ニルマトレルビル・リトナビル（パキロビッドパック）：新型コロナウイルスの治療薬（内服）

ニルマトレルビル・リトナビル（パキロビッドパック）とは

日本ではまだ承認されていないが、アメリカでは承認されている新型コロナウイルス（SARS-CoV-2）の治療薬に米ファイザー社が開発したニルマトレルビル・リトナビルがある。
☞2022年2月10日、日本でも特例承認！

パキロビッド®は、「経口3CLプロテアーゼ阻害薬であるニルマトレルビル（PF-07321332）」と、「HIV治療薬として知られているリトナビル」との合剤で、アメリカでは1日2回、5日間服用する。

新型コロナウイルスは3CLプロテアーゼというものを有しており、ニルマトレルビルはここを阻害する。
リトナビルはニルマトレルビルの濃度を上昇させる目的で配合されているそうだ。

HIV治療薬のカレトラ®配合内用液ってどんな薬？

ロピナビルとリトナビルの合剤。

ロピナビルはHIVプロテアーゼの活性を阻害することで、感染性を持つ成熟したHIVの産生を抑制する。
本剤の抗ウイルス活性は、ロピナビルによるものである。

しかし

ロピナビル単剤では、ロピナビルは主にCYP3Aにより容易に代謝され、肝臓の初回通過効果により有効な血中濃度が維持できない。

そこで発想の転換。
CYP3A阻害剤としてリトナビルを配合したのだ。

リトナビルは、CYP3Aによるロピナビルの代謝を競合的に阻害し、ロピナビルの血中濃度の上昇をもたらすことで、ロピナビルの有効な血中濃度を実現した。

パキロビッド®の情報はファイザー社のプレスリリースで確認できる。

PAXLOVID™ (PF-07321332; ritonavir) was found to reduce the risk of hospitalization or death by 89% compared to placebo in non-hospitalized high-risk adults with COVID-19

プラセボと比較して入院あるいは死亡を89％減少！！

ただし、今回の臨床試験は、米メルク社のモルヌピラビルと同じく、60歳以上の高齢者や重症化リスクがあるCOVID-19患者に対象が限定されているので、この結果が全ての感染者に適用されるわけではない。

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パキロビッド®パック
特徴：
新型コロナに対する経口抗ウイルス薬として、ラゲブリオカプセル（モルヌピラビル）に続く２剤目。
併用禁忌として医薬品38成分と食品１つがあるため、処方・調剤にあたっては、医師・薬剤師は患者が服薬中の全ての薬剤の確認が必要となる。

適応：
SARS-CoV-2による感染症
☞主な投与対象はラゲブリオと同様、重症化リスク因子を有する軽症～中等症Ⅰの患者。

用法用量：
成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、ニルマトレルビルとして1回300mg及びリトナビルとして1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与。

腎機能障害には注意！
中等度の腎機能障害患者（eGFR30～59mL/min）には、ニルマトレルビルとして1回150mg及びリトナビルとして1回100mgを同時に1日2回、5日間経口投与すること。
重度の腎機能障害患者（eGFR 30mL/min未満）への投与は推奨しない

併用禁忌が多数！

詳細は各自で添付文書を読んで欲しいが、以下の薬剤とパキロビッド®は併用禁忌である！
なんと多いことか。

アンピロキシカム（フルカム）
ピロキシカム（バキソ、フェルデン）
エレトリプタン臭化水素酸塩（レルパックス）
アゼルニジピン（カルブロック）
オルメサルタンメドキソミル・アゼルニジピン（レザルタス配合錠）
アミオダロン塩酸塩（アンカロン）
ベプリジル塩酸塩水和物（ベプリコール）
フレカイニド酢酸塩（タンボコール）
プロパフェノン塩酸塩（プロノン）
キニジン硫酸塩水和物
リバーロキサバン（イグザレルト）
リファブチン（ミコブティン）
ブロナンセリン（ロナセン）
ルラシドン塩酸塩（ラツーダ）
ピモジド
エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン（クリアミン）
エルゴメトリンマレイン酸塩
ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩
メチルエルゴメトリンマレイン酸塩（パルタン）
シルデナフィルクエン酸塩（レバチオ）
タダラフィル（アドシルカ）
バルデナフィル塩酸塩水和物（レビトラ）
ロミタピドメシル酸塩（ジャクスタピッド）

ベネトクラクス（ベネクレクスタ）
〈再発又は難治性の慢性リンパ性白血病（小リンパ球性リンパ腫を含む）の用量漸増期〉

ジアゼパム（セルシン、ホリゾン）
クロラゼプ酸二カリウム（メンドン）
エスタゾラム（ユーロジン）
フルラゼパム塩酸塩（ダルメート）
トリアゾラム（ハルシオン）
ミダゾラム（ドルミカム、ミダフレッサ）

リオシグアト（アデムパス）
ボリコナゾール（ブイフェンド）
アパルタミド（アーリーダ）
カルバマゼピン（テグレトール）
フェノバルビタール（フェノバール）
フェニトイン（ヒダントール、アレビアチン）
ホスフェニトインナトリウム水和物（ホストイン）
リファンピシン（リファジン）
セイヨウオトギリソウ（St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート）含有食品

注：［（　）の中は商品名。

併用禁忌として医薬品38成分と食品１つ。使用時は徹底的な併用薬チェックが必要だ。