吸入剤一覧表
新薬:テリルジー®、ビベスピ®、ビレーズトリ®、エナジア®、アテキュラ®とは?
テリルジー®の特徴
1日1回1吸入で使用。
テリルジー®は100と200とがあるが、それぞれで適応が異なる。
テリルジー®100:喘息とCOPD(慢性閉塞性肺疾患)
テリルジー®200:喘息
剤形はドライパウダーインヘラー、デバイスはエリプタ。
14吸入、30吸入製剤の2つがある。
「吸入ステロイド、長時間作用型β2刺激薬、長時間作用型抗コリン薬」の3成分が配合(ICS/LABA/LAMA)。日本では初となる、3成分配合の吸入剤。
<配合成分>
・フルチカゾンフランカルボン酸エステル
・ウメクリジニウム臭化物
・ビランテロールトリフェニル酢酸塩
参考までに…
アニュイティ®(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)
エンクラッセ®(ウメクリジニウム臭化物)
アノーロ®(ウメクリジニウム臭化物+ビランテロールトリフェニル酢酸塩)
ビベスピ®の特徴
適応はCOPD、1回2吸入、1日2回で使用。
剤形は加圧式定量噴霧吸入器(pMDI)、デバイスはエアロスフィア。
28吸入と120吸入がある。
シーブリ®(グリコピロニウム臭化物)+オーキシス®(ホルモテロールフマル酸塩水和物)の2つの成分が配合された製剤(LAMA/LABA)。
シーブリ®は吸入粉末剤、オーキシス®はドライパウダー式吸入剤であるが、今回のビベスピ®は加圧式定量噴霧吸入器(pMDI)であることが大きな特徴。これを可能にしたのが新しいデバイスのエアロスフィアである。
ビベスピは、2つの薬剤を多孔性粒子である担体に接着させ、肺全体に送達させる薬剤送達技術を有している。この薬剤を含む担体は、肺の中枢から末梢まで到達するのに適していると考えられている粒子径であること、多孔性で薬剤結晶と比較して比重が軽いことから、薬剤を肺の末梢まで送達することが期待できる。
参考:ビベスピ®のインタビューフォーム
ビレーズトリ®の特徴
適応はCOPD、1回2吸入、1日2回で使用。
剤形は加圧式定量噴霧吸入器(pMDI)、デバイスはエアロスフィア。
56吸入と120吸入がある。
パルミコート®(ブデソニド)+シーブリ®(グリコピロニウム臭化物)+オーキシス®(ホルモテロールフマル酸塩水和物)の3つの成分が配合された製剤(ICS/LAMA/LABA)。
ビレーズトリは、3つの薬剤を多孔性粒子である担体に接着させ、肺全体に送達させる薬剤送達技術を有している。この薬剤を含む担体は、肺の中枢から末梢まで到達するのに適していると考えられている粒子径であること、多孔性で薬剤結晶と比較して比重が軽いことから、薬剤を肺の末梢まで送達することが期待できる。
参考:ビレーズトリ®のインタビューフォーム
<エアロスフィアとは?>
新しい吸入デバイスであるエアロスフィアは、エアロスフィア・デリバリー・テクノロジーという次世代の薬剤送達技術を搭載した加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)。pMDIは努力呼吸を必要としないため、吸気流量の低いCOPD患者でも吸入しやすく、薬剤が速やかに、一定に肺に行き届くのが特徴。以下の図はメーカー配布資料より。
エナジア®とアテキュラ®の特徴
ノバルティスファーマは2020年6月29日、ICS/LABA/LAMAの3剤を配合した喘息治療薬エナジア®と、ICS/LABAを配合した喘息治療薬アテキュラ®の製造販売承認を取得。なお、エナジア®は喘息の適応を持つトリプル吸入薬としては世界的にも初めての製剤(注:テリルジー®は最初はテリルジー®100しかなく、適応はCOPDのみだったが、のちに喘息の適応が追加された)。
両薬剤とも適応は喘息、1日1回吸入、デバイスはブリーズヘラー。
アテキュラ®は低用量、中用量、高用量の3規格。
エナジア®は中用量、高用量の2規格。
配合成分は次の通り。
アテキュラ®=アズマネックス®(モメタゾンフランカルボン酸エステル)+オンブレス®(インダカテロール)
エナジア®=アズマネックス®(モメタゾンフランカルボン酸エステル)+シーブリ®(グリコピロニウム)+オンブレス®(インダカテロール)
<いまさらだけど、COPDとは?>
肺への気流が制限され、正常な呼吸がしにくくなる病気。症状が重くなると階段を上がっただけでも息切れを起こし、日常生活に大きな影響が出ることもある。多くは40歳を過ぎたころから症状が出始める。
2010年の時点で世界中に約3億8400万人のCOPD患者がいると考えられている1)。
日本では、2017年時点において男性の死亡要因の第8位となっている2)。
「ブデソニド+グリコピロニウム+ホルモテロール」を1日2回投与する3剤併用療法では、「グリコピロニウム+ホルモテロール」または「ブデソニド+ホルモテロール」と比較して、中等度または重度の COPD 増悪の発生率が低下する、という報告3)がある。
今後はCOPDに対する3剤併用療法の使用が増えてくると思われる。
参考:
1)Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease
2)ビベスピ®のインタビューフォーム
3)N Engl J Med 2020; 383:35-48
ICS(inhaled corticosteroid:吸入ステロイド)
下記薬剤の適応は気管支喘息。
●アズマネックス®(モメタゾンフランカルボン酸エステル)
成人:1回100μg、1日2回吸入。1日800μgまで。
●アニュイティ®(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)
成人:1回1吸入、1日1回。
●オルベスコ®(シクレソニド)
成人:1回100~400μg、1日1回吸入。1日800μgまで。1日800μgを使用する場合は、朝・夜の2回に分けて使用。
小児:1回100~200μg、1日1回吸入。
●キュバール®(ベクロメタゾンプロピオン酸エステル)
成人:1回100μg、1日2回吸入。1日800μgまで。
小児:1回50μg、1日2回吸入。1日200μgまで。
●パルミコート®(ブデソニド)
タービュヘイラー
成人:1回100~400μg、1日2回吸入。1日1600μgまで。
小児:1回100~200μg、1日2回吸入。1日800μgまで。
吸入液
成人:0.5mgを1日2回、もしくは1mgを1日1回吸入。1日2mgまで。
小児:0.25mgを1日2回、もしくは0.5mgを1日1回吸入。1日1mgまで。
●フルタイド®(フルチカゾンプロピオン酸エステル)
ロタディスク/ディスカス/エアゾール
成人:1回100μg、1日2回吸入。1日800μgまで。
小児:1回50μg、1日2回吸入。1日200まで。
LABA(long-acting beta2-adrenergic agonists :長時間作用型β2刺激薬)
●オーキシス®(ホルモテロールフマル酸塩水和物)
適応はCOPD。
成人:1回1吸入、1日2回
●オンブレス®(インダカテロールマレイン酸塩)
適応はCOPD。
成人:1日1回1カプセルを専用器具を用いて吸入。
●セレベント®(サルメテロールキシナホ酸塩)
適応はCOPDと気管支喘息。
成人:1回50μg、1日2回吸入。
小児:1回25μg、1日2回吸入。1回50μgに増量可能。
LAMA(long-acting muscarinic antagonist:長時間作用型抗コリン薬)
●エクリラ®(アクリジニウム臭化物)
成人:1回1吸入、1日2回。
●エンクラッセ®(ウメクリジニウム臭化物)
成人:1回1吸入、1日1回。
●シーブリ®(グリコピロニウム臭化物)
成人:1日1回1カプセルを専用器具を用いて吸入。
●スピリーバ®吸入用カプセル(チオトロピウム臭化物水和物)
成人:1日1回1カプセルを専用器具を用いて吸入。
上記4つの薬剤の適応はCOPD。
注意が必要なのは次の2つ。
●スピリーバ®1.25μgレスピマット(チオトロピウム臭化物水和物)
適応は気管支喘息。
●スピリーバ®2.5μgレスピマット(チオトロピウム臭化物水和物)
適応はCOPDと気管支喘息。
COPD
成人:2.5μgレスピマットを1回2吸入、1日1回。
気管支喘息
成人:1.25μgもしくは2.5μgレスピマットを1回2吸入、1日1回。
ICS/LABA
以下3つの薬剤の適応はCOPDと気管支喘息。
●アドエア®(サルメテロールキシナホ酸塩/フルチカゾンプロピオン酸エステル)
COPD
250ディスカス:1回1吸入、1日2回。
125エアゾール:1回2吸入、1日2回。
気管支喘息
成人:
100ディスカス:1回1吸入、1日2回
50エアゾール:1回2吸入、1日2回
250ディスカス:1回1吸入、1日2回
125エアゾール:1回2吸入、1日2回
500ディスカス:1回1吸入、1日2回
250エアゾール:1回2吸入、1日2回
小児:
50エアゾール:1回1~2吸入、1日2回
100ディスカス:1回1吸入、1日2回
●シムビコート®(ブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物)
COPD
成人:1回2吸入、1日2回。
気管支喘息
成人:1回1吸入、1日2回。1日の最高用量は1回4吸入、1日2回。
★1回1~2吸入、1日2回の維持療法に加えて頓用吸入としても使用する場合は、添付文書をご参照ください。
●レルベア®100エリプタ(ビランテロールトリフェニル酢酸塩/フルチカゾンフランカルボン酸エステル)
COPD
成人:1回1吸入、1日1回。
気管支喘息
成人:1回1吸入、1日1回。
次の3つ薬剤の適応は気管支喘息。
●フルティフォーム®(フルチカゾンプロピオン酸エステル/ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入剤)
成人:
50エアゾール:1回2吸入、1日2回。
125エアゾール:1回2〜4吸入、1日2回。
●レルベア®200エリプタ(ビランテロールトリフェニル酢酸塩/フルチカゾンフランカルボン酸エステル)
成人:1回1吸入、1日1回。
このように、レルベア®は100と200で適応が異なるため注意が必要です。
●アテキュラ®吸入用カプセル(モメタゾンフランカルボン酸エステル/インダカテロール酢酸塩)
成人:
低用量カプセル:1日1回1吸入
中用量カプセル:1日1回1吸入
高用量カプセル:1日1回1吸入
LAMA/LABA
以下4つの薬剤の適応はCOPD。
●アノーロ®(ウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩)
成人:1回1吸入、1日1回。
●スピオルト®(チオトロピウム臭化物水和物/オロダテロール塩酸塩)
成人:1回2吸入、1日1回。
●ウルティブロ®(グリコピロニウム臭化物/インダカテロールマレイン酸塩)
成人:1日1回1カプセルを専用器具を用いて吸入。
●ビベスピ®(グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物)
成人:1回2吸入、1日2回。
ICS/LAMA/LABA
●テリルジー®(フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ウメクリジニウム臭化物/ビランテロールトリフェニル酢酸塩)
テリルジー®100の適応:気管支喘息とCOPD
テリルジー®200の適応:気管支喘息。
成人:1回1吸入、1日1回。
●ビレーズトリ®(ブデソニド/グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物)
適応:COPD
成人:1回2吸入、1日2回。
●エナジア®(モメタゾンフランカルボン酸エステル/グリコピロニウム/インダカテロール)
適応:気管支喘息
成人:
中用量カプセル:1日1回1吸入
高用量カプセル:1日1回1吸入
よくある?勘違い
「アドエア®500ディスカス、1回1吸入、1日2回」を「アドエア®250ディスカス、1回2吸入、1日2回」で代用できると思いがちですが、これはアウトです。
アドエア®250の1ブリスター中には、β2刺激薬が50μg、ステロイドが250μg。
アドエア®500の1ブリスター中には、β2刺激薬が50μg、ステロイドが500μg。
つまり、アドエア®250を1回2吸入で使用すると、β2刺激薬の量が2倍になってしまいます。250、500という数字はステロイドの量なので、要注意です。
類似したケースでは、フルティフォーム®50エアゾール、125エアゾールがあります。
50エアゾール1吸入中には、β2刺激薬が5μg、ステロイドが50μg
125エアゾール1吸入中には、β2刺激薬が5μg、ステロイドが125μg
ですので、注意が必要です。
アドエア®ディスカスとエアゾールの1噴霧中の成分量に注意!
デバイスごとの、1噴霧中に含まれる成分量
β2刺激薬 | ステロイド | |
100ディスカス | 50μg | 100μg |
250ディスカス | 50μg | 250μg |
500ディスカス | 50μg | 500μg |
50エアゾール | 25μg | 50μg |
125エアゾール | 25μg | 125μg |
250エアゾール | 25μg | 250μg |
β2刺激薬:サルメテロール
ステロイド:フルチカゾンプロピオン酸エステル
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