緑内障のタイプと抗コリン薬
緑内障のタイプを大きく分けると、開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障とがある。
開放隅角緑内障は抗コリン薬の使用は問題とならないが、閉塞隅角緑内障では使用を中止したほうがよい場合がある。それは、眼内の房水の排出経路である隅角が閉塞している状態で抗コリン薬を使用すると、抗コリン作用により散瞳が生じ、結果、隅角閉塞が起きて急性緑内障発作を引き起こすことがあるためだ。
しかし、閉塞隅角緑内障の人でも、「白内障手術を受けた人」、もしくは「レーザー虹彩切開術などの治療を受けた人」は、隅角閉塞の可能性は基本的になくなる。
そのため、必ずしも閉塞隅角緑内障=抗コリン薬禁忌、とならない場合もあるようだ。
~白内障手術と隅角の関係~
白内障手術により水晶体が眼内レンズに置き換わると隅角は開放され、抗コリン薬による隅角閉塞の可能性は基本的になくなる。
抗コリン薬の使用が禁忌となるケース
- 閉塞隅角緑内障
- 原発閉塞隅角症(緑内障性視神経障害を起こしていない原発閉塞隅角緑内障の前駆状態)
上記のうち、「白内障手術により眼内レンズが入っていない、もしくはレーザー虹彩切開術などの治療も受けていない症例」と、「一部の特殊な重症例」に対しては抗コリン薬を使用してはいけない。
緑内障の患者さんに確認しておきたいこと
①開放性か、閉塞性か。
②閉塞性ならレーザー虹彩切開術などを受けているか。白内障手術で眼内レンズが入っているか。
注意!
何事にも絶対大丈夫ということはない。患者からの聞き取りは参考程度にし、必要があれば治療を行っている眼科医に確認をするように!
最近の添付文書の記載
以前なら抗コリン作用のある薬剤の禁忌は「緑内障」だけの記載が多かったが、最近はより詳しく記載がされるようになった。
例
PL®配合顆粒の禁忌:閉塞隅角緑内障の患者
トビエース®の禁忌:眼圧が調節できない閉塞隅角緑内障の患者
参考:
●日本医事新報社:緑内障患者への抗コリン薬使用
●医療教育研究所:いつも迷う、緑内障の患者への抗コリン薬の処方
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