ステロイド外用薬で皮膚が黒くなりますか?
アトピー性皮膚炎ではステロイド外用薬がよく使用されます。ステロイド外用薬の使用が不十分で炎症が長引いたり、皮膚をかきむしったりすることなどが原因で皮膚が黒ずむことはありますが、ステロイド外用薬を塗ったから皮膚が黒くなることはないと考えられています。
参考:
九州大学医学部 皮膚科学教室
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jocd/24/3/24_3_233/_pdf/-char/en
ステロイド外用薬の局所副作用の例
皮膚萎縮
ステロイド外用薬を数カ月連続で使用すると、皮膚が薄くなり、ちりめんの様なしわができることがあります。使用中止後、回復には1~2年かかることがあります。
線状皮膚萎縮症
皮膚萎縮が起きている状態で、急激な身長の伸びや体重増加などにより皮膚が延び、真皮に亀裂を生じて生じます。これは、妊婦で見られる妊娠線と同じです。
紫斑
ステロイド外用薬を数カ月連続で使用すると、塗布部位に小さな力が加わるだけで出血し、紫斑ができることがあります。これは、血管を周囲から支える結合組織が減少するためと考えられています。紫斑自体は2週間程度で自然に吸収され消えます。
潮紅
使用中止後、回復には1~2年かかることがあります。
毛細血管拡張
ステロイド外用薬は毛細血管を収縮させますが、長期間使用すると、逆に毛細血管が拡張します。1本1本の毛細血管が見えるくらい明瞭で、顔・頸部・前胸部で起こりやすいです。毛細血管が拡張したときは、ステロイド外用薬を中止しますが、改善には時間がかかります。
酒さ様皮膚炎
顔にステロイドを塗ると、皮膚萎縮、毛細血管拡張、顔の赤み、発赤、膿疱、ニキビ、強いかゆみなどが出現し、ほてり感やひりひり感を伴うことがあります。酒さ様皮膚炎が起こった場合は、ステロイド外用薬の使用を中止します。
中止後は、一時的な悪化(中止後2~3週間後にピークが多い)を経てゆっくりと回復していきます。
皮膚感染症の誘発、増悪
にきび、毛包炎、白癬などを引き起こすことがあります。
多毛
薬を塗った部分のうぶ毛が太くなることがあります。
小児に見られやすく、成人ではほとんど見られません。使用を中止すると、すぐに回復します。
色素脱失
使用中止により速やかに回復します。
接触性皮膚炎
参考:
マルホの医療サイト
よくわかるアトピー性皮膚炎
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jocd/24/3/24_3_233/_pdf/-char/en
ステロイド外用薬による全身性副作用
ステロイド外用薬は、皮膚から吸収されても血液中に入る量はごく少量です。そのため、通常の使用量では全身性の副作用(糖尿病、満月様顔貌、骨粗鬆症、高血圧、副腎抑制など)はまず発現しません。
成人におけるステロイド外用薬の使用限度量の目安は、ストロングクラスで1日20gとされています(参考:レジデントノート2011、10月号)。
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