骨粗鬆症とは
骨粗鬆症は、加齢などにより骨吸収と骨形成のバランスが崩れ、骨量が減少することで骨折が起こりやすくなる疾患である。
骨形成と比べて骨吸収が上回ることが原因で生じる。
症状が進行すると、脊椎が圧迫骨折を起こしたり、転倒により簡単に大腿骨近位部を骨折することがある。骨折部位によるが、寝たきりの原因となるため注意が必要である。
日本での骨粗鬆症の患者数は推計約1300万人といわれている。
ビスホスホネート(BP)製剤とは
破骨細胞に取り込まれ、破骨細胞の機能を抑制し、骨吸収を抑制することで骨量を増加させる薬。
骨形成促進作用はないため、骨の正常な新陳代謝は阻害される。
このように、BP製剤は骨代謝が抑制されているため、損傷骨と形成骨が入れ替わりにくく、BP製剤の服用期間が長いほど(飲んでいない人と比べて)骨折のリスクが高まると考えられている。
BP製剤による非定型大腿骨骨折とは
非定型(非外傷性)骨折とは、外部からの強い衝撃などで生じる定型(外傷性)骨折と異なり、外部からの衝撃がないのに生じる骨折のこと。
BP製剤の長期服用による非定型大腿骨骨折の発生率は32~59(/100万人・年)とされる。このように頻度はまれのため、実際に問題となることは少ない。
ただし、長期服用患者に「鼠径部や大腿骨部の鈍痛、うずく痛み」などの前駆症状が出た場合は、非定型大腿骨骨折を考慮する必要がある。
アメリカのFDAでは2013年にBP製剤の添付文書に「服用3~5年後で休薬を考慮すること」、
イギリスでも「通常は5年(ゾレンドロ酸は3年)の治療後に骨折リスクを評価し、休薬や治療継続を考慮すること」という見解を出している。
日本の「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015 年版」では、服用後何年たったら休薬する、という具体的な記載は今のところはないが、各医師の判断で5年間服用したら休薬が指示されることがあるかもしれない。
しかし、BP製剤を休薬したら骨密度が下がり、骨折リスクが上昇する危険性がある。
☞BP製剤の長期服用による非定型大腿骨骨折の発生率よりも、休薬によるリスクの方が高いと思われる。
そのため、BP製剤の休薬後は他の骨粗しょう症治療薬、例えば活性型VD3製剤のエディロール®や、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)のビビアント®を開始したり、最初からエディロール®やビビアント®を併用していた場合はこれらの薬剤を継続したほうがよいだろう。
BP製剤の顎骨壊死とは
BP製剤服用中の顎骨壊死は、抜歯などの侵襲的な歯科処置との関連が指摘されている。
そのため、
BP製剤を3年以上服用している場合
or
3年未満でも喫煙・飲酒・糖尿病などの危険因子がある場合
は、侵襲的な歯科処置を行う前にBP製剤を休薬する場合がある。
ただし、経口BP製剤による顎骨壊死の発生頻度は0.85/10万人・年とされている。
参考:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015 年版
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