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婦人科

月経前症候群(PMS)、更年期障害の治療薬には何がありますか?HRT(ホルモン補充療法)とは?

月経前症候群(PMS:premenstrual syndrome)とは

月経前症候群(PMS)は月経前の3〜10日間の黄体期に、下記のような精神的・身体的な症状が起こるが、いずれの症状も月経が来ると症状は軽減・消失する

PMSの症状:
イライラ、のぼせ、下腹部膨満感、腰痛、頭痛・頭重感、怒りっぽい、乳房痛など

なお、精神症状が主体の場合は月経前不快気分障害(PMDD:premenstrual dysphoric disorder)と呼び、PMSと区別されている。

PMSの原因ははっきりとはわかっていないが、女性ホルモンの変動が主な原因と考えられている。

 

<PMSと他の疾患の鑑別>
PMSは上記の症状が月経前に毎月現れ、月経開始後には和らぐことが特徴的。
症状の出現時期と月経周期との関連を確認することが大事である。
なお、症状が似ているPMDDや、うつ病でないことを確認すること。

 

PMSの治療薬

①OC・LEP製剤
②漢方薬
③SSRI
などが使用される。

PMSは排卵が起こり女性ホルモンの大きな変動があることが主な原因なので、排卵を止め、女性ホルモンの変動をなくすことで症状が軽快する

そこで使用されるのがエストロゲン(卵胞ホルモン)・プロゲスチン(黄体ホルモン)の配合薬であるOC・LEP製剤である。

OC製剤は経口避妊薬に、LEP製剤は月経困難症治療薬に分類される。



OC(Oral Contraceptives):経口避妊薬
例:
シンフェーズ®T28
アンジュ®21
アンジュ®28
トリキュラー®21
トリキュラー®28
マーベロン®21
マーベロン®28など

LEP(Low dose Estrogen Progestin 低用量エストロゲン・プロゲスチン)製剤:月経困難症治療薬
例:
ヤーズ®
ヤーズフレックス®
ルナベル®
ジェミーナ®など

それ以外では漢方薬の当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸などもよく使用される。

精神症状が強い場合には、選択的セロトニン再摂り込み阻害薬(SSRI)が使用されることも。
SSRI:レクサプロ®、ジェイゾロフト®、パキシル®、デプロメール®、ルボックス®など。

ただし、月経前症候群(PMS)の病名で保険適応のある薬剤は(今のところ)ないことに注意したい。

 

処方例:30歳女性、月経前症候群

マーベロン28
1日1回1錠、寝る前、28日分

月経開始日から服用

 

 

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更年期障害とは

「更年期」は閉経前の5年間と閉経後の5年間とをあわせた10年間を指す言葉である。
更年期に現れるさまざまな症状の中で他の病気に伴わないものを「更年期症状」といい、その中でも症状が重く日常生活に支障を来す状態を「更年期障害」と言い区別している。

症状の主な原因は卵巣から分泌されるエストロゲンの減少。
その他、心理的・社会的因子も関与すると言われている。

なお、エストロゲンには骨吸収抑制(破骨細胞の活性を抑制)作用があるため、閉経後にエストロゲンが枯渇した状態が続くと骨粗鬆症のリスクが高くなることも覚えておくこと。

更年期障害の症状は大きく3種類に分けられる。

①血管の拡張・放熱に関係する症状
ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、発汗など

②その他の身体症状
めまい、動悸、胸が締め付けられるような感じ、頭痛、肩こり、腰や背中の痛み、関節の痛み、冷え、しびれ、疲れやすさなど

③精神症状
気分の落ち込み、意欲の低下、イライラ、情緒不安定、不眠など

 

 

更年期障害の治療薬

①エストロゲン製剤
②漢方薬
③安定剤、抗うつ薬
④サプリメント(エクエル®)
などがある。

更年期障害の原因の1つにエストロゲンの減少があるため、それを補うためにエストロゲン製剤を使用することがある。
この場合の注意点は、子宮がある場合は、(原則)プロゲスチン(黄体ホルモン)製剤を併用するが、子宮がない場合は併用しないことだ。

子宮がある女性  :エストロゲン製剤+プロゲスチン製剤の併用
子宮摘出後の女性:エストロゲン製剤の単独

その理由として、子宮がある女性にエストロゲン製剤を単独で使用すると子宮内膜が過剰に増殖し、子宮内膜増殖症や子宮体がんの発症リスクが上昇するためだ。
これを抑える目的でプロゲスチン製剤を併用する。

 

子宮がある女性に対するホルモン補充療法(HRT)の投与方法の例として、以下のようなものがある。

周期的併用(持続法)
エストロゲン製剤を連日、プロゲスチン製剤を12~14日間投与。

周期的併用(間欠法)
プロゲスチン製剤を飲み終えるタイミングでエストロゲン製剤も休薬させる。
エストロゲン製剤を21~25日間、プロゲスチン製剤を10~12日投与し、ともに5~7日休薬する。

周期的併用法は、疑似月経状態を作りだす方法。プロゲスチン製剤を服用し終えたあとに月経のような出血がでる。
主に、閉経後まもない患者を対象とする。

持続的併用
エストロゲン製剤とプロゲスチン製剤を持続的に投与。
プロゲスチン製剤を連続して使用することで子宮内膜を委縮させ、原則として出血を起こさないようにする方法。
ただし、治療初期では不正出血を起こすことがあるため、閉経して一定期間経過した人に行うことが多い。

子宮のある患者でHRTを行う場合、周期的併用投与法で始め、その後、持続的併用投与法に切り替える方法が一般的に行われている。

 

更年期障害に適応のある主なエストロゲン製剤
結合型エストロゲン:
 プレマリン®(経口)

エストラジオール:
 ジュリナ®(経口)
 エストラーナ®テープ(貼付)…2日ごとに貼り替え
 ディビゲル®(塗布)…大腿部もしくは下腹部
 ル・エストロジェル®(塗布)…両腕の手首から肩まで

エストリオール:
エストリール®(経口)
ホーリン®(経口)

配合剤(エストラジオール・酢酸ノルエチステロン):
メノエイド®コンビパッチ(貼付)…3〜4日ごとに1回(週2回)、下腹部

 

主な黄体ホルモン製剤
ジドロゲステロン(デュファストン®)
メドロキシプロゲステロン酢酸エステル(ヒスロン®、プロベラ®)
ただし、いずれの製剤も更年期障害の適応はない。

骨粗鬆症治療薬のSERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)であるバゼドキシフェン(ビビアント®)は、骨代謝にはアゴニスト活性、子宮にはアンタゴニスト活性を示す。
このためか、バゼドキシフェンには子宮内膜保護作用があり、黄体ホルモンの代わりとしてHRTの治療に使用される場合がある(もちろん適応外)。

その他の治療薬として、
漢方薬では当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸などがよく使用される。

うつ、不安、不眠などの精神的症状が強い場合には、安定剤・抗うつ薬が使用されることもある。

サプリメントのエクエル®は、大豆イソフラボンが腸内細菌によって変換されて生まれる成分「エクオール」を含有し、更年期症状を改善すると報告されている。

 

 

症例1 50歳、女性、更年期障害(子宮あり)

処方例1(周期的併用、持続法)
Rp1 ディビゲル®1mg
   1日1回1包、入浴後に塗布、90日分
    
Rp2 デュファストン®錠5mg
   1日1回2錠、朝食後、36日分
   (毎月1日~12日まで)

もしくは

処方例2(持続的併用)
Rp1 エストラーナ®テープ0.72mg
   1回1枚、2日ごとに貼り替え(入浴後)、45枚

Rp2 プロベラ®錠2.5mg
   1日1回1錠、朝食後、90日

 

 

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エストロゲン製剤にはなぜ経口投与と経皮投与があるのか?

経口のエストロゲン製剤は、肝臓での初回通過効果を受けたのち凝固系を活性化し、静脈血栓症(VTE)のリスクを高める。

一方、経皮投与(テープ、ジェル)では肝臓での初回通過効果を受けず、凝固系がほとんど変化しないという。

これらのことから、経口剤よりも経皮剤の方がVTEのリスクが低く、肥満などの血栓症のリスクのある患者には経皮剤を処方するケースが多い。
ただし、経皮剤は貼り替え忘れ・かぶれなどのデメリットもあることに注意。

 

参考:ホルモン補充療法ガイドライン 2017 年度版 – 日本女性医学学会

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