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ステロイド

アトピー治療薬のプロトピック軟膏の特徴は?ステロイド外用薬との違い(使い分け)、プロアクティブ療法について解説!

ガイドラインの位置づけ

ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏(商品名プロトピック軟膏)は、「現時点において,アトピー性皮膚炎の炎症を十分に鎮静するための薬剤で、有効性と安全性が科学的に十分に検討されている薬剤は、ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏である」とガイドラインに記載されています1)

作用機序の違い

ステロイド外用薬

炎症反応は、ホスホリパーゼA2(PLA2)により細胞膜から遊離したアラキドン酸が、代謝を受けて各種プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエンになることで引き起こされます。

ステロイドは、標的細胞のレセプターと結合後、核に移行してリポコルチンを合成します。このリポコルチンが PLA2を阻害することにより、抗炎症作用を発現するものと考えられています。

タクロリムス軟膏(商品名プロトピック軟膏)

タクロリムスは細胞内のカルシニューリンを阻害し、副腎皮質ステロイドとはまったく異なった作用機序で炎症を抑制します。

タクロリムスはT細胞、肥満細胞、好酸球、ランゲルハンス細胞等の炎症性細胞の働き、中でもT細胞からのサイトカインの産生を強く抑制し、これらの炎症性細胞の相互作用により誘発されるアトピー性皮膚炎に対して抑制作用を示すと考えられています。また、肥満細胞にも直接作用しヒスタミン遊離を抑制します2)

なお、タクロリムスの経口薬は免疫抑制薬として移植領域や自己免疫疾患の治療に用いられています。

タクロリムス軟膏の特徴

適応症と効果

●アトピー性皮膚炎に適応があり、世界的な標準治療薬となっています。

タクロリムス軟膏の炎症をおさえる効果は、ステロイド外用薬のミディアム(マイルド)~ストロングに相当します。
●効果発現は比較的ゆっくりです。
●炎症がとても強いときに使用しても効果が得られないことがあるため、この場合は適切なランクのステロイド外用薬(ベリーストロング、ストロンゲスト)で炎症を抑える必要があります
●ステロイド外用薬のランクを上げても難治な皮疹に対して、タクロリムス軟膏に切り替えると有効なことがあります。

●顔面や頸部は吸収がよく、良い適応となります。
●顔面・頸部のアトピー性皮膚炎に対して、タクロリムス軟膏はミディアム(マイルド)クラスのステロイド外用薬よりも優れた治療効果を有します2)
●躯幹・四肢のアトピー性皮膚炎に対して、ストロングクラスのステロイド外用剤と同等の治療効果を有します2)

●分子量が大きいため、アトピー性皮膚炎の皮膚の状態の悪いところからは吸収されますが、正常な皮膚からはほとんど吸収されません
●目の周囲、眼瞼の皮膚に使用可能です。
ステロイド外用薬(特に強いランクのもの)を目の周囲、眼瞼の皮膚に使用すると緑内障のなったという報告もあるため、この部位にステロイド外用薬を使用するのは注意が必要です1)

●ステロイド外用薬による局所副作用が出てしまう、ステロイド外用薬では効果が不十分、ステロイド外用薬の使用が躊躇される場合(患者が望まないなど)には、タクロリムス軟膏は良い適応になります1)

副作用

ステロイドのような局所副作用(紫斑、血管拡張、多毛など)はほとんどありません
●タクロリムス軟膏は、ステロイド外用薬の長期使用でみられる皮膚萎縮は確認されていません1)

●免疫抑制剤なので、ステロイド外用薬と同様に皮膚感染症(毛嚢炎、にきびなど)にかかることがあります。
●非常にまれに酒さ様皮膚炎になることがあります。

参考:
1)アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016 年版
2)プロトピック軟膏 IF

使用時の注意点

使い初めに刺激(ヒリヒリ、痛み、痒みなど)を感じることがありますが、使用を続けていくと1~2週間ほどで感じられなくなってきます。このことを患者さんに説明しないと使用を中止してしまうケースが多いため注意が必要です。

●タクロリムス軟膏は、その刺激性によりびらんや潰瘍面には使用できません。

●プロトピック軟膏0.1%は16歳以上、プロトピック軟膏0.03%小児用は2歳~15歳の使用になります。

ステロイド外用薬とタクロリムス軟膏の使い分け

炎症の程度

アトピー性皮膚炎の症状がとても強い時は、ステロイド外用薬のストロンゲストやベリーストロングで治療します。
ストロング~ミディアム(マイルド)で対応できる炎症なら、状況に応じてタクロリムス軟膏の使用は可能です。

ステロイドでも難治な皮疹

ステロイド外用薬をタクロリムス軟膏に切り替えると有効なことがあります。

副作用

ステロイド外用薬の局所副作用(皮膚萎縮、血管拡張、多毛など)が気になるときは、これらの局所副作用の少ないタクロリムス軟膏を検討します。
タクロリムス軟膏の初期の刺激感が耐えられないときは、ステロイド外用薬を使用したほうがよいでしょう。

患者がステロイドを拒否

ステロイド外用薬の使用を拒否されたら、タクロリムス軟膏をすすめます。

部位

目の周囲、眼瞼の皮膚にステロイド外用薬は適さないので、タクロリムス軟膏を使用します。

プロアクティブ療法(proactive treatment)

アトピー性皮膚炎は、寛解になったとしても炎症細胞は残っていて、再び炎症を引き起こしやすい状態にあります。

炎症が再燃してから外用薬を塗るのをリアクティブ療法と言いますが、再燃する前に抗炎症外用薬を塗布し、炎症を抑えこもうというのがプロアクティブ療法です。

火事で例えるなら、火がくすぶっている状態(症状が治まっている状態)でちゃんと水をかけ(薬剤を塗布し)、再発火(炎症の再燃)を防ぐ、ということです。

症状を見ながら、週に2~3回のステロイド外用薬もしくはタクロリムス軟膏の使用で、症状をコントロールできる場合もあります。

参考:
ステロイド外用薬によるProactive療法の有用性
九州大学医学部 皮膚科科学教室
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2015のワンポイント解説
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016 年版

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