®・イムラン®の適応:ステロイド依存性の潰瘍性大腸炎の寛解維持

なお、JAK阻害薬、モノクローナル抗体薬で寛解導入に至った場合には、同じ薬剤で維持療法として継続投与することとされている。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます