ウルソ®=ウルソデオキシコール酸(UDCA)は胆汁酸である。そもそも胆汁酸とは?
胆汁酸の種類について
胆汁酸は全部で5種類。
コール酸(CA)
ケノデオキシコール酸(CDCA)
デオキシコール酸(DCA)
リトコール酸(LCA)
ウルソデオキシコール酸(UDCA)
CAとCDCAは、肝臓でコレステロールを元に作られる。
これらが胆汁成分として腸に排出され、腸内細菌により、DCA、LCA、UDCAに変わる。
つまり、UDCAは体内に存在する成分であり、薬としてのウルソ®(UDCA)と同じものである。
胆汁酸の種類によって性質が異なる
UDCAは親水性だが、それ以外の4つは疎水性。
疎水性の強いものほどミセル化しやすい反面、細胞膜を壊してしまうこともある。
すなわち、疎水性の高いものは細胞毒性が高い。
疎水性が高い順に並べるとLCA > DCA > CDCA >CAとなる
一方、UDCAは親水性のため、細胞毒性が低く、肝臓への負担が少ない。
なお、5種類ある胆汁酸のうち、UDCAの割合は0~5%とわずかである。
疎水性:LCA、DCA、CDCA、CA
親水性:UDCA
様々な作用があるウルソ®(UDCA)
置換効果
UDCA 反復投与&腸肝循環により、疎水性胆汁酸の一部がUDCAに置き換わっていく。
親水性のUDCAが増え、疎水性の胆汁酸が減ることで細胞毒性が弱まり、肝細胞保護作用を発揮する。
利胆作用(胆汁分泌促進)
UDCAは自身が胆汁酸としては作用するだけではなく、利胆作用(胆汁分泌を促進)も発揮する。この利胆作用により胆汁うっ滞が改善される。
胆汁うっ滞→うっ滞箇所は、疎水性胆汁酸により肝細胞障害。
UDCAでうっ滞そのものを改善&置換効果による細胞毒性の減弱→肝細胞を保護
コレステロール系胆石の溶解作用
コレステロール系胆石に対し
1)胆のう胆汁中のコレステロールの不飽和化(胆のう胆汁中のコレステロールの相対比率は低下)
2)液晶の形成作用によるコレステロールの可溶化(胆汁中に多成分型の液晶が認められ,コレステロールはこの液晶中に多量に可溶化されている)
3)腸管におけるコレステロール吸収抑制
等により胆石を溶解する
消化不良改善
小腸疾患や小腸切除後に消化不良が起こることがある。
これは、胆汁酸量が減少する結果脂肪のミセル形成能が減弱し、脂肪の吸収が低下することが原因と考えられている。
UDCAの反復投与により胆汁酸量を増加させ、ミセル形成能を正常な状態に近づけることにより消化不良を改善すると考えられている。
脂肪・脂溶性ビタミン吸収改善作用
血中リノール酸、リノレン酸、ビタミンD、Eの各濃度の上昇が確認されている。
ウルソ®(UDCA)の6つの適応症
①下記疾患における利胆
胆道(胆管・胆のう)系疾患及び胆汁うっ滞を伴う肝疾患
②慢性肝疾患における肝機能の改善
③下記疾患における消化不良
小腸切除後遺症,炎症性小腸疾患
①~③:通常、成人1回50mgを1日3回。適宜増減可能。
④外殻石灰化を認めないコレステロール系胆石の溶解
通常、成人1回200mg、1日3回。適宜増減可能。
⑤原発性胆汁性肝硬変における肝機能の改善
⑥C型慢性肝疾患における肝機能の改善
⑤~⑥:通常、成人1回200mg、1日3回。適宜増減可能。1日最大投与量は900mg。
UDCAの腸肝循環とは?
UDCAは小腸(大部分は回腸)で吸収され、また、UDCAは腸肝循環する。
肝臓で作られた胆汁酸は、小腸で脂肪の消化吸収にはたらいた後、95%以上が門脈を通って肝臓に戻り再利用される。このサイクルを「腸肝循環」と言う。
同様に、薬として服用したUDCAも腸肝循環をする。
UDCA の反復投与&腸肝循環により、胆汁酸組成中のUDCA比率が高まる。その結果、肝細胞保護作用を発揮する。
おまけ
胆のう
肝臓で作られた胆汁を溜めておく臓器。
胆汁
脂肪を消化・吸収に関わる緑色の液体で、肝臓で1日に1リットルほど作られている。
胆汁の成分は、水分、胆汁酸塩、胆汁色素(緑色)、ビリルビリン(黄色)、コレステロールなどで構成されている。
胆のうに胆汁が溜まると次第に水分が吸い取られ、5〜10倍に濃縮される。
体内に取り入れた食べ物が十二指腸に到着すると、胆のうは筋肉を収縮させて胆汁を十二指腸へ送り出す。
●Twitterをやっています!【くすりカンパニー】。
「お仕事の依頼」・「当サイトに記事を載せたい方」・「当サイトの記事を使いたい方」・「当サイトをご支援していただける方」を募集中!DMにてご連絡ください。