ロコア®と内服NSAIDsの併用は注意
ロコア®テープと内服NSAIDsの併用の審査が、2019年12月くらいから厳しくなっている模様。
メーカーに確認したところ
✅処方するなら「ロコア®テープ + ロキソニン®錠、頓用10回分」くらいまで
✅内服NSAIDsを漫然と投与している場合は要注意
✅カロナール®との併用は問題ないと考えられる
とのこと。
なぜ、内服NSAIDsとの併用が厳しいのか?
添付文書には次の記載がある。
本剤2枚貼付時の全身曝露量がフルルビプロフェン経口剤の通常用量投与時と同程度に達することから、1日貼付枚数は2枚を超えないこと。本剤投与時は他の全身作用を期待する消炎鎮痛剤との併用は可能な限り避けることとし、やむを得ず併用する場合には、必要最小限の使用にとどめ、患者の状態に十分注意すること。
つまり、ロコア®テープは内服NSADIsを飲んでいるようなもので、そこにさらにロキソニン®などを漫然と使用するのはよくないでしょ、ということだろう。
カロナール®と内服NSADIsの併用は特に禁忌対象ではないので、ロコア®テープとカロナール®の併用は大丈夫というのは納得できる気がする。
ロコア®テープの適応症に注意!
<適応症と用法用量>
変形性関節症における鎮痛・消炎
1日1回、患部に貼付する。同時に2枚を超えて貼付しないこと。
☞枚数制限あり
適応は変形性関節症。病名を間違えると返戻になる。
病名は「変形性〇関節症」の〇に「肩」、「足」、「肘」、「膝」などを入れる。
ただし、「手」はダメ。
病名について詳しいことを知りたい場合は、各自メーカーに確認してください。
ロコア®テープの禁忌
2023/11月時点の禁忌は以下の通り
2.1 消化性潰瘍のある患者
2.2 重篤な血液の異常のある患者
2.3 重篤な肝機能障害のある患者
2.4 重篤な腎機能障害のある患者
2.5 重篤な心機能不全のある患者
2.6 重篤な高血圧症のある患者
2.7 本剤の成分又はフルルビプロフェンに対し過敏症の既往歴のある患者
2.8 アスピリン喘息又はその既往歴のある患者
2.9 エノキサシン水和物、ロメフロキサシン、ノルフロキサシン、プルリフロキサシンを投与中の患者
2.10 妊娠後期の女性
先ほど、「ロコア®テープは内服NSADIsを飲んでいるようなもの」と述べたが、それを表すかのように内服NSAIDsに似た禁忌内容ということがわかる。
見逃しやすいのが消化性潰瘍だと思うので、ロコア®テープが処方されたときは聞き取りをしっかりと行おう!
実は、内服NSADIsを飲んでいるようなテープ剤はもう1つある。それはジクトル®テープだ。こちらも消化性潰瘍には禁忌なので注意しておこう。
なお、よく処方されるモーラス®テープ、ロキソニン®テープには消化性潰瘍の禁忌はない。なので、消化性潰瘍患者にロコア®テープが出た場合は、代替案としてモーラス®テープやロキソニン®テープを提案してみてはどうだろうか。
おまけ
ロコア®テープの一般名はエスフルルビプロフェン・ハッカ油製剤。
エス・フルルビプロフェン、ということでフルルビプロフェンのS体ということがわかる。ではフルルビプロフェン製剤には何があるのかというと
<内服>
フロベン®錠40/フロベン®顆粒8%
適応:
①下記疾患ならびに症状の鎮痛・消炎
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、歯髄炎、歯根膜炎
②抜歯ならびに歯科領域における小手術後の鎮痛・消炎
<注射>
ロピオン静注50mg
適応:術後、各種癌に対する鎮痛(多くの外科病棟に置いてある薬剤)
<貼付>
アドフィード®、ゼポラス®、ヤクバン®など。
鏡像異性体からS体を取り出した製剤は他にもある。
有名どころはネキシウム®、クラビット®、ルネスタ®、ザイザル®である。
ぜひ以下の記事もお読みいただきたい。
参考:各薬剤の電子添文
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