アスピリン喘息に使用を控えるべきステロイド注射薬
ステロイド製剤は水に難溶性のため、静注薬はコハク酸、もしくはリン酸を側鎖につけたエステル構造で製剤化されている。一方、内服用ステロイドはそのような側鎖は必要がない。
添付文書上は禁忌になっておらずあまり知られていないが、「コハク酸エステル型ステロイド製剤の静注」によりアスピリン喘息発作を誘発する恐れがあるため、アスピリン喘息患者への以下の注射薬の使用は控えるべきである。
アスピリン喘息への使用は控えるべきもの
ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム
商品名:ソル・コーテフ、サクシゾンなど
メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム
商品名:ソル・メドロールなど
プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム
商品名:水溶性プレドニン
ソル・コーテフ®、ソル・メドロール®の添付文書には
「気管支喘息の患者の喘息発作を悪化させることがある。薬物、食物、添加物等に過敏な喘息患者(アスピリン喘息の既往を有する患者等)には特に注意が必要である」と記載がある。
一方、リン酸エステル型ステロイドの注射剤では、アスピリン喘息にはほとんど影響がないとされる。
リン酸エステル型ステロイドの注射剤には
デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム
商品名:デカドロン
ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム
商品名:リンデロン
などがある。
ただし、デカドロン®注射液にはパラベン(パラオキシ安息香酸エステル)と亜硫酸水素ナトリウム、リンデロン®注射液には乾燥亜硫酸ナトリウムなどの添加物を含んでおり、その急速投与は安全とはいえない。
喘息発作時に一番安全なステロイド製剤は、余計な側鎖・添加物がない「ステロイド内服」である。
内服ができないときは、コハク酸エステル型よりも、リン酸エステル型のステロイド製剤の静注を選択する。
ただし、この場合は急速投与は避けて1~2時間以上かけて投与したほうがよいだろう。
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