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胃、ピロリ菌、逆流性食道炎

ピロリ菌除菌:PPIを中止する理由、PPIを中止しなくてもいい検査方法

まず最初に、ピロリ菌って何者?

・ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は胃の粘膜に生息しているらせん形をした細菌。
・ピロリ菌に感染していると胃粘膜には炎症(胃炎)ができていることが多い。
放っておくと、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんを引き起こすことがある
 胃がんのリスクは5倍にもなるため要注意!(参考:国立がん研究センター
・感染経路は、唾液を介した経口感染と推定。
・衛生環境の良い現在は、ピロリ菌が混入した生活用水が原因というのは少ないと思われる。
・ピロリ菌に感染すると自然に消滅するのは稀。除菌薬で除菌しないと感染は持続してしまう。
・ピロリ菌が胃の中でも生きていられる理由は、強力なウレアーゼ活性により尿素を分解してアルカリ性のアンモニアを作り出すことで、胃液という強い酸から身を守っているため。

 

ヘリコバクター感染胃炎の感染診断法には何がありますか?

迅速ウレアーゼ試験、鏡検法、培養法、抗体測定、尿素呼気試験、便中抗原測定の6つがあり、信頼度が高いとされるのは尿素呼気試験です1)

内視鏡を使用し、胃の組織の一部を取り出し検査する方法
迅速ウレアーゼ試験:ピロリ菌が作り出すアンモニアの有無を調べる
鏡検法:顕微鏡で直接ピロリ菌を確認する
培養法:組織中のピロリ菌を培養する

これら3つの試験は、「採取した組織」にピロリ菌がいるかは調べられますが、胃全体を調べられるわけではありません。

胃全体の診断が可能な試験
抗体測定:尿や血液中のピロリ菌に対する抗体を調べる
尿素呼気試験:薬(ユービット®)を服用する前と後の呼気を調べる
便中抗原測定:糞便中のピロリ菌の抗原を調べる

~発展~
尿素呼気試験の方法
ユービット®(成分は尿素。ただし炭素は13C)を服用する前と後の呼気を専用バッグで集める。
服用前と服用後の呼気中13CO213CO2/12CO2比)を測定し、その変化量(Δ13C)を算出し判定する。

原理
胃内にピロリ菌が存在すると、経口的に投与された13C原子で標識された尿素(13C-尿素)は、ピロリ菌のもつ高いウレアーゼ活性により13CO2(H13CO3)と NH3(NH4+)に分解される。
この13CO2又は H13CO3は、消化管より拡散、吸収され血中に入り、肺より呼気中に排出される。
そこで呼気中に含まれるCO2中の13CO2の変化量(Δ13C)を測定することにより、ピロリ菌の感染の有無が判定できる。

 

ピロリ菌除菌の前と後にPPIを中止する理由は?中止期間はどのくらい?

PPIはH. pyloriに対して静菌作用を発揮することが知られています。

「尿素呼気試験」では、除菌判定前にPPIを服用しているとH. pylori感染診断結果の30~40%が偽陰性となる恐れがあるとの報告があります1)
そのため、除菌前と除菌後の感染診断をするときは2週間以上の休薬期間が必要です2)

除菌後の感染診断は、
ユービット®の添付文書では「除菌治療薬剤投与終了後4週以降の時点で実施すること」と記載があり、
日本消化器学会のwebサイトでは「除菌治療が終了してから3か月以降に行うことが望ましい」となっています。

なお、意外と(?)知られていませんが、全ての検査においてプロトンポンプ阻害薬(PPI)の休薬が必要となるわけではありません。
PPIの休薬が必要な検査は「尿素呼気試験」を行う場合で、「抗体測定」には休薬は必要ないと考えられています3)4)

参考:PPIの種類
オメプラゾール(商品名オメプラール)
ランソプラゾール(商品名タケプロン)
ラベプラゾール(商品名パリエット)
エソメプラゾール(商品名ネキシウム)

 

PPIの服用を中止できない場合は、ピロリ菌の検査をどうすればいいですか?

上に書いたように、尿素呼気試験はPPIの影響受けるため休薬が必要です。そのため本ケースでは適していません。

PPIを中止できない場合は、PPIの影響を受けず、休薬が不要な抗体測定を実施するのが適しています。

また、PPIをH2ブロッカーに切り替えても問題ない症状の場合は、検査に影響を与えないH2ブロッカーに切り替えるのも1つの手段です。

 

尿素呼気試験を行う場合、ピロリ菌除菌の前と後に中止するのはPPIだけですか?タケキャブはどうなのでしょう?

PPI以外に、
●抗生剤(アモキシシリン、クラリスロマイシン、テトラサイクリン等)
●メトロニダゾール
●ビスマス製剤
●抗ウレアーゼ活性のあるエカベトナトリウム(商品名ガストローム)等の、
ヘリコバクター・ピロリに対する静菌作用を有する薬剤は休薬が必要です5)

では、カリウムイオン競合型アシッドブロッカーのボノプラザン(タケキャブ®)はどうでしょう?

実は、タケキャブ®のIFには、抗H.pylori活性及びH.pyloriウレアーゼ阻害活性は示さないと記載があります。
しかし、H.pylori感染の診断と治療のガイドライン2016 改訂版では、タケキャブ®服用中は偽陰性となる可能性があるため、PPI同様に2週間の休薬期間を設けるよう記載されています。ガイドラインの指示に従ったほうが無難そうです。

1)日本消化器学会のwebサイト
2)厚生労働省保険局医療課長通知保医発0221第31号
3)日本医事新報No.4691 (2014年03月22日発行)
4)H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2016 改訂版
5)尿素呼気試験診断薬のユービット錠100mgの添付文書

 

要点

PPIは静菌作用があり、尿素呼気試験による除菌判定で偽陰性となる可能性がある。そのため除菌前後の2週間はPPIの休薬が必要。
一方、抗体測定はPPIの影響を受けないので、休薬が不要!

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