ゴーストピルとは?
徐放性製剤は、有効成分がゆっくり放出されるように設計された薬である。多くは錠剤で、その中身の構造にはいくつか種類がある。
この構造の部分が、消化されずそのまま糞便中に排出される場合があり、これをゴーストピルと呼ぶ。添付文書ではゴーストタブレット、マトリックス基剤、白色の残渣、白色の粒子など様々な表現で記載されている。
患者によっては、糞便中にゴーストピルが認められると不安になるケースがあるため、あらかじめ説明しておく必要がある。
例)
「このお薬を服用すると、まれに便の中にお薬の殻が混じることがあります。有効成分はきちんと体内に吸収されていますので、心配なさらないでください。」
ゴーストピルが排出される可能性がある薬剤一覧
製品名 |
残渣(添付文書の表現) |
ニフェジピンCR錠の一部のジェネリック(サワイなど) |
錠剤の形状 |
フェロ・グラデュメット錠 |
プラスチック格子 |
オキシコンチン錠 |
マトリックス基剤(抜け殻) |
スローケー錠 |
ゴーストタブレット(有効成分放出後の殻錠) |
ディレグラ配合錠 |
殻錠 |
デパケンR錠 |
白色の残渣 |
セレニカR顆粒 |
白色の粒子 |
アサコール錠 |
錠剤 |
ペンタサ錠 |
白いもの |
インヴェガ錠 |
外皮 |
リスモダンR錠のジェネリック |
錠剤の形をした白い塊 |
コンサータ錠 |
外皮 |
テオロング錠 |
白色顆粒 |
テオドール顆粒 |
白色粒子 |
ユニフィルLA錠 |
白色物質 |
製剤残渣に関する添付文書の表現
●ニフェジピンCR錠「サワイ」
内核のフィルムコーティング剤のエチルセルロースは水に不溶のため、糞便中にまれに錠剤の形状を残したまま排出されることがある
●フェロ・グラデュメット錠
本剤は多孔性のプラスチック格子の間隙に硫酸鉄を含有させた徐放性鉄剤である.プ ラスチック格子は腸管内で崩壊せず,そのまま糞便中に排泄される
●オキシコンチン錠
本剤のマトリックス基剤(抜け殻)が人工肛門あるいは糞便中に排泄される場合があること,その場合本剤の成分は既に吸収されているため,臨床的に問題はないことを患者に説明すること
●スローケー
本剤のゴーストタブレット(有効成分放出後の殻錠)が糞中に排泄されることがある
●ディレグラ配合錠
糞便中に、有効成分放出後の殻錠が排泄されることがある
●デパケンR錠
本剤の白色の残渣が糞便中に排泄される
●アサコール錠
便中に錠剤がみられる場合がある
●ペンタサ錠/ペンタサ顆粒
本剤のコーティング剤のエチルセルロースは水に不溶のため、糞便中に白いものがみられることがある
●インヴェガ錠
本剤の外皮は内部の不溶性の成分と一緒に糞便中に排泄されるが、正常なことであり心配する必要はないことを説明すること
●リスモダンR錠のジェネリック
本剤のマトリックス基剤は成分放出後も体内で崩壊せずに排泄されるため、錠剤の形をした白い塊として糞便中に認められることがある
●コンサータ錠
本剤の外皮は内部の不溶性の成分と一緒に糞便中に排泄されるが、正常なことであり心配する必要はないことを説明すること
●テオロング錠
糞便中に、まれに本剤由来の白色顆粒がみられることがある
●テオドール顆粒
顆粒剤を投与すると便に白色粒子が排泄されることがあるが,これは賦形剤の一部である
●ユニフィルLA錠
糞便中に、まれに本剤由来の白色物質がみられることがある
●テオフィリン徐放カプセルのジェネリック
本剤由来のエチルセルロースの透過性膜は、テオフィリン溶出後、未消化のまま排泄されるため、白色粒子が糞便中に見られることがある
●テオフィリン徐放錠の一部のジェネリック
糞便中に,まれに本剤由来の白色物質がみられることがある
徐放製剤だが添付文書上にゴーストピルの記載がないもの
アダラートCR錠
アダラートL錠
アダラートL錠のジェネリック
オキシコンチンTR錠
デパケン細粒
リスモダンR錠
テオドール錠
参考:オキシコンチン®TR 錠,オキノーム®散のよくあるお問い合わせ
Q:オキシコンチン TR 錠はゴーストピルが検出されますか?
A:ゲル状の残渣が排泄される可能性がありますが,従来のオキシコンチン錠(オキシコドン徐放錠) で見られたようなゴーストピル(製剤残渣)は検出されません。
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