転職をお考えの薬剤師さんへ。
感染症・抗生剤・抗ウイルス薬

マクロライド療法:有効なのは慢性副鼻腔炎だけじゃない!

マクロライド療法とは

14員環、15員環マクロイドを常用量の半量・長期で使用し、抗菌作用ではなく気道上皮での粘液分泌の抑制、水分泌抑制、線毛運動亢進、好中球浸潤の抑制、抗炎症作用などを期待した治療法のことです。

<14員環、15員環マクロイドの種類と投与量の例>
14 員環:エリスロマイシン、クラリスロマイシン、ロキシスロマイシンの3つ。

成人の1日量
エリスロマイシン:400~600mg
クラリスロマイシン:200(~400)mg
ロキシスロマイシン:150mg(~300)mg

小児の1日量
エリスロマイシン:10mg/kg
クラリスロマイシン:5mg/kg

15 員環:アジスロマイシンのみ。
具体的な投与量・投与間隔を示す資料は見つかりませんでした。
(1日250mg、週2回服用を数か月繰り返す?? 詳細が分かりましたら追記いたします。)

マクロライド療法が有効な疾患

湿性の遷延性・慢性咳嗽の原因として頻度が高い副鼻腔気管支症候(sinobronchial Syndrome:SBS)に有効です。また、COPDの増悪抑制に有効です。

SBSは「慢性・反復性の好中球性の気道炎症を上気道と下気道に合併した病態」と定義されています。

具体的には、上気道の炎症性疾患である慢性副鼻腔炎が主体となり、下気道の炎症性疾患である慢性気管支炎)、気管支拡張症、あるいは びまん性汎細気管支炎を合併した病態を指します。
:慢性副鼻腔炎を伴わない喫煙が原因の慢性気管支炎は除きます。

なお、好酸球性の気道炎症に対しては効果が乏しいです。近年好酸球性の気道炎症が増加しているため注意が必要です。

●マクロライド療法が有効な疾患
①慢性副鼻腔炎
②慢性気管支炎
③気管支拡張症
④びまん性汎細気管支炎
⑤COPDの増悪抑制

●好中球性の気道炎症に有効。
●好酸球性の気道炎症には効果がほぼないので使用してはいけない。

 

慢性副鼻腔炎に対するマクロライド療法について

マクロライド系抗菌薬は、副鼻腔粘膜への良好な組織移行性を示します。

慢性副鼻腔炎に対するマクロライド療法は、通常2~4週間で効果が出始め、2~3カ月で治療効果はプラトーに達します。
3ヶ月服用しても無効の場合は、速やかに他の治療法に変更します。
有効症例でも3~6カ月の服用で一度中止をし、症状が再燃した場合は服用を再開します。

クラリスロマイシンは、慢性副鼻腔炎に対する適応はありませんが、慢性副鼻腔炎に対して処方されることが圧倒的に多いです。

その理由として、「好中球性炎症性気道疾患」への使用の場合は当該使用事例を審査上認める、と通知がされているためと考えられます。

あわせて読みたい
ロキソニンに頭痛の適応がない??保険適応はないけど、保険請求は通る事例一覧よく目にする、ロキソプロフェン(商品名ロキソニン)の頭痛時の処方。実は保険適応はないって知っていましたか? ですがご安心を。 ...

なお、「慢性副鼻腔炎だからマクロライド療法」という安易な処方には注意した方がよいでしょう。

低用量のアジスロマイシンを3カ月以上投与しても、慢性副鼻腔炎に対するプラセボを超える有効性は確認されなかったとする報告や(Allergy. 2011 Nov;66(11):1457-68.)、マクロライド療法のエビデンスは十分ではないとする報告もあります(Curr Opin Otolaryngol Head Neck Surg. 2013 Feb;21(1):61-8. )。

なお、14員環マクロライドは「急性」副鼻腔炎には効果が(まず)得られません。
その理由は、急性副鼻腔炎の主要起炎菌である肺炎球菌とインフルエンザ菌の多くが14員環マクロライドに耐性を獲得しているためです。

そして、マクロライド療法が効かない好酸球性副鼻腔炎にも注意が必要です。
鼻粘膜や鼻茸に好酸球が多数浸潤する慢性副鼻腔炎を、好酸球性副鼻腔炎と言います。
特徴として、①成人で発症、②鼻茸が両側に多発、③鼻閉、④嗅覚障害、⑤喘息を合併することが多い、などがあります。
治療には、鼻噴霧ステロイド薬や内視鏡下鼻副鼻腔手術などが有用です。

気管支拡張症に対するマクロライド療法

気管支拡張症は、非結核性抗酸菌症の9割を占めるMAC(Mycobacterium avium complex)症を合併することがあります
このMAC症の標準治療は「クラリスロマイシン、リファンピシン、エタンブトール」の3剤併用療法です。
MAC症にクラリスロマイシンを単剤投与すると、高い割合でMACがクラリスロマイシンへの耐性を獲得してしまうため、MAC症へのクラリスロマイシンの単剤使用は行ってはいけません

そのため、気管支拡張症にマクロライドを使用するときは、クラリスロマイシンではなく、国際的にエビデンスがあるエリスロマイシンが第一選択薬です。
エリスロマイシンが副作用などで使用できず、クラリスロマイシンを使用する場合は、MAC症に感染していないことを確認する必要があります。

なお、エリスロマイシンはMACのクラリスロマイシン耐性を誘導しません(=交叉耐性を示しません)。

●気管支拡張症にはエリスロマイシン。
●MAC症の感染の有無を確認せずにクラリスロマイシンを単剤で使用するのはご法度!

 

びまん性汎細気管支炎(DPB)に対するマクロライド療法

DPBに対するマクロライド療法は確立され、5年生存率が42%から91%へと飛躍的に向上しました。

マクロライド療法の効果は通常2~3か月以内に得られることが多く、少なくとも6か月は継続服用します。6か月で総合的に評価を行い、改善を確認し安定した状態が継続すれば2年で治療を終了します。

COPDに対するマクロライド療法

COPDに対するマクロライド療法は、COPDの増悪抑制に効果があります。
特に、高齢者や中等症患者、抗生剤やステロイドを必要とするような患者に有効で、現在たばこを吸っている人には増悪抑制効果はないことが報告されています(Am J Respir Crit Care Med. 2014 Jun 15;189(12):1503-8.)(Lancet Respir Med. 2014 May;2(5):361-8. )。

参考:
福岡県薬剤師会の質疑応答
慢性気道感染症とマクロライド療法の進歩
咳嗽に関するガイドライン第2版
耳鼻咽喉科領域におけるマクロライド療法の見直し 2017
日本結核病学会の非結核性抗酸菌症診療マニュアル
慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト

シェア大歓迎!

皆様の応援・シェアが更新の励みになります。どうぞよろしくお願い致します!

必見!転職で成功する方法

今、買うべき医療書籍

全記事一覧表

トップページ