普段、皮膚科の処方を扱っていないと、ステロイド外用薬の強さを忘れたり、一般名処方に慌てたりしませんか?
そんな時ように、薬をまとめてみました。( )内は商品名です。
【紛らわしい一般名処方】
ベタメタゾン
●ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(アンテベート)
●ベタメタゾンジプロピオン酸エステル(リンデロンDP)
●ベタメタゾン吉草酸エステル(リンデロンV、ベトネベート)
デキサメタゾン
●デキサメタゾンプロピオン酸エステル(メサデルム)
●デキサメタゾン吉草酸エステル(ボアラ)
●デキサメタゾン(グリメサゾン、オイラゾン)
プレドニゾロン
●プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(リドメックス)
●プレドニゾロン(プレドニゾロン)
クロベタゾールとクロベタゾン
●クロベタゾールプロピオン酸エステル(デルモベート)
●クロベタゾン酪酸エステル(キンダベート)
フルオシノニドとフルオシノロンアセトニド
●フルオシノニド(トプシム)
●フルオシノロンアセトニド(フルコート)
【ステロイド外用薬の強さ(ランク)の一覧】
ストロンゲスト
●クロベタゾールプロピオン酸エステル(デルモベート)
●ジフロラゾン酢酸エステル(ジフラール、ダイアコート)
ベリーストロング
●モメタゾンフランカルボン酸エステル(フルメタ)
●ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル(アンテベート)
●フルオシノニド(トプシム)
●ベタメタゾンジプロピオン酸エステル(リンデロンDP)
●ジフルプレドナート(マイザー)
●アムシノニド(ビスダーム)
●ジフルコルトロン吉草酸エステル(テクスメテン、ネリゾナ)
●酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン(パンデル)
ストロング
●デプロドンプロピオン酸エステル(エクラー)
●デキサメタゾンプロピオン酸エステル(メサデルム)
●デキサメタゾン吉草酸エステル(ボアラ)
●ベタメタゾン吉草酸エステル(リンデロンV、ベトネベート)
●フルオシノロンアセトニド(フルコート)
ミディアム(マイルド)
●プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(リドメックス)
●アルクロメタゾンプロピオン酸エステル(アルメタ)
●クロベタゾン酪酸エステル(キンダベート)
●ヒドロコルチゾン酪酸エステル(ロコイド)
●デキサメタゾン(グリメサゾン、オイラゾン)
●トリアムシノロンアセトニド(レダコート)
ウィーク
●プレドニゾロン(プレドニゾロン)
【ステロイド外用薬の使い分け】
皮疹の重症度、皮疹のある部位(皮膚の厚み)、患者の年齢を考えてステロイド外用薬のランクを決めます。そして、重症度に応じた十分な強さのステロイド外用薬を使うことが大切です。
皮疹の重症度
軽症にはランクの低いもの、重症にはランクの高いものを使用します。
皮疹の重症度とは皮疹の面積が大きいものという意味ではなく、個々の皮疹の状態で判断します。
例えばアトピー性皮膚炎の場合、アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2016によると以下のように使いわけが推奨されています。
【重症】
高度の腫脹、浮腫、浸潤、苔癬化を伴う紅斑、丘疹の多発、高度の鱗屑、痂皮の付着、小水疱、びらん、多数の掻破痕、痒疹結節などが主体。
→ストロング、ベリーストロングが第一選択。
痒疹結節でベリーストロングでも十分な効果が得られない場合は、ストロンゲストをその部位に限定使用することもある。
【中等症】
中等度までの紅斑、鱗屑、少数の丘疹、掻破痕などが主体。
→ミディアムかストロングが第一選択。
【軽症】
乾燥と軽度の紅斑、鱗屑などが主体。
→ミディアム以下のステロイド外用薬が第一選択
【軽微】
炎症症状に乏しく乾燥症状が主体
→ステロイドを含まない外用薬を選択
皮疹の部位(皮膚の厚み)
皮膚の厚みは一定ではなく、体の部位によって異なります。
皮膚が薄いとステロイド外用薬の吸収率は高くなり、皮膚が厚いと吸収率は低くなります。
同じ重症度でも、皮膚の薄い部分ではランクの低いステロイド外用薬、皮膚が厚い部位ではランクの高いステロイド外用薬を使用します。
参考:ヒドロコルチゾンの吸収率
前腕内側の吸収率を1とした場合、
頭皮3.5
前頭6.0
あご13.0
わきの下3.6
手のひら0.83
背中1.7
陰嚢42.0
足底0.14
患者の年齢
一般に、年齢が低いほど皮膚が薄いので、ステロイド外用薬のランクには注意が必要です。
成人を基準として、児童で1ランク、幼児でさらに1ランク、乳児でさらに1ランク下げるとよいでしょう。
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