熱性けいれんの既往がある小児に、発熱時のダイアップ坐剤は必要か?
熱性けいれん診療ガイドライン2015(以下ガイドライン)によると、「熱性けいれんの再発予防の有効性は高い」が、ふらつき・眠気・興奮などの副作用もあるので「ルーチンに使用する必要はない」と明記されています。
では、発熱時のダイアップ坐剤の適応とは?
ガイドラインによると、
●15分以上持続したけいれん(遷延性発作)の既往がある場合
または
●次の1)~6)のうち、2つ以上を満たした熱性けいれんが2回以上反復する場合
1)焦点性発作または24時間以内に反復
2)熱性けいれん出現前より存在する神経学的異常・発達遅滞
3)熱性けいれんまたはてんかんの家族歴
4)生後12カ月未満
5)発熱後1時間未満での発作
6)38℃未満での発作
となっており、使用条件はかなり限定されています。
上記に該当しない熱性けいれんでは、通常、発熱時のダイアップ坐剤の投与は必要ありません。
ジアゼパム坐剤の投与量・投与方法
ガイドラインによると、
37.5℃以上を目安に、1回量0.4~0.5mg/㎏を使用し、発熱が持続する場合は8時間後に同量を追加します。
予防投与の期間は最終発作から1~2年、年齢は4~5歳までが良いと考えられていますが明確なエビデンスはありません。
ジアゼパムは半減期が30時間程度と非常に長い。
投与間隔が短いと血中濃度が高まりやすいので注意!
1個目→2個目を投与する間隔:8時間空ける
2個目→3個目を投与する間隔:2個目から16時間空ける
1個目→2個目、2個目→3個目で、投与間隔が異なります。
なお、3個目の使用が必要になることは少ないです。
ジアゼパム坐剤の効果について
●38.5℃以上の発熱にジアゼパム坐剤を使用すると、熱性けいれんの再発率は6か月後では11%、12か月後では15~16%で、フェノバルビタールの予防的内服とほぼ同じ程度の有効性でした1)。
●体温が38.5℃以下になるまで12時間ごとにジアゼパム坐剤を使用すると、18か月後の熱性けいれんの再発率は39%から12%に減少しました2)。
参考:
1)Arch Dis Child. 1978 Aug;53(8):660-3.
Prophylactic diazepam or phenobarbitone in febrile convulsions: a prospective, controlled study.
2)J Pediatr. 1985 Mar;106(3):487-90.
Effective short-term diazepam prophylaxis in febrile convulsions.
●Twitterをやっています!【くすりカンパニー】。
「お仕事の依頼」・「当サイトに記事を載せたい方」・「当サイトの記事を使いたい方」・「当サイトをご支援していただける方」を募集中!DMにてご連絡ください。