タムスロシン(ハルナール®)は女性に使用してもよい?適応は?
α1遮断薬のタムスロシン(ハルナール®)は、適応外処方だが「女性の神経因性膀胱」に使用されることがある。
なお、2021年1月時点で神経因性膀胱に適応がある薬剤は以下の通り。
ウラピジル(エブランチル®)
ジスチグミン臭化物(ウブレチド®)
ベタネコール塩化物(ベサコリン®)
プロピベリン塩酸塩(バップフォー®)
オキシブチニン塩酸塩(ポラキス®)
ボトックス®注
α1遮断薬にはカルデナリン®、ハルナール®、エブランチル®などがあるが、その中でも神経因性膀胱の適応を持つのはサブタイプ非選択的α1遮断薬であるエブランチル®のみ。エブランチル®は女性にも使用可能である。
エブランチル®の適応
①本態性高血圧症、腎性高血圧症、褐色細胞腫による高血圧症
②前立腺肥大症に伴う排尿障害
③神経因性膀胱に伴う排尿困難
エブランチル®が前立腺肥大症や神経因性膀胱に効果があるのは、前立腺や尿道平滑筋に発現しているα1A受容体遮断作用によるもの。
タムスロシンはサブタイプ選択的α1遮断薬でα1A/1D受容体に作用するが、α1A受容体に比較的選択性が高い。
理論的に考えてもタムスロシンは尿道に作用するので神経因性膀胱に適応があってもよさそうだが……。効果がいまいちなのか、ただ単に臨床試験をしてないだけなのかはわからないが、神経因性膀胱には適応はない。女性にタムスロシンが処方された場合は、薬剤師としては疑義照会を行わないといけない。
なお、女性の神経因性膀胱にエブランチル®ではなくタムスロシンを使う理由としては
①タムスロシンの方が効果がある
②エブランチル®による血圧低下を避けたいのでタムスロシンを使用
が考えられるが、調べた限りでははっきりとはわからなかった。
タムスロシンは尿管結石にも使用される
欧米のガイドラインではタムスロシンが尿管結石の治療薬として推奨されている。
ただし、日本では適応外となることに注意が必要だ。
直径が9mm未満の小さな結石では、28日以内の排石率をプラセボと比較したが、有意差は見られなかったいう報告(Effect of Tamsulosin on Passage of Symptomatic Ureteral Stones)もあるため、一律に処方するのは避けたほうがよいだろう。
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