ダンピング症候群
胃切除後の患者の多くが経験する症状に、ダンピング症候群がある。
早期ダンピング症候群
本来なら胃で消化されてから腸へ行くはずの食物が、急激に小腸へ入ると浸透圧の差により周囲の血管から水を吸い出し、循環血漿量が減少する。
また、腸管が急激に拡張するため様々な消化管ホルモンが分泌される。
その結果、食後20~30分で動悸、めまい、冷汗、腹痛、下痢、悪心、嘔吐などの症状が出る。
対策:
●糖質の少ない食事にする
●よく噛んで食べる
●1回の食事を少量にし、回数を多くする(1日5~6回)
後期ダンピング症候群
胃がないために食物が急速に小腸に流れこみ、食物が短時間で吸収され血糖値が急激に上昇する。
これに反応してインスリンが大量に分泌され、食事を摂ったにも関わらず低血糖になってしまう。
食後2~3時間で、低血糖症状(ふらつき、冷汗、めまい、手指のふるえ、脱力感など)が現れる。
対策:
●食事をゆっくりと食べる
●食後2時間で間食とおやつを食べる
●低血糖が起きたら甘いものを食べる
食物が腸に急速に流れ込むことで
早期ダンピング症候群:
浸透圧の差が出ることが原因
後期ダンピング症候群:
急激な高血糖からのインスリン大量分泌が原因
ダンピング症候群に使用される場合がある薬(適応外)
早期ダンピング症候群では、食後30分くらいの間に出現するセロトニン、ブラジキニン、ヒスタミン等の血管作動性物質の分泌等が関係するとされ、ペリアクチン®が適応外で使用されることがある。
後期ダンピング症候群では、血糖値の急上昇を抑えるためにα-GIが適応外で使用されることがある。
α-GI:
アカルボース(グルコバイ®)
ボグリボース(ベイスン®)
ミグリトール(セイブル®)
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