転職をお考えの薬剤師さんへ。
妊娠と授乳

薬剤の催奇形性のリスクが高いのはいつ?流産・先天異常の自然発生率はどのくらい?

注意!!この項目は非常に繊細な内容です。内容を吟味せずそのまま臨床に応用することがないようにしてください。必ず各自で詳細を確認してください。


はじめに

流産の自然発生率は約15%と多く、先天異常の自然発生率は2~3%と言われており、原因がなくても発生します。つまり薬を服用しなくても流産や先天異常は起きる可能性がある、ということを知っておくのは大事なことです。

妊娠週数の数え方

以下の内容は、月経周期が28日型の女性を基準で考えています。

最終月経の開始日を0週0日とし、次の日からは0週1日、0週2日と数えます。
0週6日目の次は1週0日と数えます。
2週0日(最終月経から14日目)が排卵・受精の日です。

妊娠1カ月は0週0日~3週6日、妊娠2か月は4週0日~7週6日を指します。
最終月経から280日目の40週0日が分娩予定日となります。

三半期という数え方もありますが、どこを境にするかという一定の基準はないようです。
第1三半期:0週0日~11週6日(妊娠1か月~3か月)
第2三半期:12週0日~23週6日(妊娠4か月~6か月)
第3三半期:24週0日~40週0日(=分娩予定日)(7か月~11か月)

 薬剤の胎児への影響

受精から妊娠3週6日(妊娠27日目)まで(無影響期)

薬剤の影響を強く受けた精子や卵子は、受精能力を失なったり、受精しても着床しない、妊娠早期に流産として淘汰される(=妊娠が成立しない)と考えられています。

逆に、薬剤の影響が少なく細胞の修復が可能な場合は、奇形とならず正常発生を継続する(=妊娠が成立します)と考えられています(注:遺伝子レベルの異常は除きます)。

これをall or none の法則といいます。all or none の法則が働く時期は、通常受精後2週間以内(最終月経から27日目まで)です。

よって、0週0日~3週6日(妊娠1か月の期間)は、薬剤の影響が強いときは妊娠が成立せず、影響がない(少ない)ときは妊娠が成立し、奇形となることもありません。

受精から14日を過ぎる頃、つまり妊娠4週0日(妊娠2か月)頃には器官形成期に入り、催奇形の影響を受けやすい時期になります。

なお、「精子」の形成期間は70~80日とされています。受精の1~2日前に服用した薬剤の影響はないとされ、問題となるのは3カ月以内に服用した薬剤の影響です。

 

妊娠4週~7週末(絶対過敏期)

中枢神経、心臓、四肢、消化器などの重要臓器の器官形成期に入ります。
この期間は薬剤による催奇形性のリスクが高い時期ですので、特に注意が必要です。
なお、合併症や薬剤使用のない場合でも大奇形の発生率は3%前後と言われています。

サリドマイド事件からわかったこと

サリドマイドによる奇形を生じるのは、最終月経から35日~49日(もしくは34日~50日)という報告があります(参考:実践 妊娠と薬 第2版)。
このため、all or noneの厳密な時期は、最終月経から34日目(もしくは33日目)で終わると考えられています。上記ではわかりやすくするため0週0日~3週6日と書きましたが、実際にはそこから数日は余裕があります。

妊娠8週~15週末(相対過敏期)

重要臓器の形成は終わっていますが、生殖器の分化や口蓋の閉鎖などはまだ続いています。
催奇形性のリスクは低くなっていますが、それでもなお催奇形性のある薬剤には注意が必要です。

 

妊娠16週~分娩まで(潜在過敏期)

発育に対する影響や、子宮内胎児死亡などの胎児毒性が問題となる期間です。

胎児毒性があると考えられている薬剤などの例
●NSAIDS(非ステロイド系抗炎症薬)…第3半期暴露で胎児動脈管早期閉鎖、後期暴露で動脈管収縮など。
(参考:妊娠中に解熱鎮痛薬が必要な場合は、アセトアミノフェンの使用が勧められています)

●ACE阻害薬/ARB…妊娠中期・後期の使用で胎児腎障害、羊水過小など

●ワルファリン…頭蓋内出血
(参考:抗凝固薬による治療が必要な妊婦は、胎盤通過性の低いヘパリンが選択されます)

●アルキル化薬(ブスルファン、シクロホスファミド)…子宮内胎児発育遅延

●テトラサイクリン系抗菌薬…中期・後期暴露で歯牙着色、エナメル質形成不全

●喫煙…子宮内胎児発育遅延

要点

薬を使用しなくても、一定頻度で流産や先天異常は起こる。

all or none の法則が働く時期は、通常受精後2週間以内(最終月経から27日目まで)とされるが、サリドマイド事件の報告によればさらに数日ほどの余裕がある。

催奇形性のリスクが高いのは、妊娠4週~7週末の絶対過敏期。

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